マルタ、大麻クラブの運営ライセンスを初発行

マルタ、大麻クラブの運営ライセンスを初発行

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マルタ共和国の規制当局は今月、大麻の栽培と販売を行う「大麻クラブ」の運営ライセンスを初めて2つの協会に発行。規制当局によれば、大麻クラブにおける大麻の販売は2024年第1四半期に開始される見込みです。

マルタは2021年末、ヨーロッパで初めて嗜好用大麻を合法化。これにより、18歳以上のマルタ国民は7gまでの大麻の所持(一世帯では50gまで)や4株までの大麻の自家栽培が可能となりました。

マルタでは、アメリカの合法州やカナダで見られるような大麻の一般販売は行なわれません。しかし、マルタ国民は非営利団体によって運営される協会「大麻クラブ」の会員になることで、協会内で大麻を購入することが可能となっています。

マルタのARUC(大麻管理当局)は8月、大麻クラブの運営体制や建設を認める「基本ライセンス(in-principle licence)」を初めて発行。このライセンスはまだ、大麻クラブの運営や大麻の栽培を認めるものではありませんでした。

その後、ARUCの代表であるレオニード・マッケイ(Leonid McKay)氏は最近行なわれた記者会見で、KDD SocietyとTa’ Zelli に対し、初めて大麻クラブの運営ライセンスを発行したことを発表しました

大麻クラブで栽培された大麻は、販売される前にARUCによって品質検査を受ける必要があります。マッケイ氏によれば、大麻の価格設定は各クラブに委ねられますが、「非合法市場に匹敵する価格になる」と予測されています。

また、現時点で別の4つの大麻クラブも基本ライセンスを取得しており、運営ライセンスを取得する準備段階にまで至っています。

ARUCによれば、大麻クラブによる大麻の販売は2024年第1四半期に開始される予定。

大麻クラブを利用できるのはマルタ国民だけであり、海外観光客は利用できません。また、大麻クラブでは大麻の栽培と販売は認められますが、その場で大麻を消費することは禁止されています。

大麻クラブでは大麻の料金とは別に、入会時に少額の会員費を支払う必要があります。入会時の面接では、会員として大麻を消費する責任について知らされるとともに、地域社会への貢献についても説明されます。

大麻クラブの収入の一部は、薬物に対する意識向上のための活動に寄付することが義務付けられています。具体的に、収入の5%は”ハームリダクション”のためにARUCに寄付され、10%は薬物の使用削減を目的とした教育的な取り組みやその他の持続可能なプロジェクトに割り当てられます。

マッケイ氏はLinkedInの投稿で「私たちの目標はシンプルです。それは、自由市場のように大麻の消費を促進することなく、大麻ユーザーを違法市場のリスクから安全で品質が検査された供給源へとシフトさせることです」

「若年層やヘビーユーザーをターゲットにし、使用を美化し、健康リスクを軽視するビジネス主導の大麻産業の落とし穴を避けることにコミットしています。私たちの価値観はハームリダクション、リスクのある集団の保護、公衆衛生、社会的正義に根ざしています」とコメント

また、改革・平等担当大臣政務官であるレベッカ・ブティギアッグ(Rebecca Buttigieg)氏は、大麻クラブの運営ライセンスが初発行されたことに対し「歴史的」と表現しました。

ブティギアッグ氏は「私たちは薬物の乱用を助長しているわけではありません」と述べ、大麻がアルコールやたばこと同じ方法で販売されないことを強調。規制の下で望ましくない物質が混入した大麻の使用を避ける一方、マルタ国民の犯罪歴が娯楽行為によって汚されないことをアピールしました。

ジョイントを吸っただけで犯罪歴が傷つけられたり、汚されたりするような状況を放置していないことを、私たちは誇りに思います」

なお、大麻クラブ運営ライセンスを取得したKDD Societyの会長であるケネス・エルル(Kenneth Ellul)氏は、軽度のADHDを有しています。ケネス氏はかつて学位取得の勉強中に大麻が役立った経験をきっかけとして、大麻クラブを設立したと語っています

海外で医療用大麻の栽培課程も修了したエルル氏とチームメンバーは現在、大麻クラブのオープンに向けて5つの品種の大麻を200本近く栽培中。来年1月には大麻の販売を開始できると述べています。

マルタ以外でも、ヨーロッパでは嗜好用大麻の合法化に向けた動きが活発化しています。

ルクセンブルクは今年7月、個人使用目的での嗜好用大麻の所持・栽培を合法化。現在は嗜好用大麻の試験販売に向けた規制の確立を目指しています。

ドイツは最近、嗜好用大麻の合法化法案について国会審議を開始。今後は11月6日に保健委員会にて再検討・修正が行われ、11月16日には第2読会と最終読会が行なわれる予定です。また、年内には嗜好用大麻の試験販売に向けた法案も発表される見込みとなっています。

オランダは今年12月より、国内で大麻の購入・使用が容認されている「コーヒーショップ」において、合法大麻の試験販売を開始する予定

スイスではすでに嗜好用大麻の試験販売が開始されています。最近ではバーゼル=ラント準州において、ヨーロッパ初となる嗜好用大麻専門店がオープンされることが明らかにされました

Marijauna Moment「Malta Issues EU’s First Licenses Allowing Nonprofit ‘Cannabis Associations’ To Begin Growing Marijuana」https://www.marijuanamoment.net/malta-issues-eus-first-licenses-allowing-nonprofit-cannabis-associations-to-begin-growing-marijuana/

MaltaToday「First cannabis associations granted operational licence」https://www.maltatoday.com.mt/news/national/125645/first_cannabis_associations_granted_operational_licenses

Times of Malta「First two cannabis associations granted licence to operate」https://timesofmalta.com/articles/view/first-two-cannabis-associations-granted-licence-operate.1063050

Times of Malta「The best job’: Cannabis club owner on journey towards legalisation」https://timesofmalta.com/articles/view/the-best-job-cannabis-club-owner-journey-towards-legalisation.1063794

Benzinga「EU’s First-Ever Cannabis Licenses Permitting Non-Profits To Grow & Distribute Issued In Malta」https://www.benzinga.com/markets/cannabis/23/10/35433285/eus-first-ever-cannabis-licenses-permitting-non-profits-to-grow-distribute-issued-in-malta

CannaReporter「Malta: ARUC awards first two licenses to cannabis associations」https://cannareporter.eu/en/2023/10/24/malta-aruc-awards-the-first-two-licenses-to-cannabis-associations/

廣橋 大

麻マガジンライター。看護師国家資格保有者。2021年より大麻の情報発信に携わる。

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