6月13日、イスラエル国会(クネセト)の保健委員会は、医療用大麻に関する新規定を発表。これによれば、ライセンスなしで多くの医師が特定の疾患・症状を持つ患者に対し医療用大麻を処方できるようになります。
イスラエルは1990年代に初めて医療用大麻ライセンスを発行。また、カンナビノイド研究の父と呼ばれた偉大な科学者ラファエル・ミシューラム(Raphael Mechoulam)博士が長年に渡り研究を続けた国でもあることから、医療用大麻の先進国として知られています。
しかし、近年ではその勢いに陰りがみられており、イスラエル政府はこれまでの状況に対応するため、昨年から新たな改革案を提示してきました。
現在、イスラエルで医療用大麻が処方されるプロセスには、2つのルートがあります。1つ目は、保健省から専門的な訓練を受け、認定を受けた医師が処方するルート。もう1つは、一般の医師が医療用大麻による治療が必要だと判断し、保健省に申請して許可を得てから処方するルートです。
このように、医師が患者に医療用大麻を処方するには複数のプロセスを経る必要があり、このことは医療用大麻へのアクセスを困難にしている一因と考えられています。
今回発表された新規定では、家庭医、小児科医、内科専門医を除く全ての医師は、ライセンスなしで特定の疾患・症状を持つ患者に対し医療用大麻を処方することが可能になります。ただし、これらの医師は、医療用大麻に影響を及ぼすカシュルート(ユダヤ教の食事規定)の問題について研修を受ける必要があります。
特定の疾患・症状とは具体的に、てんかん、クローン病、認知症、自閉症スペクトラム症、進行がん、多発性硬化症、エイズ、余命6ヶ月以内の末期患者などを指します。
この新規定は、発表から180日後より発効となる予定です(2024年1月頃)。
保健委員長であるウリエル・ブッソ(Uriel Busso)氏は「私たちは患者さんの福祉、そして痛みを和らげる必要性について考えています。これは最初の一歩に過ぎず、検討や治療が必要な医学的適応症が(まだ)あります。医師からの供給とアクセス性を高め、漏れや誤用に対処していきながら、医療用大麻の価格を引き下げていきます」と述べています。
政府の発表によれば、2022年8月時点で、イスラエルで医療用大麻による治療を受けている患者は約114,000名と推定されていますが、今回の新規定が発効されれば、今後さらに利用患者数が拡大していくと予想されます。
The Jerusalem Post「Accessibility to medical cannabis in Israel to be made easier for some」https://www.jpost.com/health-and-wellness/article-746137
I24NEWS「Access to medical cannabis to be expanded in Israel」https://www.i24news.tv/en/news/israel/society/1686683682-access-to-medical-cannabis-to-be-expanded-in-israel