セサメットとは?

セサメットとは?

この記事では、大麻由来医薬品であるセサメット(ナビロン)についてお話します。

日本では承認されておらず、治験の予定もありません。

以下の内容は主にFDA(アメリカ食品医薬品局)の文書を参照しています。

セサメットとは?

セサメット(ナビロン)とは、THC(テトラヒドロカンナビノール)を模倣した合成カンナビノイドの経口用カプセルで、カナダにあるBAUSCH HEALTH社(旧:Valeant Pharmaceuticals International社)により開発されました。

1985年に初めてFDA(アメリカ食品医薬品局)で承認されましたが、実際に市場で扱われるようになったのは2006年です。

セサメットはアメリカ以外にもカナダ、イギリス、オーストリア、スペイン、ベルギー、メキシコなどにおいて承認されています。

セサメットの適応症は?

主な適応症は、化学療法による難治性の悪心・嘔吐です。つまり、通常の制吐剤で効果が認められなかった場合に用いられることになります。

アメリカでは上記のみの適応となりますが、カナダではAIDS(後天性免疫不全症候群)や悪液質にも用いられています。

※悪液質とは?

食事を摂取しているのにも関わらず、体重減少、栄養失調、筋肉や脂肪量の減少が認められる状態。がんなどの消耗性疾患でみられる。

セサメットは他にも不眠症や悪夢などの睡眠障害、慢性疼痛などにも使用されることがあるようです。

適応とはなっていませんが、セサメットはパーキンソン病の不安や睡眠障害線維筋痛症の痛みPTSD(心的外傷後ストレス障害)における悪夢などにおいても有効である可能性が示されています。

セサメットの有効性は?

2008年の研究では、セサメットは化学療法による悪心・嘔吐に対し、消化管運動改善薬であるナウゼリン(ドンペリドン)や統合失調症治療薬であり制吐作用も有するノバミン(プロクロルペラジン)よりも優れていることが報告されています。

ただし2015年のメタ分析で「化学療法による難治性の悪心・嘔吐に有効である可能性がある」と述べられていることからも分かるように、必ずしも有効とは限らないようです。

セサメットの副作用は?

最も多い副作用は眠気やめまい、のどの乾きです。

他にも運動失調、多幸感、視覚の変化、集中力の低下、起立性低血圧などがみられることがあります。

セサメットの依存性は?

セサメットはCB1受容体に作用するため「ハイ」になることはありますが、乱用の危険性は極めて低いことが示されています

セサメットの最大推奨用量は1日6mgであり、この範囲内では特に問題とはならないようです。

ただし、セサミットはスケジュールⅡの薬物(乱用の危険性あり)に分類されています。

廣橋 大

麻マガジンライター。看護師国家資格保有者。2021年より大麻の情報発信に携わる。

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