フランス政府は、CBDについての規制の改正を実施し、2021年12月31日に官報に掲載しました。
掲載された内容によると、「chanvre(ヘンプ)」の生の花や葉を「すべての形態で、単独で、または他の成分と混合して」販売すること、消費者が所持すること、消費することが禁止されています。
フランスが加盟しているEUでは、THC含有量0.2%(2023年からは0.3%)以下の大麻であるヘンプやCBD製品を認めています。また、CBDは麻薬ではなく、EU加盟国で合法的に生産されたCBD製品の販売を禁止することはできないと欧州司法裁判所が2020年に判決を下しています。
また、フランス国内においても、CBDの販売禁止後の2021年6月にフランス最高裁で禁止が覆されており、EU加盟国で合法的に生産されたCBD製品の販売を違法とみなすことはできないと判断しています。
しかし、今回フランス政府は健康と公序良俗を理由に禁止を正当化しています。
政府の薬物機関であるMILDECA(Interministerial Mission for Combating Drugs and Addictive Behaviours)は、CBDの新規則掲載後に以下のように声明を発表。
この禁止は主に健康上の理由で正当化されます。花や葉にはTHCが多く含まれ麻薬に似ていることに加え、有機物の燃焼によって多くの発がん性成分が生成されることから喫煙によるリスクが存在します。さらに、CBD製品を摂取することによる健康への影響についてはまだ不確かな部分があります。CBDが脳内のドーパミン受容体やセロトニン受容体に作用することが科学的な研究で明らかになっており、それ自体が精神的な作用を持つ製品であることが分かっています。そのため、CBDの摂取は、精神活性、鎮静、眠気などの効果があります。ヒトでは、CBDと抗てんかん薬、抗凝固薬、免疫抑制薬との相互作用が実証されています。その結果、CBDとの未知の相互作用によって特定の病状の薬物治療に影響が出る可能性があります。
さらに、この禁止は公序良俗上の理由から正当化されます。麻薬と闘うための国内治安部隊の活動能力を維持するためには、刑事上の違法薬物かどうかを判断するために製品を単純に識別できなければなりません。したがって、政府は2019年9月に提示され、2021年5月の薬物対策省庁間委員会で示された薬物対策国家計画で設定した目標を決意を持って追求するつもりです。
フランスのCBD組合のUPCBD(Union des Professionnels du CBD)のチャールズ・モレル(Charles Morel)会長は、今回の新規制を受けて声明を発表し、「政府は、あきらかに破綻している禁止政策を精神作用も健康への悪影響もない非麻薬製品にまで拡大しています。嗜好用大麻の違法市場を一掃できなかっただけでなく、今CBDの違法市場を作ろうとしています。」と伝えています。
また、フランスではCBDの専門店が1,800以上あり、花の販売が売上のほとんどを占めており、今回の規制によって倒産してしまうことにも触れています。
地元メディア「France Bleu」は、12月31日に官報に新規制が掲載されてから1月2日の販売禁止開始までの間、100万人近いと言われているフランスのCBDユーザーが狂ったように買い溜めたことを報じています。