イスラエルのがん患者、医療用大麻により症状改善や鎮痛剤中止を報告

イスラエルのがん患者、医療用大麻による症状改善や鎮痛剤中止を報告

- 6ヶ月間の追跡調査

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2022年5月20日、医療用大麻による治療を開始したがん患者を6ヶ月間フォローアップ調査し有効性と安全性を評価した論文がイスラエルの研究者らにより公開されました。

対象となったのはイスラエルで医療用大麻の処方を受けた18歳以上のがん患者で、がんによる心身の負担・関連症状・痛みの変化や副作用などについてオンラインでアンケート調査されました。アンケートは医療用大麻使用開始時から行われ、1ヶ月後、3ヶ月後、6ヶ月後にフォローアップ調査が行われました。

医療用大麻による治療開始時の有効回答者数は324名で59%(192名)が女性でした。罹患していたがんとしては乳がんが最も多く、次いで結腸がん、肺がん、卵巣がんでした。48%(154名)がステージⅣの進行がんで、55%(179名)が化学療法を受けていました。

その後のフォローアップ調査における有効回答者数は1ヶ月後で212名、3ヶ月後で158名、6ヶ月後で126名となりました。

最も多かった医療用大麻の投与方法はオイル(41%、52名)で、期間を通して大麻の使用量に大きな変動は認められませんでした。ただし、THC(テトラヒドロカンナビノール)優位の大麻を使用している人では、THCの月間使用量は開始1ヶ月後では平均2000mgでしたが、6ヶ月後では3000mgにまで増加していました。これについて研究者らは、THCに耐性がついた、あるいは医師が慎重であり少量のTHCから処方していた可能性があると述べています。

当研究の主要アウトカムであるMSAS(がんによる身体的・心理的負担をスコア化したもの)においては、医療用大麻使用者の約60%が肯定的な成果を報告し、回答者の約40%が30%以上の負担軽減を報告しました。

がんに併存する症状(不安、うつ病、睡眠の問題)やQOLにおいても約60%の人が肯定的な結果を報告しましたが、これらは6ヶ月後において統計的に有意となるものがほとんどでした。つまりこれらに対しては、医療用大麻の効果が現れるまでにある程度の期間が必要である可能性を示しているということになります。

痛みに関しては、程度こそ大きくなかったものの、医療用大麻の使用により50%以上が痛みの改善を報告。6ヶ月後のフォローアップ調査では、もともと医療用大麻開始時にオピオイドを含むその他の鎮痛薬を服用していた患者74名のうち、40%(30名)が鎮痛剤の服用を中止していたことが分かりました。

一方で6ヶ月間のうち一部の患者(約20%)では変化ないか痛みの増悪が認められ、20%(10名)が鎮痛剤の開始を報告しました。これについては、医療用大麻が全ての人に有効なわけではなかったこと、耐性がついたこと、がんの進行に伴いこれまでの疼痛管理では対処しきれなくなったことなどが可能性として考えられるとしています。

医療用大麻の副作用としては、6ヶ月間の使用で20〜30%の患者で報告されましたが、重篤なものはありませんでした。具体的な副作用として報告されたのは疲労感(5名)、めまい(4名)などでした。

全体として今回の研究では、がん患者の心身の負担、関連症状、痛みなどに対し、医療用大麻が軽度から中等度の改善をもたらすことと、その安全性が示されました。ですが、まだがんに対する医療用大麻の有効性や臨床的意義は限定的であり、処方する際には患者の有益性を慎重に考慮する必要があるだろうと研究者らは述べています。

廣橋 大

精神病院に勤める現役看護師。2021年初頭より大麻使用罪造設に向けた動きが出たことをきっかけに、麻に関する情報発信をするようになる。「Smoker’s Story Project」インタビュアー。

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