ドイツ、嗜好用大麻合法化計画を発表

ドイツ、嗜好用大麻合法化計画を発表

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4月12日、ドイツ政府は嗜好用大麻の合法化計画を発表しました。

ドイツ保健省カール・ラウターバッハ(Karl Lauterbach)大臣は、2022年10月に嗜好用大麻合法化に向けた計画を発表するとともに、具体的な法案を提出にあたり欧州連合(EU)から承認を得ることを表明。2023年3月には、欧州委員会から非常に良い評価を受けたことを明かしていました

今回の発表では、嗜好用大麻の全国的な販売は行われない方針で、2段階のステップで大麻の合法化が進められることとなっており、当初の計画よりも縮小されたものとなっています。

第1ステップでは、個人使用目的での大麻の所持・個人栽培が合法化され、非営利の大麻クラブへの入会が可能に。第2ステップでは、スイスと似たような形で、特定地域の少数店舗において嗜好用大麻の試験販売プログラムが実施されます。

第1ステップは今月中に法案がまとめられ、第2ステップは夏〜秋以降に法案の準備が進められる予定となっています。

各ステップの具体的な内容は、主に以下の通り。

第1ステップ

・個人使用目的であれば、25gまでの大麻の所持、3株までの個人栽培が可能となる。これらを超える量、18歳未満の未成年への販売や流通は罰則規定が適用される。

・18歳以上のドイツ住民は、非営利の大麻クラブの会員になることができる。大麻クラブの会員は1箇所につき最大500名まで。複数のクラブに入会することは不可。

・大麻クラブでは、個人使用のために1日25gまで、1ヶ月で50gまで大麻を受け取ることが可能。ただし、21歳未満の成人は月に30gまでで、THCの含有量にも制限が掛けられる(具体的数値は未定)。また、クラブの会員は月に最大7個の種子、5本までの挿し木を譲り受け、栽培することができる。

・大麻クラブの費用は会員からの会費で賄われる。会費は大麻の消費量に応じて段階的に設定される。

・大麻製品や大麻クラブの広告は原則禁止。

・合法となった内容の大麻関連の前科は、申請によって抹消することができる。また、進行中の刑事手続きや捜査も終了となる。

第2ステップ

・国家やライセンスによる規制のもと、特定の地域で嗜好用大麻の販売プログラムを実施する。大麻の生産、流通、販売といったサプライチェーンが確立してから5年間行われる予定。具体的な地域は現時点で未定。

・プログラムを通して、住民の健康、未成年、違法市場に与える影響が科学的に調査される。調査結果は欧州委員会に提出される。

ラウターバッハ保健省大臣は「これまでの大麻政策は失敗でした。今、私たちは新しい道を歩まなければなりません」と発言。

食糧農業省のジェム・エズデミル(Cem Özdemir)大臣は「今年中に大麻の使用を合法化するために、大麻の計画は今日、次のステップに進んでいます」と述べました。

Bundesministerium für Gesundheit「Eigenanbau und Modellversuch – Bundesregierung einigt sich auf Eckpunkte zu Cannabis」
https://www.bundesgesundheitsministerium.de/presse/pressemitteilungen/eckpunkte-cannabis-12-04-23.html

Associated Press News「Germany scales back cannabis liberalization after EU talks」https://apnews.com/article/germany-cannabis-liberalization-possession-sale-869f0c4bfd557022f17b598226d1aafe

DW「Germany waters down plan to legalize cannabis after EU talks」https://www.dw.com/en/germany-waters-down-plan-to-legalize-cannabis-after-eu-talks/a-65289574

Reuters「Germany waters down plan to legalise cannabis after talks with Brussels」https://www.reuters.com/world/europe/germany-waters-down-plan-legalise-cannabis-after-talks-with-brussels-2023-04-12/

廣橋 大

精神病院に勤める現役看護師。2021年初頭より大麻使用罪造設に向けた動きが出たことをきっかけに、麻に関する情報発信をするようになる。「Smoker’s Story Project」インタビュアー。

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