マルタ、大麻クラブの建設を許可するライセンスを初発行

マルタ、大麻クラブの建設を許可するライセンスを初発行

/

マルタの大麻管理当局(ARUC:Authority for the Responsible Use of Cannabis)は、大麻クラブの運営体制や建設を認めるライセンスを初めて2つの団体に発行しました。ただし、これらの団体が施設内で大麻の栽培を行うためには、施設が完成した後に再度ARUCから認可を受ける必要があります。

マルタ共和国は2021年末、ヨーロッパで初めて嗜好用大麻を合法化。これにより、18歳以上のマルタ国民は7gまでの大麻の所持(一世帯では50gまで)や4株までの大麻の自家栽培が可能となりました。

一方、大麻の販売に関しては禁止されています。そうなると自分で大麻を栽培する以外に大麻を入手する手段がなく、闇市場が繁栄してしまうように思われますが、そうならないために許可されたのが「大麻クラブ」です。

大麻クラブは非営利団体によって運営される協会で、1つの施設につき会員数は最大500名まで。大麻クラブでは大麻の栽培が行われ、会員はその大麻を購入することができます。

大麻クラブの開業申請受付は今年2月末より開始されています。しかし、コスト面のハードルや多くの制約があり、関係者からは「参入障壁が高すぎる」と批判を浴び、当初は申請者がほとんどいませんでした。この声に対処するため、ARUCは5月にこれまでの規定を微調整した新ルールを発表。その後、6月には26件の開業申請を受理したことが明かされました。

このような流れの中、最近ARUCは今後大麻クラブの営業を行う予定のある2つの団体に対し、マルタで初めてとなる基本ライセンス(in-principle licence)を付与したことを明らかにしました。

このライセンスで認められるのは大麻クラブの「建設まで」であり、大麻の栽培や施設の営業はまだ認められていません。

ARUCのトップであるレオニード・マッケイ(Leonid McKay)氏は「基本ライセンスは提案された運営体制を承認するものです。営業許可証は各協会が設立を完了し、当局が適合していることを確認した時点で発行されます」と説明。つまり、実際に大麻を栽培し施設を運営するためには、施設の完成後、ARUCによる包括的な検査に再度合格する必要があります。

また、マッケイ氏は今回承認された2つの団体以外の申請について「現在、審査と認可の最終段階にあります」と述べ、今後続々と基本ライセンスの取得団体が増えていく可能性を示しました。

MaltaToday」によれば、早ければ2024年3月末までにマルタ初の大麻クラブが誕生するかもしれません。

ヨーロッパではマルタ以外の国でも、嗜好用大麻の合法化に向けた動きがみられています。

今年7月21日には、ルクセンブルクが嗜好用大麻の合法化を実現。18歳以上のルクセンブルク国民は3gまでの大麻の所持、1世帯につき4株までの大麻の栽培が可能となっており、さらに今後は嗜好用大麻の販売に向けた規制も策定される予定です。

ドイツは今年4月、嗜好用大麻合法化に向けた計画を発表。計画は2段階に分けられ、第1段階では個人使用目的での大麻の所持と栽培を合法化するとともに非営利の大麻栽培クラブの利用を可能にし、第2段階では特定地域の少数店舗において嗜好用大麻の試験販売プログラムが実施されます。

先月には第1段階の計画を実現するための法案が提出されており、同法案は近日中にドイツ連邦内閣で閣議決定が行われる予定です。

スイスはすでに今年1月末より、バーゼルで嗜好用大麻の試験販売を開始。他にもチューリッヒローザンヌベルン、ジュネーブなどの都市や州が年内に同様のプログラムを開始する予定です。

チェコも今年4月に嗜好用大麻の合法化計画を公表。チェコの大統領であるペトル・パベル(Petr Pavel)氏も最近、嗜好用大麻の合法化に対し支持を表明しました

嗜好用大麻以外に関しては最近、アルバニアが医療及び産業目的での大麻の栽培を合法化しています

Times of Malta「Cannabis regulator grants first two ‘in-principle’ licences」https://timesofmalta.com/articles/view/cannabis-regulator-grants-first-two-inprinciple-licences.1048750

Business of Cannabis「Malta Issues First 2 Cannabis Association Licences ‘In Principle’」https://businessofcannabis.com/malta-issues-first-2-cannabis-association-licences-in-principle/

Lovin Malta「Two Cannabis Growing Facility Licenses Have Been Granted In Malta – But Not For Cultivation」https://lovinmalta.com/news/two-cannabis-growing-facility-licenses-have-been-granted-in-malta-but-not-for-cultivation/

MaltaToday「Cannabis associations eye first quarter of 2024 for opening their doors」https://www.maltatoday.com.mt/news/national/123966/cannabis_associations_eye_first_quarter_of_2024_for_opening_their_doors_

Marijuana Moment「Top German Official Expects Federal Cabinet To Approve Marijuana Legalization Bill ‘Next Week’」https://www.marijuanamoment.net/top-german-official-expects-federal-cabinet-to-approve-marijuana-legalization-bill-next-week/

廣橋 大

麻マガジンライター。看護師国家資格保有者。2021年より大麻の情報発信に携わる。

Recent Articles

モロッコ、合法大麻製品の公式ロゴを発表

モロッコ政府は4月発行の官報において、合法大麻製品の公式ロゴを発表しました。 大麻のシンボルをモロッコ国旗と同様の赤色で縁取り、その下に「CANNABIS」と表記したこのロゴは、国外に輸出...

イギリス、ヘンプの栽培規制を緩和

4月9日、イギリス政府は経済的・環境的可能性を最大限に引き出すため、ヘンプの栽培規制を緩和することを発表。この新たな規制は2025年の栽培シーズンより施行されます。 イギリスにおいてヘン...