CBDゲルが顎関節症の痛みや歯ぎしりを改善

CBDゲルが顎関節症の痛みや歯ぎしりを改善

- ポーランドの臨床試験

大麻成分CBDを含んだゲルを口腔内に塗布することで、顎関節症患者の痛みや歯ぎしりなどが緩和されたことが報告されました。論文は「Journal of Clinical Medicine」に掲載されています。

顎関節症とは、顎の関節とそれに関連した筋肉(咬筋)に異常をきたす病気の総称のこと。主な症状として、開口時に生じる顎関節や咬筋の痛み、口の開きにくさ(開口障害)、口の開閉時に生じる顎関節の雑音などがみられます。

顎関節症は珍しい病気ではありません。疫学調査によれば、人口の7〜8割は顎に何らかの問題を抱えており、このうち7〜8%が病院で治療を受けています。また、男性よりも女性のほうが罹患率が高いのも特徴です。

顎関節症は複数の要因が重なることで発症すると考えられています。具体的な原因としては、食いしばりや歯ぎしり、食べ物を片方の歯で噛む、ストレス、緊張の持続、うつ伏せ寝、外傷、コンタクトスポーツなどが挙げられます。

顎関節症の多くは、顎関節に負担をかけている生活習慣や癖を改善することで自然に治癒します。それでも改善しない場合は、マッサージやストレッチなどの理学療法を行ったり、スプリント(マウスピース)を使用したりします。

痛みに対しては、非ステロイド性抗炎症薬(N-SAIDs:ロキソニンやイブなど)やアセトアミノフェン(カロナールなど)が使用されます。痛みが慢性化した場合には、抗うつ薬の使用も検討されます。他にも、トラムセットの様な非麻薬性オピオイドや筋弛緩薬が用いられることもあります。

顎関節症患者にCBDゲルを用いた臨床試験

大麻や大麻に含まれるCBDを始めとしたカンナビノイドは、鎮痛作用を有することで知られています。それだけでなく、抗炎症作用抗不安作用睡眠の改善ストレスの緩和など、多様な効果を有する可能性も明らかにされてきています。

これらのことから、ポーランドのシレジア医科大学の研究チームは顎関節症に対するCBDの有効性を検証するため、臨床試験を実施。

研究の対象となったのは、シレジア医科大学顎関節症科に通院中の顎関節症患者60名(平均年齢23.9歳、女性60%)。参加者はそれぞれ5%CBDゲル群、10%CBDゲル群、プラセボ(偽薬)ゲル群に20名ずつランダムに振り分けられました。

参加者は就寝前にCBDゲル(またはプラセボゲル)を口腔内(咬筋のある部位)の両側に、それぞれ0.2gずつ塗布(CBD投与量は10%CBDゲルであれば40mg/日、5%CBDゲルであれば20mg/日に相当)。ゲルの塗布後は、就寝までいかなる飲料も飲まないように指示されました。

なお、CBDゲルの容器には、底にあるつまみを回すと1回量(0.2g)のゲルが出てくるように設計された特殊な容器が用いられました。

有効性の評価は、痛み(VASによる痛みの11段階評価)、睡眠時の歯ぎしり(参加者が夜間ポータブル装置を装着し毎日測定)、咬筋の緊張(専用装置を用いた測定)の程度を通して行われました。これらのデータは治療開始前、治療開始14日後、30日後に参加者の通院時に収集されました。

できる限り正確な評価を行うため、参加者と評価者は誰がどのゲルを使用しているのか分からないように工夫されました(二重盲検ランダム化プラセボ対照試験)。

痛み、歯ぎしり、筋緊張が有意に改善

検証の結果、5%CBDゲル群と10%CBDゲル群ではプラセボ群と比べ、痛み、睡眠時の歯ぎしり、咬筋の筋緊張が有意に改善。特に、10%CBDゲル群では5%CBDゲル群よりも高い効果が示されました。

これらの結果を受け、論文の著者は「このランダム化試験で、著者らはCBDの口腔内投与が筋緊張、痛覚、ブラキシズム(歯ぎしり)の程度に及ぼす影響を調査した。その結果、口腔内CBD塗布と、筋緊張・睡眠時ブラキシズムの強さ・痛みの統計学的に有意な軽減との間に、有意な相関があることが明らかになった」

「高濃度のCBD製剤(10%)を投与された患者は、低濃度のCBD製剤(5%)を投与された患者と比較して、痛みの感覚、筋肉の緊張、ブラキシズムの強さに顕著な改善を示した。興味深いことに、プラセボを投与された患者は、これらのパラメーターに最小限の変化しか示さなかった」と述べています。

また、CBDゲルの口腔内塗布による副作用も報告されなかったと、著者は報告しています。

なお、著者によれば、CBDの口腔内塗布が疼痛と筋緊張の軽減に及ぼす効果について検討した臨床試験は、本研究が初とされています。

ただし、この研究にはサンプル数が少ないこと、家庭内で自己投薬されたこと(正しい投薬が行われていたか絶対的な信憑性がない)、単一施設でしか検証を行っていないことなど、いくつかの限界があります。

顎関節症におけるカンナビノイドの研究は初期段階にあり、臨床試験はまだほとんど行われていません。

今回の試験を行ったポーランドの研究チームは、2019年にも顎関節症患者を対象としたCBDの臨床試験を実施。CBDオイル製剤を口腔外(咬筋)に14日間塗布したことで痛みが70.2%減少し、咬筋の筋緊張も改善したことを報告しました

ブラジルの研究チームは2023年、従来の治療で十分な効果が認められなかった顎関節症患者にCBDオイルを舌下投与(昼食前3mg、就寝前3mg)してもらった結果、症状が消失し、全体的なQOLが改善した症例を報告。患者はCBD摂取開始から3日間だけ下痢が生じたことを除き、特に副作用はみられなかったと報告し、「私は長い間、カンナビジオール(CBD)オイルなしで過ごすつもりはない」と語りました。

また、ラットの研究においては、CBDだけでなく、THCCBNにおいても有効性が示されています

廣橋 大

麻マガジンライター。看護師国家資格保有者。2021年より大麻の情報発信に携わる。

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