フランスでは2021年3月より、医療用大麻の試験運用プログラムが実施されており、国内における医療用大麻合法化の運用の可否を評価しています。
このパイロット試験のために、フランスは他国の医療用大麻企業と連携し、自国でも栽培を開始。この試験では、難治性てんかん、神経障害性疼痛、多発性硬化症による痙縮、がん関連症状や緩和ケアのため、最大3,000名の患者が無料で医療用大麻の処方を受けることができます。
この試験に参加している患者は2月10日の時点で1,453名であり、疾患別の内訳は難治性の神経障害性疼痛792名、多発性硬化症による痙縮215名、難治性てんかん181名、がん105名、緩和ケア104名、多発性硬化症以外による痙縮56名となっています。
最近、地元メディアはこれらの患者に対し調査を実施し、その結果、91%の患者が医療用大麻の合法化を支持していることが明らかとなりました。
今回行われている試験は、医療用大麻の有効性を評価するものではなく、流通システムや処方など、フランスにおいて医療用大麻の運用が可能かどうかを評価するもの。ですが、参加者から報告されたポジティブな効果についても発表されています。
試験開始から1年の時点で発表された報告によれば、参加者の80%はCBDから処方され、3ヶ月目以降からTHCも含んだ製品を処方されています。
試験開始時、81%以上の参加者が強い(67%)あるいは耐え難い(14%)痛みを抱えていましたが、6ヶ月後、3分の1以上の患者が、神経障害性疼痛の程度が30%以上減少したと報告しています。
患者自身が質問表により全体的な状態の変化を評価するPGIC(Patient Global Impression of Change)では、3ヶ月以内に40%強の参加者において著しい、あるいは非常に著しい改善が認められました。
このパイロット試験は、本来であれば2年間(今年3月まで)で終了し、その後すぐに医療用大麻の合法化の可否が決定される予定でした。しかし、昨年10月、フランス保健総局(DGS)はこの試験をさらに1年間延長すると発表しています。
この理由として、試験に参加する医師が少ないこと、経済データの不足、ヨーロッパの議論に準拠する必要性が挙げられましたが、フランス内務省が医療用大麻の合法化に抵抗している可能性についても報じられています。
この発表は患者に知らされることなく、先にメディアにて報じられたため、患者会から批判を浴びています。そしてこの延期はフランスにおいて、医療用大麻の合法化が少なくとも1年以上先(2024年3月以降)になったことを意味しています。
フランス政府の諮問機関であるCESE(経済・社会・環境評議会)は今年始め、フランスにおいて嗜好用大麻を合法化し、適切に規制すべきであると提言しています。
Cannabis Health News「91% of patients on France’s medical cannabis trial support legalisation」https://cannabishealthnews.co.uk/2023/02/10/91-of-patients-on-french-medical-cannabis-trial-support-legalisation/
Cannabis Health News「France set to launch landmark medical cannabis trial」https://cannabishealthnews.co.uk/2021/01/27/france-set-to-launch-landmark-medical-cannabis-trial/
Newsweed「L’expérimentation du cannabis médical prolongée d’un an. Les associations de patients condamnent.」https://www.newsweed.fr/experimentation-cannabis-medical-prolongee/
CannaReporter「France: Medical cannabis pilot project extends for another year」https://cannareporter.eu/en/2022/10/04/frank-medical-cannabis-pilot-project-extends-for-another-year/