大麻成分CBDが月経関連症状を緩和

- アメリカの臨床試験

大麻成分CBDの摂取により、月経関連症状に悩む女性の諸症状が緩和されたことが報告されました。論文は「Experimental and Clinical Psychopharmacology」に掲載されています。

月経(生理)とは、子宮内膜が剥がれ落ちることで生じる出血のこと。月経周期は25〜38日に1回が正常とされています。月経による出血は3〜7日間持続し、その間に20〜140mlの出血がみられます(この量を超えると「月経過多」と言われます)。

月経時には個人差があるものの、下腹部痛腰痛頭痛、イライラ、吐き気など、様々な不快症状が現れます。特に月経時の痛み(生理痛)は一般的であり、ロキソニンやカロナールなどの痛み止めを常備している女性は少なくありません。

月経時の不快症状は多くの女性で認められますが、人によってはこれらの症状が日常生活に支障をきたすほど強く、治療が必要になる場合もあります(月経困難症)。

また、月経時だけでなく、月経の3〜10日前にも、一過性にイライラ、抑うつ、乳房痛、頭痛、むくみなどの症状が出現することがあります(PMS:月経前症候群)。

月経前・中の身体症状が強い場合には、低用量ピルや低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬(LEP)といった排卵を止める薬が用いられます。精神症状が強い場合には、抗うつ薬(SSRI)が用いられることもあります。

初経から閉経までの約35〜40年間、女性は周期的に月経を経験しています。そのため、月経に伴う不快症状を軽減するための選択肢が増えることは、女性のウェルネス向上において重要となります。

月経関連症状に対するCBDの有効性を検証

アメリカの研究チームは月経関連症状に対するCBDの有効性を検証するため、月経関連症状に悩む女性33名(平均年齢約20歳)を対象とした3ヶ月間の臨床試験を実施。

CBDは大麻に含まれる有効成分の1つ。これまでの研究において鎮痛作用抗炎症作用抗うつ作用抗不安作用抗ストレス作用などの効果が示されており、今回の研究でも有効性が期待されました。

この臨床試験で用いられたのは、CBD20mg(+MCTオイル)を含むソフトジェル。参加者はそれぞれ、1日にCBDを160mg摂取する群(17名)と320mg摂取する群(16名)に振り分けられました。

参加者は毎月、月経関連症状が出現してから5日間、1日に2回(朝晩)CBDソフトジェルを摂取。CBDの吸収率を高めるため、脂肪分の高い食品と一緒に摂取することが推奨されました。

CBDの有効性は、月経関連症状全般(MRSQ)、イライラ(BITe)、抑うつ・不安・ストレス(DASS-21)、全体的な変化の印象(GIC)、主観的な重症度を通して評価されました。

MRSQ(Menstrual-Symptom Questionnaire)

月経に伴う身体・精神症状に対する自己評価尺度。スコアが高いほど症状が重度であることを示す。

BITe(Brief Irritability Test)

イライラに対する自己評価尺度。スコアが高いほどイライラが強いことを示す。

DASS-21(Depression, Anxiety, and Stress Scale–21)

抑うつ、不安、ストレスに対する自己評価尺度。スコアは抑うつ、不安、ストレスでそれぞれ算出される。スコアが高いほど症状が重度であることを示す。

GIC(Global Impression of Change)

月経関連症状に対するCBDの有効性を1(非常に改善した)〜7(非常に悪化した)で評価。

主観的な重症度

月経関連症状に対する主観的な重症度を1(軽度)〜4(重度)で評価。

月経関連の様々な症状に効果

検証の結果、CBDは用量に関係なく、月経関連症状全般、イライラ、不安、ストレス、全体的な変化の印象、主観的な重症度の有意な改善をもたらしました。抑うつに関してはスコアの改善が観察されたものの、有意な効果とは認められませんでした。

CBD服用による具体的な平均スコアの変化は、以下の通り。

【CBD160mg/日投与群】

月経関連症状全般(MRSQ

ベースライン時:52.65
→1ヶ月目:43.71、2ヶ月目:40.65、3ヶ月目:42.06

イライラ(BITe

ベースライン時:12.53
→1ヶ月目:10.76、2ヶ月目:11.53、3ヶ月目:11.24

不安(DASS-21下位尺度

ベースライン時:8.82
→1ヶ月目:6.12、2ヶ月目:7.53、3ヶ月目:7.18

ストレス(DASS-21下位尺度

ベースライン時:12.59
→1ヶ月目:9.65、2ヶ月目:10.35、3ヶ月目:8.35

抑うつ(DASS-21下位尺度

ベースライン時:9.65
→1ヶ月目:6.24、2ヶ月目:7.41、3ヶ月目:8.59

全体的な変化の印象(GIC

ベースライン時:4.00
→1ヶ月目:3.35、2ヶ月目:3.00、3ヶ月目:3.06

主観的な重症度

ベースライン時:2.71
→1ヶ月目:2.18、2ヶ月目:2.06、3ヶ月目:2.00

【CBD320mg/日投与群】

月経関連症状全般(MRSQ

ベースライン時:50.38
→1ヶ月目:46.38、2ヶ月目:41.44、3ヶ月目:41.69

イライラ(BITe

ベースライン時:14.50
→1ヶ月目:12.75、2ヶ月目:12.06、3ヶ月目:11.94

不安(DASS-21下位尺度

ベースライン時:8.38
→1ヶ月目:4.63、2ヶ月目:5.38、3ヶ月目:4.75

ストレス(DASS-21下位尺度

ベースライン時:12.75
→1ヶ月目:10.63、2ヶ月目:9.38、3ヶ月目:8.88

抑うつ(DASS-21下位尺度

ベースライン時:8.00
→1ヶ月目:5.88、2ヶ月目:5.75、3ヶ月目:7.25

全体的な変化の印象(GIC

ベースライン時:4.06
→1ヶ月目:3.63、2ヶ月目:3.06、3ヶ月目:3.00

主観的な重症度

ベースライン時:2.69
→1ヶ月目:2.31、2ヶ月目:2.25、3ヶ月目:2.19

著者によれば、この研究は月経関連症状に対するCBDの有効性を検証した初の臨床試験となります。

そして、検証の結果、「ベースライン時とCBDを服用した1、2、3ヵ月目を比較した場合、どちらの投与条件においても月経関連症状(平均値の変化率=17.21%)、症状の主観的な重症度(平均値の変化率=19.70%)、全体的な変化の印象(平均値の変化率=20.92%)、不安(平均値の変化率=30.70%)、ストレス(平均値の変化率=24.73%)、イライラ(平均値の変化率=13.33%)の月次評価が低下した」

「注目すべきは、主要アウトカム(月経関連症状)における症状の変化がCBDを摂取した最初の月に現れ、ほとんどの結果でその後の調査月にわたり一貫して持続したことである」

「いずれの結果においても、用量による差は認められなかった。総合すると、調査結果はCBDが月経関連症状と、関連する心理的転帰の管理に役立つ可能性があること示唆している」と著者は述べています。

ただし、この研究にはサンプルサイズが小さいこと、比較対象となる治療群が存在しないこと、プラセボ効果の可能性など、いくつかの限界があります。そのため、月経関連症状に対するCBDの有効性を実証するためには、今後もより質の高い研究を積み重ねていく必要があります。

CBDは大麻に含まれる有効成分の1つです。そのため、別の研究では、月経関連症状に悩む一部の女性がCBDではなく、大麻そのものの使用で恩恵を受ける可能性も示されています

実際にPMSとPMDD(月経前不快気分障害)に悩む大麻経験者145名を調査した研究では、ほとんどの女性がPMSやPMDDの症状に大麻が有効であると考えており、これらの症状の出現時に大麻の使用頻度が増加したことが報告されています

米国成人女性1,021名を対象とした調査では、3分の1以上(37%)が大麻の使用を報告し、その理由として「不安を解消するため(60%)」、「睡眠を助けるため(58%)」、「痛みを和らげるため(53%)」などを挙げています

カナダのブリティッシュ・コロンビア大学の研究チームは、慢性骨盤痛を有する女性を対象とした調査を行った結果、大多数の女性が大麻の使用により痛み、精神面、QOLなど様々な面でポジティブな効果を得ていたことを報告しています

また、カナダの別の研究では、多くの女性が大麻は更年期障害の緩和に役立つと実感していたことが報告されています

廣橋 大

麻マガジンライター。看護師国家資格保有者。2021年より大麻の情報発信に携わる。

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