米国の連邦政府機関がサイケデリクス研究のために150万ドルの資金提供へ

連邦政府機関である米国国立衛生研究所（National Institutes of Health）は、物質使用障害（薬物依存症）に対するサイケデリクス（幻覚剤）治療の研究に150万ドル（約2億円）の資金提供を行う予定です。

5月16日、米国国立衛生研究所の一部である米国国立薬物乱用研究所（National Institute on Drug Abuse）は、サイケデリクス治療の研究プロジェクトのために、資金提供の機会に関する通知を3件発表しました。

3件の通知のうち、1件はサイケデリクスの作用メカニズムに焦点を当てており、残りの2件は人を対象とした臨床試験を実施するものとしています。

資金提供は最大4件の研究に対し行われ、応募資格は大学、非営利団体、営利企業、州・地方政府、連邦政府機関などに与えられます。

これらの研究は、シロシビンなどのサイケデリクスが物質使用障害に関連する認知、感情、社会的プロセスをどのように変化させるのか探求することを主な目的としています。このために、米国国立薬物乱用研究所は最新の神経画像と行動分析ツールを用いることの必要性を強調しています。

米国国立薬物乱用研究所は、このような性質の臨床試験を実施することは複雑であるため、研究が失敗に終わる可能性があるとしています。一方で、これらの研究は「特定の分野における飛躍的進歩やサイケデリクスを含む物質使用障害の研究に大きな影響を与える可能性のある新しい技術、薬剤、方法論、モデル、アプリケーションの開発につながるかもしれません」と述べています。

2021年に米国国立衛生研究所は、たばこの禁煙にシロシビンが役に立つのかを検証する臨床試験のため、ジョンズ・ホプキンス大学に約400万ドル（約5億5000万円）の助成金の授与を行っています。

また、国立薬物乱用研究所の所長であるノラ・ヴォルコウ（Nora Volkow）氏は最近、上院の公聴会において、特定の精神疾患の治療法としてサイケデリクスが「重要な可能性」を持っており、研究者にとって「大きな関心事」であると語っています。

「重度のうつ病や心的外傷後ストレス障害のような特定の症状に対する治療薬として大きな可能性を示す証拠が出始めており、また、依存症の治療に有効であることを示す予備的な研究も行われています」

「サイケデリクスが治療でどのように利用される可能性があるのか、脳にどのような影響を与えるのか、また、安全で非常に効果的な方法でそれらの治療法を展開する方法について理解するために、私たちは科学界に働きかけ始めています」

「これは非常に興味深い分野であり、国立精神衛生研究所（National Institute of Mental Health）と国立薬物乱用研究所の両方が提携し、研究を拡大し、加速させようとしています」