アルバニア、医療・産業目的の大麻栽培を合法化

7月21日、アルバニア議会は医療及び産業目的での大麻栽培を合法化する法案を可決しました。

ヨーロッパのバルカン半島にあるアルバニアは、1991年のソビエト連邦崩壊後に経済状況が悪化する中で、大麻の密売が経済の大部分を占めた国として知られています。中でもアルバニア南部にあるラザラット村は「ヨーロッパにおける大麻栽培の首都」とも呼ばれていました。

1994年には「麻薬及び向精神薬法（Law of Narcotic and Psychotropic Substances）」の制定により、大麻が禁止に。しかし、その後も大麻の栽培や密売は行われ、2016年には世界最大級の違法大麻が生産されたことが明らかとなり、これに対しアルバニア政府は国際的な法執行機関と協力し、軍事戦略を用いて対処しました。

その後もアルバニアでは依然としてあらゆる用途の大麻（CBDも含む）が禁止され、刑事罰の対象となっていました。しかし、エディ・ラマ首相の要請により実施された2022年の世論調査では、アルバニア国民の61%が医療及び産業目的での大麻の合法化を支持していたことが明らかにされました。

これを受けて、今年6月にオゲルタ・マナスティリウ（Ogerta Manastirliu）保健大臣は医療及び産業用大麻の生産・栽培を合法化する法案を提出。同法案は多くの厳しい批判を浴びましたが、7月21日の本会議で賛成69票、反対23票の賛成多数で可決されました。

この法案では、保健大臣が所属する「国家大麻管理局」の規制のもとで、医療及び産業目的での大麻草、その副産物、最終製品の生産、管理、流通などの規則について定められています。

大麻を栽培・生産するためにはライセンスを取得する必要があり、この認可は国家大麻管理局のライセンス委員会によって行われます。

大麻の栽培が可能な面積は、1つのライセンスにつき1ヘクタールまで。産業用大麻（ヘンプ）のTHC制限値は0.8%以下とし、医療用大麻に関してはTHC制限値は設けられていません。

マナスティリウ保健大臣は同法案の目的について「大麻、その副産物、最終製品の栽培、生産、加工、輸出の管理と監督のプロセスを規制し、保証することです」と発言。また、税収の増加も期待されています。

なお、この法案は大麻の輸出に焦点を当てたものであり、アルバニア国民に医療目的で大麻を使用することを認めるものではありません。