THCとは?(Δ9-THC)

大麻の花に多く含まれるTHC。現在日本では、大麻の茎と種子から抽出した大麻製品のみ認めているためTHCは禁じられています。

医療用大麻を認可し、”疾患を治癒する成分THC”として処方している地域もあれば、「ダメ、ゼッタイ」というキャッチコピーと共に脳を破壊し”人生を破滅させる成分THC”と言われる地域もある。

そんな相反する意見を持つ大麻成分THCについて見ていきましょう。

THCとは

Tetrahydrocannabinol(テトラヒドロカンナビノール)、とも呼ばれる大麻の多種多様なカンナビノイドのうちの一つ。

一般的には、デルタ9-THC(Δ9-THC)のことをTHCと指しますが、デルタ8THCやデルタ10THCというい異性体も存在します。

THCとCBDはカンナビノイドの中でも、二大巨頭と言えるほど多く含まれています。

カンナビノイドの働き

ホメオスタシス(恒常性維持)という働きが人体には備わっています。ホメオスタシスとは、身体を適切な一定の状態に保とうとする働きのことです。体内の異常を察知するとエンドカンナビノイドシステムが作動し、身体を適切な状態に戻す働きをします。カンナビノイドはエンドカンナビノイドシステムの働きに欠かすことのできないものであり、体内にカンナビノイドが存在していなかったら人間は健康な状態を維持することができません。

THCの働き

エンドカンナビノイドシステムによって、カンナビノイド受容体に作用する、大麻を摂取しなくとも人体が天然で保持している神経伝達物質アナンダミド。アナンダミドは、痛みを殺し、鬱を解消し、快楽を生み出します。THCは、アナンダミドと非常によく似た働きをします。

 

THCの副作用

THCの効果を良いもの、楽しいものと多くの方が感じますが、人によっては不快なものでもあり、大量摂取した場合や特定の病状を持つ人にとっては危険なものでもあります。

THCの一般的な副作用
陶酔感
リラックス感
身体の重さ
聴覚・視覚効果の増強
時間感覚の麻痺
空腹感
口の渇き
記憶障害
めまい
不安感
心拍数の増加

THCを避けた方が良いと思われる方

心臓病:THCによって心拍数や血圧上昇が起こりえます。心臓発作や脳卒中のリスクが高い方は注意が必要です。

精神疾患:精神疾患を持つ人がマリファナを使用すると、統合失調症のような精神疾患を発症する可能性があるという研究結果があります。

未成年者:若年層のマリファナ使用を調査した研究者によると、発達中の脳に対してTHCは、IQの低下、衝動性の増加、数年後の気分障害や精神病症状のリスクの増加を引き起こす可能性があるとされています。未成年者への医療用大麻の処方を認めている地域もありますが、注意が必要です。

妊娠授乳中の女性:胎児や乳児への影響はまだ分かっておらず、異常をきたす恐れの可能性も考えられます。

 

THCの効果

少なくとも6000年前から、私たち人間の祖先は大麻を吸っており、人間の精神性を高めることや病気の治療などに使用してきましたが、数十年に突如世界的に禁じられました。最近になって、多くの地域で法改正され、医療用や嗜好用の大麻を入手することができるようになってきました。

地域によって医療用大麻が使用される疾患に違いはありますが、承認されている最も一般的な症状として、以下があります。

痛みの軽減
THCは鎮痛剤として有効であることが分かっています。そのため、がん患者や線維筋痛症など重度の慢性的な痛みを持つ患者によく使用されています。

ガン
腫瘍(しゅよう)の成長を抑え、新たながん細胞が作られるのを防ぎ、さまざまな種類の腫瘍の転移を減少させることが分かっています。また、化学療法を受けている患者にとって、吐き気、嘔吐、それによる体重減少は大変なものです。THCはこれらの症状にとても有効であり、がんやエイズの患者に多く処方されています。

けいれん
多発性硬化症などでは、筋肉が痙攣(けいれん)して硬くなり、痛みや激痛が発生します。THCは、運動に影響を与える脳の領域に作用して、痛みを伴う筋肉のけいれんを鎮めます。多くの患者が、従来の鎮痙剤よりも大麻の方が良いと感じています。

脳の神経保護
THCには神経保護作用があり、THCは、酸素不足、毒物、発作などによる脳細胞の損傷を防ぐのに有効であることが分かっています。研究者たちは、てんかん患者、心臓発作リスクが高い人、脳への血流が遮断される可能性のある心臓手術を受けようとしている人など、脳損傷のリスクが高い人にとって、THCが良い予防薬になるかどうかを確認するために研究を続けています。

うつ病
多くの薬物は脳の新しい細胞を作ることを阻害しますが、THCは脳細胞の生成を刺激することができるという研究結果があります。今後の研究によって、うつ病などの気分障害の治療に役立つ可能性があると考えられています。現在、医療関係者の間では、海馬で十分な数の新しい脳細胞が生成されないときに、うつ病が引き起こされると考えられています。

アルツハイマー型認知症やトゥレット症候群(チック)、ハンチントン病、PTSD、パーキンソン病を始め、多くの疾患に対してTHCの効能が良い結果を生み出すことが分かってきています。これだけ多くの疾患に対して良い結果が見られるのは、エンドカンナビノイドシステムの正常化が起きているからとしている研究者が多くいます。

 

THCを使用した医薬品

マリファナを禁止している法律によって、THCを含む治療薬を入手することがまだまだ多くの地域で制限されています。そのため、製薬会社はTHCの構造を模倣した合成薬も開発しています。医療用大麻が法律で認められていない地域に住む人々に代替薬を提供することが可能となったり、THC医薬品は、大麻を使用しているイメージを持たれにくいというメリットもあります。

ドロナビノール(Dronabinol)

THCの構造から最初に作られた医薬品は、ドロナビノールでした。マリノール(Marinol)が錠剤、シンドロス(Syndros)が液体として販売されています。この合成THCは、吐き気や嘔吐を抑え、食欲を増進させる効果があり、化学療法を受けている患者やエイズ患者によく処方されます。

サティベックス(Sativex)
サティベックスは、THCとCBDを1対1で混合している点が特徴です。また、合成物質ではなく植物全体の大麻からカンナビノイドを濃縮・精製しています。経口スプレータイプで、多発性硬化症患者の筋肉への効能などが認められています。

有用である一方、マイナス面もあります。例えば、ドロナビノールの効果は、THCの副作用よりもとても強力で、1回の服用で挫折してしまう患者もいます。サティベックスでは、約4分の1の患者が服用後にめまいを経験しています。医薬品が効いてくる時間を待つことが嫌いな人もおり、少量のマリファナを吸ってすぐに安心感や効能を得ることを好む人も多くいます。また、医薬品が大麻ほどには効かないと感じる人もいます。

まだ解明されていないものを含めたカンナビノイドやテルペンを全て含む植物全体を使用した大麻の方が、1つや2つの成分の摂取よりも効果があるということかもしれません。こういった症例は、大麻のアントラージュ効果の理論を裏付けるものともなっています。

 

マリファナの品種や栽培方法によって変わるTHC

一般的には、THCの濃度が高いものほど強い陶酔感を感じますが、摂取するマリファナの品種によって、THCの副作用の種類や強さが変わります。含有しているカンナビノイドやテルペンの違いによって、リラックスした気分になる品種もあれば、エネルギッシュな気分になるものもあります。生産者は品種の選択だけでなく、栽培方法によってもTHCの量が変わるため、消費者のニーズに合わせて日々改良を繰り返しています。

 

THCと日本の未来

マリファナは、ハイになるもの。危ないもの。そんなイメージが先行していましたが、THCは単なる嗜好品としてではなく、真の医療の可能性を秘めた成分として注目されるようになりました。合法化が進むにつれ、研究が急速に進んでいます。

日本は、世界一の高齢社会であり、医療が進んでも、多くの高齢者が亡くなる前の数年間、病院で闘病生活を送っています。その中には現在の医療では成す術ありませんと言われてしまう症状もあります。しかし、世界に繋がっているインターネットでその症状について調べると大麻で良くなった海外の方の症例が出てくることがあります。そんな方が使ってみたいと切望しても、今の日本では許されません。

ドラッグとして身を滅ぼすのではなく、”生きたい”と願う人々へは届く社会になってほしいと願っています。

“All substances are poisons:

there is none which is not poison.

The dose differentiates a poison from remedy.”

Paracelsus

すべての物質は毒である。

毒でないものはない。

量が毒か薬かを決める。

– パラケルスス

石井 竜馬

海外の大麻企業(栽培・加工・販売免許を保持して6年目)に投資家として関わる。コロナ騒動を機に日本で山暮らし開始。標高1,000mの地で井戸を掘り、湧き水と共に農的暮らし。珈琲焙煎士でもある。ヨガ歴19年。

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