ポーランドで医療用大麻の処方が急増中

ポーランドで医療用大麻の処方が急増中

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中央ヨーロッパの国ポーランドでは医療用大麻の処方が急増しており、その影響は大麻に対する国民の認識にも及んでいます

2024年2月の世論調査によれば、ポーランド国民の73.4%が大麻の単純所持の非犯罪化を支持し、これに反対する国民は8.1%。2020年の調査時には、大麻の単純所持の非犯罪化を支持していたのは63%であり、反対していたのは14.1%でした。

大麻に対する肯定的な認識が加速している背景の1つとして、国内における医療用大麻市場の急成長が挙げられています

ポーランドは2017年に医療用大麻を合法化。臨床試験による裏付けがあれば、医師はどのような症状に対しても医療用大麻を処方することができます。また、イギリスなど他のいくつかの国々とは異なり、医療用大麻を処方する医師は専門医である必要がなく、かかりつけ医でも可能となっています。

医療用大麻の合法化直後は大麻の供給が限られていたことに加えて、大麻の処方に関するガイドラインも存在していませんでした。そのため、大麻に対するスティグマも足かせとなり、多くの医療従事者は大麻の処方に消極的でした。

現在も大麻の処方に関するガイドラインは作成されていませんが、時の流れとともにポーランドの医療従事者は大麻の医療効果について理解し始め、必要な人に大麻を処方するようになっていきました。

その結果、医療用大麻の処方数は2019年において2,909件でしたが、2023年には27,687件にまで大幅に増加。医療用大麻の調剤数も2019年は33.2kgでしたが、2023年では4.6tにまで増加しました

新型コロナウイルスのパンデミック以降に利用され始めたオンライン診療「e-レセプタ」も、医療用大麻の処方数増加に寄与しています。オンライン診察では1時間以内に医師の診察を受け、処方箋を受け取ることが可能。受けとった処方箋はポーランド国内の全ての薬局で利用することができます。

また、医療用大麻の専門医のみが在籍するクリニック「Klinika Konopna」が登場したことも医療用大麻市場の急成長に大きく貢献。Klinika Konopnaの医師はオンラインとオフラインの両方において、パーキンソン病PTSD不安障害不眠症など、幅広い病状に対し医療用大麻を処方しています。

しかし、地方の薬局では医療用大麻の在庫がなくなることが多いなど、まだまだ課題もあります。とはいえ、これらの課題を解決していくことで、医療用大麻の恩恵を受けるポーランド国民は今後ますます増加していくでしょう。

Newsweed「Cannabis médical en Pologne : les ordonnances augmentent de 9 420 % et la délivrance de 13 942 %」https://www.newsweed.fr/cannabis-medical-pologne-ordonnances/

TalkingDrugs「Poland is Having a Medical Cannabis Revolution」https://www.talkingdrugs.org/poland-is-having-a-medical-cannabis-revolution/

Wolne Konopie「Najnowszy sondaż CBS wskazuje, że 73,4% Polaków jest za depenalizacją marihuany」https://wolnekonopie.org/2024/03/najnowszy-sondaz-cbos-wskazuje-ze-734-polakow-jest-za-depenalizacja-marihuany/

Fakty Konopne「ILE TON MEDYCZNEJ MARIHUANY POLACY KUPILI W 2023 ROKU? REKORDOWE DANE Z MINISTERSTWA ZDROWIA」https://faktykonopne.pl/ile-ton-medycznej-marihuany-polacy-kupili-w-2023-roku/

廣橋 大

麻マガジンライター。看護師国家資格保有者。2021年より大麻の情報発信に携わる。

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