フランスが医療用大麻を一般化へ　最終手段として処方可能に

12月初頭、フランス議会は2024年社会保障財源法案（PLFSS 2024）を承認。これによれば、フランスでは2025年以降、医療用大麻が一般医療の枠組みの中で扱われることになり、他の治療法が有効でなかった場合の最終手段として医師から処方を受けることができるようになります。

フランスは2021年3月より医療用大麻の試験運用プログラムを開始。このプログラムでは最大3,000名の患者が難治性てんかん、神経障害性疼痛、多発性硬化症、がん関連症状などの緩和のために、無料で医療用大麻による治療を受けることができます。

このプログラムの目的は、医療用大麻合法化の可否を評価すること。当初プログラムは2年間で終了となる予定でしたが、データ不足等の理由により1年間延長されています（2024年3月末まで）。

いよいよプログラムの終わりが近づき、医療用大麻の合法化が期待される中、フランスの国会議員は来年の社会保障財源法案を最終決定しました。

これによれば、フランスにおいて全面的に医療用大麻が合法化されることはまだありません。この理由として、フランス政府はヨーロッパで医療用大麻の販売承認が得られていないことを挙げています。

しかし、医療用大麻は一般的な医療と同じ枠組みの中に位置づけられ、他の治療で十分な効果が認められない場合に限り、医師による処方が一時的に認可されます。この一時的な認可はケースバイケースで5年間継続され、これ以降も状況に応じて適宜更新されます。

処方が可能な病状に関しては今後定められる政令により明らかになる予定。なお、花製品や吸入製品の処方は認められません。

医療用大麻の試験運用プログラムに関しては2024年3月末に終了となりますが、その後最大9ヶ月間の移行期間が設けられます。今回の法案ではこの移行期間に1,000万ユーロ（約15億7,000万円）の予算が計上されていますが、この金額は試験プログラムに割り当てられた予算の約5倍となっています。

これにより、現在試験プログラムに参加している患者は引き続き医療用大麻の利用が可能となり、国の医療保険から払い戻しを受けることができます。

大麻産業に特化したコンサルタント企業「Augur Associates」のCEOであるベンジャミン＝アレクサンドル・ジャンロワ（Benjamin-Alexandre Jeanroy）氏はBusiness of Cannabisの取材に対し、「医療用大麻を一般法に組み込むものであるため、非常に重要な一歩です」

「それ自体が大きな勝利です。（医療用大麻を）処方される前に他のあらゆる治療法を試さなければならない患者にとっては依然として難しいことですが、今や医師が処方し、患者が利用できるツールボックスの一部となっています」と述べました。

フランスの現地メディアは2月、医療用大麻の試験運用プログラムに参加中の患者を対象とした調査を実施。その結果、多くの患者が医療用大麻の効果を実感し、91%が医療用大麻の合法化を支持していたことが明らかにされています。

なお、フランス政府の諮問機関であるCESE（経済・社会・環境評議会）は1月、嗜好用大麻を合法化すべきとの意見案を採択しています。