新型コロナ、大麻使用者は重症化しにくかったことが報告される

新型コロナ、大麻使用者は重症化しにくかったことが報告される

- アメリカの後ろ向き研究

現在日本では新型コロナウイルス感染の第7波が猛威を振るい、感染者数は各地で最多を記録。国内感染者数が世界で最多となる日もみられるようになりました。

新型コロナウイルスの重症化は高度な炎症により起こると考えられていることから、炎症や免疫反応を抑制することが新型コロナウイルス重症化の予防と緩和に有望であるとされています。

現在日本で違法薬物として取り締まりの対象となっている「大麻」。ですが、「医療用大麻」という言葉があるように大麻には医療効果があるとされ、その中の1つとして抗炎症作用があることが知られています。

そうなると、ここで1つの期待が生まれます。

「大麻は新型コロナウイルス感染に有効なのではないか?」

そこで今回、アメリカの研究者らは新型コロナウイルス感染により入院した患者データを集め、大麻使用者と非使用者との間で臨床経過に差がないのかを検証。その結果、2022年8月5日、大麻使用者は非使用者と比べて新型コロナウイルス感染により重症化しにくかったことが報告されました。

使用されたデータは、2020年2月〜2021年2月の間、新型コロナウイルス感染によりロナルドレーガンUCLAメディカルセンターあるいはUCLAサンタモニタメディカルセンターに入院した18歳以上の1831名の電子カルテ。

過去1ヶ月以内に大麻を使用した人を「大麻使用者」、それ以外を「非使用者」と定義しました。

大麻使用者は全体の4%(69名)。大麻使用者は非使用者と比べて有意に若く(使用者:平均44歳、非使用者:平均62歳)、糖尿病の罹患率も低くなっていました(使用者:23.2%、非使用者:37.2%)。また大麻使用者ではタバコの使用率が非使用者の5倍高くなっていました(使用者:20%、非使用者:4%)。

この研究による主要アウトカムはNIHスコアの評価により行われました。NIHスコアはアメリカで用いられている新型コロナウイルス感染の重症度分類。8段階に分類され、「1」は入院や制限の必要なし、「8」は死亡を意味し、数字が高いほど重症度が高いことを表します。

検証の結果、大麻使用者は非使用者よりも有意にNIHスコアが低いことが明らかになりました(使用者:5.1、非使用者:6.0)。なお、NIHスコア「5」は酸素投与が必要、「6」は非侵襲的換気(気管内に管を入れず、呼吸を補助する人工呼吸器)が必要であることを意味します。

それ以外にも大麻使用者は非使用者と比べて入院期間が短く(使用者:4日、非使用者:6日)、ICU(集中治療室)への入室率が低く(使用者:11.6%、非使用者:30.8%)、人工呼吸器の必要性が少なくなっていました(使用者:5.8%、非使用者:16.6%)。生存率は大麻使用者のほうが高い傾向にはありましたが、統計的に有意差は認められませんでした。

新型コロナウイルス感染の重症化を予測する血液検査データとして、CRP(C反応性タンパク)、フェリチン、Dダイマー、LDH(血清乳酸脱水素酵素)の上昇などが挙げられていることから、この研究では入院時(あるいは入院期間中の最高値)の血液検査データの比較も行われました。

その結果、大麻使用者は非使用者と比べてCRP(使用者:3.7mg/L、非使用者:7.6mg/L)、フェリチン(使用者:282μg/L、非使用者:622μg/L)、Dダイマー(使用者:468ng/ml、非使用者:1140ng/ml)といったデータが低値となっていました。

さらに入院中における薬物療法の差も比較され、大麻使用者ではステロイド(使用者:39.1%、非使用者:59%)、抗ウイルス薬であるレムデシベル(使用者:26.1%、非使用者:55.5%)、抗生物質(使用者:49.3%、非使用者:66.6%)による加療を受けた割合が少なくなっていました

研究者らは「今回の研究では、新型コロナウイルス感染において大麻使用者は非使用者と比べて臨床経過が良好ではあったものの、後ろ向き研究であることから、この結果は慎重に解釈する必要がある。今後さらなる研究を行い、大麻使用による効果がより明らかになっていくことを期待する」と述べています。

※後ろ向き研究(レトロスペクティブスタディ)とは?

観察研究の1つ。過去のデータから対象となる疾患や条件を満たした人々を集団化し、仮説に基づいて関連性や治療効果などを検証する。すでにデータが存在する中で仮説を立てるためバイアス(先入観)がかかりやすく、前向き研究(先に仮説を立て、それ以後の患者データを収集し検証する研究)と比較してエビデンスレベルは低いとされる。

廣橋 大

精神病院に勤める現役看護師。2021年初頭より大麻使用罪造設に向けた動きが出たことをきっかけに、麻に関する情報発信をするようになる。「Smoker’s Story Project」インタビュアー。

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