関節炎に対するCBD使用によって痛み・睡眠・身体機能を改善

関節炎に対するCBD使用によって痛み・睡眠・身体機能を改善

- アメリカの横断的研究

今月24日、関節炎や関節痛に対しCBD(カンナビジオール)を使用した人々を調査し分析した結果がアメリカの研究者らにより報告されました。

この研究の目的は、関節炎患者へのオンライン調査を通して、①CBDの使用は関節炎の症状に有効なのか、②処方薬の使用状況に変化をもたらすのか、③関節炎の種類(変形性関節症、関節リウマチ、その他の関節炎)によって有効性が異なるのか、といった点を明らかにすることでした。

関節炎に対するCBDの有効性は痛み、睡眠、身体機能に対し、回答者が5段階で主観的に評価することにより行われました(かなり悪くなった、少し悪くなった、変化なし、少し良くなった、かなり良くなった)。痛みに対しては0〜10(数値が高いほど痛みが強い)で、痛みの強度を評価するスケール(NRS)も用いられました。

対象となったのは18歳以上の関節炎患者604名で、関節炎に対しCBDを使用したことのある人は70.9%(428名)でした。このうち変形性関節症の人は204名、関節リウマチの人は142名、その他の関節炎の人は82名となっていました。

CBD使用により痛み、睡眠、身体機能の改善が認められた割合は、以下の通りです。

痛み:「かなり良くなった」37.9% 「やや良くなった」45.1%

睡眠:「かなり良くなった」37.6% 「やや良くなった」28.5%

身体機能:「かなり良くなった」28.7% 「やや良くなった」37.4%

関節炎の種類ごと(変形性関節症、関節リウマチ、その他の関節炎)における有効性の比較では、変形性関節症の身体機能の改善において有意差が認められましたが、痛みと睡眠の改善においてはグループ間で差は認められませんでした。

NRSによる痛みの評価では、全体としてCBDにより有意な改善が認められ、2.58ポイント(44%)の減少が報告されました。なお、2ポイント(30%)以上の減少は臨床的に重要な意味を持つとされています。このスコアの改善は特に変形性関節症の人において大きくなっていました。

処方薬はN-SAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)の使用が91.6%(392名)、アセトアミノフェンの使用が66.1%(283名)、オピオイドの使用が42.3%(181名)となっていましたが、回答者の60.5%(259名)がCBDの使用により処方薬の減量や中止を報告しました。

各鎮痛剤の減量・中止の割合は以下の通りです。

N-SAIDsの中止:17.8%(76名)

アセトアミノフェンの減量:18.2%(78名) 中止:17.8%(76名)

オピオイドの減量:8.6%(36名) 中止:18.9%(81名)

今回の研究ではCBDの使用頻度が高いほど、あるいは使用期間が長いほど痛み・睡眠・身体機能の改善を有意に認めることも示されました。実際にCBDを3年以上使用している人は、使用歴が1ヶ月未満である人と比べ、処方薬の減量・中止の可能性が3.6倍高くなっていました。

CBDによる副作用は回答者の41%において報告され、多い順に口渇(20%)、眠気(17%)、食欲増進あるいは低下(9%)、目の乾燥(8.6%)、集中力低下(5.4%)、めまい(4%)、頭痛(4%)、腹部症状(3.5%)となっていました。

今回の研究において、関節炎に対し多くの人がCBDを使用しており、その大部分が有効性を実感していることが示されました。

一方、医師にCBDの使用を伝えていないと回答した人が45.6%(195名)いたことも報告されました。これに対し研究者らは「CBDは処方薬と相互作用する可能性もあるため、CBD使用の際には医師に相談することを推奨する」と述べています。

関節炎に対するCBDの有効性はほとんどが動物を対象とした研究において示されており、人を対象とした研究はまだ少ない状況となっています。

今月22日には、変形性関節症モデルマウスに対しCBDオイルとCBG(カンナビゲロール)オイルをそれぞれ使用したところ、両方のオイルにおいて痛み、炎症、歩行状態の改善が認められ、さらにCBGにおいては軟骨を保護する作用も示されたことが報告されています。

今年5月には、母指CM関節症(親指の付け根の変形性関節症)患者の患部にCBDを含有したシアバターを1日に2回塗布することにより、痛みの軽減や機能改善が認められたことが報告されています。

廣橋 大

麻マガジンライター。看護師国家資格保有者。2021年より大麻の情報発信に携わる。

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