ハームリダクションとは?

「処罰ではなく、支援を」

このメッセージは、薬物問題への向き合い方を変革しようという世界的キャンペーンの言葉です。

日本では薬物使用者に対して行うのは逮捕、そして処罰です。しかし、世界の国々がなぜ昨今処罰を行うことを否定し始めたのでしょうか。

今回は、処罰ではなく支援をする考えである「ハームリダクション」について見ていきましょう。

 

薬物厳罰化を行ってきた数十年間

日本において薬物使用は、刑事罰として罰せられる違法行為です。

そのため、有名人の報道では「ダメ、ゼッタイ」の物に手を出してしまうなんてガッカリした。反省が足りない。絶対にやらなくなるように更なる厳罰化を!という論調が見られます。

しかし、日本を含め世界的に薬物を違法とし取り締まりが行われたこの数十年間、薬物の供給、使用のゼロを目指して国際的に厳しく取り締まった結果、薬物使用者、供給量はかえって増えてしまいました。

捜査や取り締まり、収監に多額の税金を投入したにも関わらず逆効果となってしまったのです。

 

ハームリダクションとは

ハームリダクション(harm reduction)とは、

直訳すると害(harm)を

減少させること(reduction)

例えば、公共機関が薬物の使用可能施設を用意し、そこでは自由に使用しても良いというルールを作り、注射針を配ります。

それによって、薬物の回し打ちによる感染症という害(harm)を減少させること(reduction)ができます。

バンクーバーにあるハームリダクションプログラム施設「Insite」
数年間の運用で近隣の薬物過剰摂取者が35%減少。

更に、公共の薬物使用可能施設に来てもらうことで様々な相談に乗ることも可能になります。

薬物は一度手を出すと辞められないと習ってきましたが、国連薬物犯罪事務所(UNODC)が2016年に発表した資料では薬物使用者の中で依存症状態にある方は全体の11.7%でした。

実は、薬物に依存しているというよりは、貧困の悩み、家庭内暴力から逃れたいなど、薬物で精神的に嫌なことを忘れたい。楽になりたい。という理由があることも多くあります。

そういった方々へするべきことは、薬物を使用しなくては生きていけないという精神状態を回復するサポートです。

回復に必要なのは、効果的な治療法や治療に繋がりやすい社会を作ることです。

 

例えば、ドイツの薬物の法律では薬物使用は自傷行為と考えられており刑罰に問われることはありません。

自傷行為と聞くと日本ではどのようなイメージでしょうか。私はリストカットが思い浮かびました。

自傷行為をしている方は本人の中で悩みや理由があります。

今の日本の薬物の法律は、自傷行為を行う方々に対して、反省が足りない!刑務所に入れ!としている状態です。

この状態では、ますますその方々は病み、行き場を失い、更なる自傷行為をしてしまいます。

そういった現状を変える真に良い方法は、「懲りずに薬物を繰り返す不届き者」として接するのではなく、思いやりを持ち「罰則ではなく、支援を」というのがハームリダクションの考えです。

 

2011年、薬物政策国際委員会(GCDP)は、「薬物戦争は完全に失敗であった」と宣言。各国に対し、刑罰ではなく医療と福祉的支援を提供するよう提言。

2014年、世界保健機関(WHO)は薬物使用を非犯罪化して受刑者を減らすよう求め、薬物使用者に適切な治療および清潔な注射針を提供できる体制を整えることを提案しました。

石井 竜馬

海外の大麻企業(栽培・加工・販売免許を保持して6年目)に投資家として関わる。コロナ騒動を機に日本で山暮らし開始。標高1,000mの地で井戸を掘り、湧き水と共に農的暮らし。珈琲焙煎士でもある。ヨガ歴19年。

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