カナダ政府、2023年の国内大麻調査の結果を公開

カナダ政府、2023年の国内大麻調査の結果を公開

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2018年10月17日に嗜好用大麻を合法化したカナダ。カナダ政府は2017年以降、大麻政策の影響を評価するために、国民を対象としたオンライン実態調査「Canadian Cannabis Survey(CCS)」を毎年実施しています。

この度、2023年の調査結果が公開されたため、昨年と同様に主な調査結果を紹介していきます。

調査期間は2023年5月2日〜7月20日。対象者は電話番号リストから無作為に選ばれ、一連のスクリーニングで参加が認められた16歳以上のカナダ住民11,690名(女性6,010名、男性5,680名)。

2023年の調査では、新たに大麻の副作用、問題のある大麻使用の評価など、いくつかの質問項目が追加されています。

目次

大麻への認識

・大麻の有害性に関して、80%以上が習慣化する可能性(90%)、妊娠・授乳時の使用による有害性(87%)、10代の使用における高いリスク(84%)、ベイピングによる害(84%)、大麻の喫煙による害(81%)について認識していると回答。68%が毎日あるいはほぼ毎日の大麻使用が精神衛生上のリスクを高めると考えていた。

・過去12ヵ月以内の大麻使用者は非使用者と比べて、習慣化する可能性、エディブル製品の効果発現が遅いこと、THC濃度と機能障害との関連性、合法大麻製品が汚染物質検査を受けていることについて、認識している割合が高かった。

・一方、過去12ヵ月以内の大麻使用者では、妊娠・授乳時の使用による有害性、毎日あるいはほぼ毎日の大麻使用による精神衛生上のリスクについて、認識していた割合が少なかった。

安全や公衆衛生への取り組み

・大麻製品やそのパッケージにカナダ保健省が提示している健康上の警告メッセージが存在していたかについて、32%が見たことがある、27%が分からないと回答。過去12ヶ月以内の大麻使用者では66%が見たことがあると回答した(2019年では58%)。

・大麻に関する教育キャンペーンや公衆衛生上のメッセージについて、50%が見聞きした覚えがないと回答。この割合は2019年(24%)以降、時間経緯とともに増加している。

・大麻に関する教育キャンペーンや公衆衛生上のメッセージを見聞きした場所として多かったのは、テレビ・ラジオ(27%)、SNS(14%)、ポスター・看板(13%)、医療現場(13%)、合法大麻小売店(7%)など。

・回答者の54%が、合法大麻製品のパッケージに表示または掲示が義務付けられているもの(THC・CBD含有量、健康上の警告メッセージ、標準化された大麻シンボル、チャイルドロック付きパッケージなど)を知らないと回答。ただし、知らないと回答した人の大半は非使用者であった。

・回答者の半数以上(54%)が大麻の広告を見かけたことがないと回答。大麻の広告が見かけられた場所は、ほとんどが大麻小売店であった(24%)。

社会的受容性

・最も社会的に受け入れられている嗜好品はアルコール(75%)であり、次いで大麻の飲食(58%)、大麻のベイピング(55%)、大麻の喫煙(54%)、ニコチン入り電子タバコ(46%)、タバコ(39%)。全体として2018年以降、大麻の社会的受容性は上昇傾向。

社会的受容性の推移
出典:Government of Canada「Canadian Cannabis Survey 2023」

嗜好品に対するリスクの認識

・日常的な嗜好品の使用について、リスクの程度を「なし」「わずかなリスク」「中等度のリスク」「大きなリスク」のいずれかで評価。

・中等度以上のリスクがあると回答した割合が最も多かったのはタバコ(93%)であり、次いでニコチン入り電子タバコ(87%)、アルコール(85%)、大麻リキッド・濃縮固形物のベイピング(75%)、大麻の喫煙(75%)、乾燥大麻のベイピング(72%)、大麻の飲食(63%)。

・以上のことから、大麻のリスクは認知されているが、タバコやアルコールよりもその割合が低いことが分かる。

出典:Government of Canada「Canadian Cannabis Survey 2023」

大麻の使用率

・16歳以上で過去12ヵ月以内に医療目的以外で大麻を使用したのは26%で、前年(27%)から横ばいで経過。2018年(22%)よりは増加している。

・例年通り、過去12ヵ月以内の大麻使用を最も多く報告した年齢層は20〜24歳(48%)であり、前年から横ばいで経過。

・16〜19歳における過去12ヵ月以内の大麻使用は43%で、昨年(37%)よりも上昇。過去5年間で見れば、2018年(36%)、2019年(44%)、2020年(44%)、2021年(37%)と横ばいで経過しているようにも見える。

・大麻の使用開始年齢の平均は20.8歳で昨年(20.5歳)と変わりないが、2018年(18.9歳)からは上昇。

・過去12ヵ月以内の大麻使用を報告したのは、男性で29%、女性で23%。性指向別では、過去12ヵ月以内の大麻使用はヘテロセクシャルの人(23%)よりも、バイセクシャル(56%)、その他のセクシャリティ(54%)、レズビアンまたはゲイ(48%)の人で多かった。

過去12ヵ月以内の大麻使用の推移
出典:Government of Canada「Canadian Cannabis Survey 2023」

大麻の消費方法

・最も多く消費された大麻製品の種類は、ドライフラワーまたはリーフ(60%)。次いで、エディブル(54%)、ベイプペン・カートリッジ(34%)、経口オイル(26%)、飲料(19%)、ハシシまたはキーフ(16%)、外用製品(12%)、濃縮物(11%)となった。ドライフラワー・ハシシ・濃縮物は減少傾向で、それ以外は増加傾向である。

・医療目的のみで大麻を消費していた人では、それ以外(嗜好目的のみ、嗜好及び医療目的)の人と比べ、経口オイル(53%)、外用製品(29%)を利用する人が多かった(嗜好目的のみではそれぞれ18%、6%)。

出典:Government of Canada「Canadian Cannabis Survey 2023」

大麻の使用頻度・消費量

・過去12ヵ月以内の大麻使用者のうち、半数以上(57%)が月に3日以下、15%が毎日大麻を使用。昨年と比べると、月に3日以下と回答した人は増加し(52%)、週に3〜4日(11%→9%)または毎日(18%)と回答した人は減少した。

・1日の平均消費量は、ドライフラワーまたはリーフで0.9g(前年1.3g)、エディブルで1.4人前(前年1.2人前)、経口オイルで2.3ml(前年0.9ml)、ベイプペンで10.3パフ、飲料で1.2杯(ベイプペンと飲料は前年と単位が異なるため、比較不可能)。

大麻製品に含まれるTHC・CBD

・過去12ヵ月以内の大麻使用者のうち、THC優位あるいはTHCのみの製品を使用していた人は35%で、前年の39%から減少。CBD優位あるいはCBDのみの製品を使用していた人は20%で、前年の15%から増加。

・THC優位あるいはTHCのみの製品の消費は、医療目的のみで使用した人(20%)よりも、嗜好目的のみ(35%)あるいは嗜好及び医療目的で使用した人(41%)で多かった。

・CBD優位あるいはCBDのみの製品では、医療目的でのみ使用した人(51%)で利用が多かった(嗜好目的のみ:14%、嗜好・医療両方:16%)。

・THCとCBDが同比率の製品は、嗜好及び医療目的で使用した人(34%)で一般的だった(嗜好目的のみ:24%、医療目的のみ:21%)。

大麻の入手方法

・約4分の3(73%)が合法的な店舗やウェブサイトで大麻を購入しており、昨年(61%)から増加。2019年ではこの割合は37%であった。

・一方、違法な店舗やウェブサイトで大麻を購入したのはわずか3%で、2018年から減少し経過している。

・16〜19歳では他の年齢層と比べ、友人・家族・知人から大麻を入手した割合が多く(43%)、合法的な店舗やウェブサイトで入手した割合が少なかった(41%)。

出典:Government of Canada「Canadian Cannabis Survey 2023」

大麻の費用

・大麻製品にかける月費用の平均は約63ドルで、昨年(約65ドル)より減少。

・大麻を購入する上で最優先されたのは価格(42%)であり、次いで利便性(15%)、効果の強さ(9%)。

大麻の自家栽培

・医療目的以外で過去12ヵ月以内に自宅やその周辺で大麻草を栽培したことがあると回答したのは4%で、昨年(6%)、2018年(7%)から減少。

・栽培平均株数は3.4株。

大麻の保管場所

・18歳未満の子どもと同居している人のうち、76%がチャイルドロック付きの容器、鍵のかかる部屋、子どもが手の届かない場所に大麻を保管していた。

問題のある大麻使用について

・生涯に1回以上大麻を使用したことがある人のうち、専門的な治療やカウンセリングが必要だと感じたことがある人は5%(2018年は4%)。実際に専門家の助けを受けたと回答した人は2%(2018年と同様)であった。

・過去3ヵ月または12ヵ月以内に大麻の使用を報告した人は、大麻使用障害に関するスクリーニングテスト(WHOのASSISTツールを抜粋して使用)に回答するよう求められた。その結果、「より集中的な介入が必要」と判断されたのは3%で、2018年と同様であった。

・今回初めて調査された「依存の重症度尺度(Severity of Dependence Scaleを一部抜粋して使用)」では、過去12ヶ月以内の大麻使用者のうち11%がコントロール障害と判断された(嗜好目的のみ:11%、嗜好及び医療目的:16%、医療目的のみ:6%)。

・過去5年以内に出産を経験した16〜50歳の女性のうち、妊娠中に大麻を使用しなかったのは93%で、授乳中に大麻を使用しなかったのは91%。妊娠及び授乳中に大麻の使用を報告した割合は、2018年以降10%未満で推移している。

大麻の誤飲

・昨年から調査を開始した項目。家庭内の誰か(ペットを含む)が誤って大麻製品を摂取してしまったことがあると報告したのは1%で、前年と同様。

・誤飲が報告された割合はペット(53%)、自分(25%)、大人(21%)で多かった。子どもの誤飲率については、データが少ないため報告できなかったとされている。

大麻の有害反応・副作用

※今年初の項目

・過去12ヵ月以内の大麻使用者のうち、70%が悪影響はなかったと回答。この割合は医療目的のみ(84%)の人で多かった(嗜好目的のみ:68%、嗜好及び医療目的:64%)。

・報告された副作用として多かったのは、不安、パニック、脈拍数の増加(14%)、眠気または倦怠感(12%)、解離・離人感(6%)、悪心・嘔吐(5%)、頭痛(5%)など。

・副作用を報告した割合は、CBD優位・CBDのみの製品を使用していた人(26%)よりも、THC優位・THCのみの製品を使用していた人(34%)で多かった。

大麻使用による影響

・全てのカテゴリー(交友関係または社会生活、身体的健康、メンタルヘルス、家庭・結婚生活、QOL、学校や仕事でのパフォーマンス)において、「有害」と報告した人よりも「有益」と報告した人のほうが多かった。

大麻使用による影響
出典:Government of Canada「Canadian Cannabis Survey 2023」

大麻と他の物質の併用

・大麻との併用が最も多かった物質は前年と同様、アルコール(40%)とタバコ(24%)。

・オピオイド(96%)、鎮静剤(96%)、覚醒剤(93%)、幻覚剤や解離性麻酔薬(90%)を併用した人は、ほとんどいなかった

大麻と車の運転

・過去12ヵ月以内の大麻使用者のうち、大麻を喫煙・吸入してから2時間以内または大麻を経口摂取してから4時間以内に車の運転をしたことがあると回答した人は17%で、2018年の27%から減少(前年は18%)。

・大麻使用が車の運転に悪影響を及ぼすと回答した人は86%で、2018年(81%)や前年(82%)よりも上昇。

・大麻の喫煙及び経口摂取後、安全に車を運転するために必要な期間として最も多く報告されたのは「8時間以上」であった。

大麻使用後の運転の推移
出典:Government of Canada「Canadian Cannabis Survey 2023」

医療用大麻について

・医療目的で大麻を使用している人のうち、大麻使用に関する医療従事者の文書を所持していると回答した人は18%で、昨年(27%)よりも減少。2018年は34%。

・医療用大麻の適応症として多く挙げられたのは、睡眠障害・不眠(45%)、慢性疼痛(33%)、不安(31%)、関節炎・関節痛(24%)、うつ病(22%)、急性疼痛(17%)、頭痛・偏頭痛(17%)、ADHD(12%)、PTSD(12%)、痙縮(11%)。

・医療用大麻の使用により、44%が他の処方薬を減薬。減薬された薬として多かったのは、アセトアミノフェンなどの非オピオイド鎮痛剤(56%)、イブプロフェンやロキソニンなどの抗炎症剤(54%)、オピオイド鎮痛剤(26%)、鎮静剤(23%)、抗うつ剤(16%)など。

廣橋 大

精神病院に勤める現役看護師。2021年初頭より大麻使用罪造設に向けた動きが出たことをきっかけに、麻に関する情報発信をするようになる。「Smoker’s Story Project」インタビュアー。

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