スティグマとは
英単語の「Stigma」の直訳では、汚名・烙印という意味があります。元々は奴隷や家畜に押された焼印に由来しています。
現在では、ジェンダー、人種、宗教、文化、精神疾患などの特徴に対して、否定的な信念から来る態度、差別を指します。
大麻使用者に対して日本国内ではネガティブなイメージが蔓延しており、大麻に対するスティグマは非常に強力です。
スティグマの例
「あの人は大麻で捕まった人だから」「あの人は○○だから」
↓
「彼らは悪い人」「彼らは怖い」
↓
「彼らは自分とは違う人間」
↓
「彼らを避けよう・非難しよう」「彼らは非難されて当然だ」
スティグマの例
「あの人は大麻で捕まった人だから」
「あの人は○○だから」
↓
「彼らは悪い人」
「彼らは怖い」
↓
「彼らは自分とは違う人間」
↓
「彼らを避けよう・非難しよう」
「彼らは非難されて当然だ」
スティグマの影響
他人からの差別的な攻撃や理解を得られないことが影響し、自分の存在意義の否定、他人に対する恐怖、怒りなどスティグマの影響は想像以上に深刻です。
・友人や家族からの不理解
・自信喪失感の増大
・社会からの拒絶、孤立
・嫌がらせ、暴力、いじめの発生
・心理的な幸福感の低下
薬物依存問題では、薬物使用者は貧困の悩み、家庭内暴力から逃れたいなど、精神的に嫌なことを忘れたい。楽になりたい。という理由で使用することが多くあります。
そういった方々へするべきことは、薬物を使用しなくては生きていけないという精神状態を回復するサポートや現状を変える支援です。
しかし、「支援ではなく、処罰をする」というのが現在の日本社会です。
「薬物犯罪者」というレッテルを貼る社会のスティグマによって、生きる価値を感じなくなり、その状態を少しでもいいから忘れたい、抜け出したいと助けを求めて再び薬物を使用するという事実が実際にあります。
スティグマが、薬物使用に向かわせるのです。
スティグマはメディアや教育によって作られる
テレビや雑誌などの各メディアは、人々をジャンル分けし「このグループの人々は○○である」と先入観によるイメージを付け、「この考え方の人はおかしい」とおもしろおかしく伝え、スティグマを作り出してきました。
大麻が良くないイメージは、国を上げた大麻撲滅教育によってスティグマを作り上げました。
「大麻、ダメ、ゼッタイ」というスローガンのもと大麻が悪いという教育をしていなければ、現在のような大麻に関するスティグマは存在していません。
増大しているスティグマ
インターネットが発展し、皆がスマホを持ち、SNSがない生活は考えられないという人がいるほど、近年は情報の取り方、人との繋がり方が変わってきました。
SNSでは、同じ趣味・意見・関心を寄せる同士が繋がりやすく、現代人に様々な刺激や楽しみをもたらしています。
しかし、その一方で、似た考え・意見ばかりが集約されることで、スティグマの強化が起きています。
自分と同じ考えを持つ人同士で構成されたコミュニティでは、コミュニティ内での意見は正しいと思い込み、異なる考えを排除する動きへも繋がっています。
そうして、インターネットという空間によって広がった世界にも関わらず、個人の考えや価値観は狭くなっています。
多様性を認める社会へ
昨今、「多様性」という言葉がよく使われるようになっています。
国連で決定された持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)では、地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っています。
ジェンダー、国籍、信仰、婚姻制度や薬物問題など法律に対する考えなど、価値観は人それぞれ異なります。
自分に必要がないから否定するのではなく、自分には必要ではないけれど必要とする人もいるかもしれない。
自分は好きではないけれど、好きな人もいるかもしれない。と許容し合える社会になってほしいと願っています。
スティグマは変えられる
教育やメディアによって作られてきたスティグマ。
見方を変えればそれは、現在のスティグマも教育やメディアの力で防止や軽減が可能であるということです。
これからの時代は、一人一人がメディアです。
一人でも多くのメディアが、理解できない他人の考えを否定するのではなく「理解できないことがあることを理解する」ようになってほしいと願っています。
そうすることで、日に日に増え続けている精神疾患が減り、精神的に豊かな社会になると信じています。