HHCとは?

HHCとは?

日本政府は、大麻のハイになる成分デルタ9THCを厳しく取り締まっています。

アメリカでは医療用や嗜好用大麻を合法化している州ではデルタ9THCを州法によって認めていますが、連邦法ではデルタ9THCが0.3%以下の大麻であるヘンプやヘンプ製品のみを認めています。

そのため、医療用や嗜好用大麻の非合法州では規制のないデルタ8THCやデルタ10THC、THC-O、THC-Pなど、THCの異性体をヘンプのCBDを加工することで作り出し、法をかいくぐって販売し人気を博しています。

米国では、2021年7月にコロラド・クロマトグラフィー(Colorado Chromatography)社が、特許出願中のHHCを発表。(6aR,9R,10aR)-HHCと(6aR,9S,10aR)-HHCの2つを精製し単離しました。そして、すぐに「binoid」や「Bearly Legal Hemp」が販売開始。

新たに登場したHHCという名のカンナビノイドは、日本国内においても規制されていない成分でありながらデルタ9THCのような効果を得られると現在非常に注目されています。

※2022年3月17日よりHHCは、指定薬物として規制されています。

HHCとは

正式名称は、Hexahydrocannabinol(ヘキサヒドロカンナビノール)

大麻の中に極めて少量含有しているレアカンナビノイド。商業的に使用するほど天然の大麻の中には含まれていないため、HHCは合成されて作り出されます。

意外にもHHCはカンナビノイドの中でも歴史は古く、1944年にアメリカの科学者ロジャー・アダムス(Roger Adams)によって初めて生成されました。

その際には、デルタ9THCに水素分子を加え水素化させることによってHHCに変換しました。

HHCは、熱や紫外線に強い耐性があり酸化や分解の影響を受けにくく、THCよりも大幅に長く保存が効くという特徴があります。

HHCが生まれる工程

初めてHHCが発見された時はTHCを水素化しましたが、コストの関係から通常はCBDからHHCに変換されています。

変換途中で日本での規制物質であるTHCを通ることもあり、変換方法を知り、国内でその工程を行うことで問題となる可能性があるため具体的な加工方法の言及は控えさせていただきます。

今では、10種類を超えるHHCの異性体が発見されています。

THCよりもCBDがコストで上回る背景

米国では、2018年にデルタ9THCの含有量が0.3%以下の大麻をヘンプと定義。THC含有量が多いマリファナと区別し、ヘンプの栽培、抽出、販売をアメリカ連邦政府で合法化。

マリファナの生産、加工、販売は各州で免許制とし厳重に管理され高い税金を課されています。マリファナを栽培してTHCを作るよりもヘンプからCBDを作る方がコストが安い現状があります。

日本はHHC先進国

本記事筆者も2018年の夏に1ヶ月ほど研究室にこもっていた時期もあるなど、ご縁のある北陸大学。

北陸大学では、2007年に北陸大学研究室のメンバーがHHCに関する研究発表を行っています。

その研究の中ではCBDのデルタ9THC、CBN、HHCへの変換について公開しています。

北陸大学の研究チームは、9α-OH-HHC(9α-hydroxyhexahydrocanna-binol)および、8-OH-iso-HHC(8-hydroxy-iso-hexahydrocannabinol)をマウスで実験し、HHCによって睡眠時間が伸びること、痛みの感覚を抑制することができると結論付けています。

また、デルタ9THCと同様の薬理作用を示すが、作用はデルタ9THCよりも弱いと述べています。

HHCの効果

HHCはTHCにとてもよく似た物質で、THCと同じような効果をもたらすことがいくつかの研究で分かっています。しかし、新しいカンナビノイドのためHHCの情報は現在までのところ不足しています。

・痛みの軽減

・炎症の軽減

・睡眠の促進

・うつや不安の緩和

上記のような効果が現在期待されています。

HHCの抗がん作用

2011年にHHC類似体であるLYR-7 [(9S)-3,6,6,9-tetramethyl-6a,7,8,9,10,10a-hexahydro-6H-benzo[c]chromen-1-ol]とLYR-8 [(1-((9S)-1-hydroxy-6,6,9-trimethyl-6a,7,8,9,10,10a-hexahydro-6H-benzo[c]chromen-2-yl)ethanone)] という2つの成分がガン細胞の成長と、ガン形成の重要なステップである血管新生を阻害する可能性がEuropean Journal of Pharmacology誌に掲載されています。

また、HHCの抗がん作用に関して、BetterChem Consulting Inc.の創設者兼主任研究者のマーク・スシャルドネ(Mark Scialdone)博士が公開した2つの特許US9694040B2US10071127B2の中で、興味深い研究を参照しています。この中では、THCAとCBDAの水素化であるHTHCAとHCBDAが腫瘍のサイズを減少する特性を有しているというデータが公開されています。

HHCの副作用

陶酔感、リラックス感、身体の重さ、空腹感、口の渇きなどが報告されていますが、本記事公開までの段階では重篤な副作用の報告はされていません。

限られた数少ない研究データを見る限りはTHCと同等の副作用であると考えられています。

しかし、HHCの長期的なデータはありません。

HHCと自動車事故

THCやHHCには陶酔感があることから、使用後の運転はアルコールの「飲んだら乗るな」のような注意喚起は必要になるでしょう。

米国やカナダなど大麻を合法化している地域では、大麻を合法化しても自動車事故は増えていないというデータが存在しています。

HHCへの反応

米国の掲示板「reddit」では、ユーザーの声は肯定的なものが多く、日本のようにマリファナが非合法な地域では重宝されています。

また、そのユーザーの声の中には嗜好目的ではなく、医療目的で非常に有効であるという声もあります。

しかし、「THCに非常に似ているという点で危ない物質であるため規制するべきであり事業者は売るべきではない」「カンナビノイドを由来としているものの合成して作り出すことから合成カンナビノイドは危険だから規制するべき」「エビデンスが限られている物を販売するのは事業者としてお金しか考えていない」など様々な意見が存在しています。

HHCは消費者が決める

CBDが始まった当初も同様にエビデンスは限られていました。最初から購入に向かった方、様子をまずは見守る方がいらっしゃいました。そして、エビデンスは後から追いついてきました。

大麻由来の場合、日本で取り締まりの対象となっているTHCが混入するリスクがある。大麻はイメージが悪いなどの理由で大麻を使用せずにラボで科学的に合成CBDを生成しCBD製品を販売しているブランドも存在しています。CBDはCBDだからと購入される方、合成を敬遠する方がいらっしゃいます。

植物油脂に水素を添加することでマーガリンは生まれ、バターの代替品として販売されていますが、マーガリンは身体に悪いと敬遠する方、敬遠せず購入する方がいらっしゃいます。

安易な規制は死者を生む

「分からないものは危ないから規制するべき」という声がCBD事業者の方からも聞こえてきます。

しかし、HHCを規制したら次はこれが出てくるだろうというカンナビノイドが現在私が知っているだけでも10個ほど存在しています。

そして、規制を回避した合成を繰り返した先には死や後遺症を伴う重大な事故に繋がる可能性があります。

そのような結果を起こさないために、安易な規制はかけてほしくないと強く願います。

最後に

日本ほどTHC以外のカンナビノイドを幅広く使用できる国は実は多くありません。だからこそ、この国はTHC以外のカンナビノイドの使用法の発展は目覚ましいものがあります。そこから、世界を今後変えることになる発見・発明も生まれるかもしれません。

THCの場合、治癒効果と共にハイになることから日常的に使用することは難しいと考える患者もおり、ハイになる効果が低いものを求める声も存在します。

CBD製品はTHCが少量含有しているとアントラージュ効果によって非常に効果が高まるという研究データもあります。HHCを少量含めることで擬似的なフルスペクトラムCBD製品を作り出し効果が倍増する可能性もあります。

現代の医療ではどうすることもできずTHCがあれば…と一刻を争う病状をお持ちの方、そのご家族の方にはかすかに希望が見える可能性もゼロではないと私は考えています。しかし、まだ分かっておらず危険性があるという声も理解できます。

HHCが出回ることで健康被害などが出て、THCを含めた大麻の解禁が潰れてしまうという声も聞きました。

それは、CBDが始まる時にも言われていました。日本政府がCBDを取り締まらないからという理由で、「この製品に含まれるCBDという成分は医療効果もあり身体に良い。てんかん患者も救われる。規制成分THCは含まれていません」と広げて行ったら、「CBDは医療、THCは嗜好」と分裂し、THCを含めた大麻の解禁は遅れてしまうと考えた方々が私の周りにもいました。

しかし、取り締まりがないものは気付いた誰かが行動を起こします。「CBDから大麻の良さを知ってもらい、最終的にはTHCを」という道に日本は進みました。

どちらが正解なのかは分かりません。

現在の大麻は、品種改良や栽培環境が今までの歴史で繋いできた大麻とは多くが異なるものとなっており、その長期的影響は分かりません。CBDもTHCもHHCもVapeも数十年後どのように語られているかは現時点では分かりません。

私たちは今、世界の大麻の歴史に新たな1ページを日々刻んでいるのです。

そのため、売る、売らない、買う、買わないは、ご自身の判断で行ってください。

THCに似ているから禁止という、THCが悪という前提の議論にはなりませんように。

石井 竜馬

麻マガジン創設者兼編集長。海外の大麻企業に投資家として関わる。会社を売却し標高1,000mの山の中で井戸を掘り、湧き水と共に家族で農的暮らし。珈琲焙煎士でもある。ヨガ歴20年。

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