オランダ政府は2023年12月15日より、合法的に大麻を販売する試験プログラムを一部都市で開始すると発表しました。
オランダでは一見大麻が合法のように思われますが、現時点で法的には違法とされています。ただし、5g以下の大麻の所持・5株までの栽培は容認されており「コーヒーショップ」と呼ばれる店において大麻の購入・使用が可能となっています。
しかし、コーヒーショップにおける大麻の仕入れは違法な栽培業者によって成り立っている可能性が高く、治安や公衆衛生上の観点から問題視され続けていました。
このような中、オランダ政府は「Weed Experiment」と呼ばれるトライアルを開始することを決定。これは、政府によって承認された栽培業者がコーヒーショップに大麻を供給することで、品質が保証された合法大麻を消費者に販売することを可能にするプログラムです。
政府が承認する栽培業者は全部で10軒。プログラムはオランダ国内の全10箇所の自治体で実施されます。
プログラムの開始には少なくとも3軒の栽培業者が大麻の供給準備を完了している必要がありましたが、現時点でこのような栽培業者は2軒のみ。このような状況ではありますが、オランダ政府は今年12月15日よりプラグラムを開始することを閣議決定しました。
プログラムは計画通り、まずはティルブルフ(Tilberg)とブレダ(Breda)の2都市のみで6ヶ月間実施されます。その後、早ければ来年の第1四半期末に残りの8都市が参加する予定です。
プログラムの目的は、大麻の合法化が公衆衛生や治安に与える影響を評価すること。もし、プログラム期間中にこれらに悪影響が生じた場合、プログラムは即座に終了となります。
合法大麻の供給開始後には6週間の移行期間が設けられます。この期間中は合法大麻に加え、これまで容認されてきたグレーゾーンの大麻も販売することが可能。この期間が終了次第、コーヒーショップは合法的な大麻のみしか販売することができなくなります。
以上のような予定となっていますが、全ての自治体が計画通りにプログラムを開始するのは難しいと予想されています。というのも、来年2月にはさらに2軒の栽培業者が大麻の供給準備を完了する見込みですが、残り6軒の栽培業者の稼働時期は不明であり、この中には栽培施設の建設に着手していない業者も存在するからです。
なお、現時点で同プログラムの参加自治体にオランダの最大都市アムステルダムは含まれていませんが、今後はアムステルダムのオースト地区が11番目の自治体として加わる予定。これには法改正が必要となるため、現在オランダ政府は実現に向けた法案の審議を行っています。
一方、アムステルダムの人気歓楽街「飾り窓地区(Red Light District)」を含むDe Wallen地区では、2023年5月より大麻の屋外喫煙が禁止されています。
Rijksoverheid.nl「Aanloopfase wietexperiment start 15 december 2023 in Breda en Tilburg」https://www.rijksoverheid.nl/actueel/nieuws/2023/09/15/aanloopfase-wietexperiment-start-15-december-2023-in-breda-en-tilburg
International Cannabis Business Conference「Limited Legal Cannabis Sales Expected To Launch In The Netherlands This December」https://internationalcbc.com/limited-legal-cannabis-sales-expected-to-launch-in-the-netherlands-this-december/
Newsweed「Breda et Tilburg (Pays-Bas) commenceront à vendre légalement du cannabis le 15 décembre 2023」https://www.newsweed.fr/breda-tilburg-vendre-legalement-cannabis-15-decembre-2023/
Nederlandse Omroep Stichting「Eerste legale cannabis in december te koop in Breda en Tilburg」https://nos.nl/artikel/2490547-eerste-legale-cannabis-in-december-te-koop-in-breda-en-tilburg