アムステルダム市長、コカインの合法化求める

アムステルダム市長、コカインの合法化求める

/

オランダのアムステルダム市長フェムケ・ハルセマ(Femke Halsema)氏はFinancieele Dagblad紙のインタビューの中で、巨大化する麻薬組織を弱体化するため、コカインの使用、所持、販売を合法化すべきであると主張しました

ハルセマ市長は、麻薬の取締り(麻薬戦争)が知らず知らずのうちに犯罪組織に力を与えてきたと指摘。麻薬を禁止するのではなく「規制し、管理する時がきた」と語りました

「私たちは悪徳犯罪者に市場を渡してしまった。彼らは何十億も稼いでいる。その一方で、麻薬戦争は国全体を混乱させ、数え切れないほどの犠牲者を出し、犯罪者のビジネスモデルを強化している」「何百年にもわたる抑止と抑圧は、ほとんど成果を上げていないと結論付けよう」

2023年5月に国連薬物犯罪事務所(UNODC)によって公開された「Global Report on Cocaine 2023」によれば、コカインの生産量は過去最高レベルに到達。このような中、オランダはコカイン密売の”ホットスポット”になりつつあります

オランダ税関が最近発表した報告書では、2022年に押収されたコカインの量は51トンでしたが、2023年には60トン近くにまで増加。特に、ヨーロッパ最大の港であるオランダのロッテルダム港は、この10年間でコカインの世界的な中継地となりました

これらの状況から、ハルセマ市長はコカインの需要があることを認め、その流通を管理下に置くことの必要性を強調。コカインの合法市場が確立されれば、犯罪者が麻薬の密売に手を染める理由がなくなり、麻薬組織を弱体化できると述べています。

また、ハルセマ市長は1月初旬、ガーディアン紙の記事で「オランダは麻薬国家になる危険性がある」と述べ、その原因が国際的な麻薬戦争にあると主張しました。

オランダの薬物政策はこの数十年間、薬物使用者の健康リスクを軽減させることに重点を置いています。大麻のようなソフトドラックは容認されており、ハードドラッグでも少量であれば起訴されないことがほとんど。このような寛容な薬物政策について、ハルセマ市長は「比較的成功した」と評価しています。

しかし、現在ではグローバル化と麻薬の国際的な犯罪化によって、麻薬組織がより繁栄できるようになったと指摘。国際金融の中心地であるアムステルダムは、今や麻薬の需要を決定する世界的な市場として機能するようになったと述べています。

また、ハルセマ市長は、国際的な圧力に従い1988年にMDMAをハードドラッグに分類した結果、犯罪組織によって有利なビジネスモデルが生み出されたと述べ、世界的な麻薬戦争が逆効果であることを説明。

そのため、ハルセマ市長は寛容な薬物政策が問題なのではなく、むしろ世界が麻薬戦争を逆効果と認識し、現在のアプローチを転換させるべきであると考えています。

オランダでは大麻政策においても動きがみられています。

2023年12月からは嗜好用大麻の試験販売プログラムが開始されました。このプログラムは現在ティルブルフ(Tilberg)とブレダ(Breda)の2都市のみで行われており、今後も9都市が同様のプログラムを実施する予定です。

一方、アムステルダムの人気歓楽街「飾り窓地区(Red Light District)」を含むDe Wallen地区では、2023年5月より大麻の屋外喫煙が禁止されています

また、オランダ政府は2023年3月、MDMAの特性、社会におけるリスクとメリット、治療の潜在的価値などを評価するための国家委員会を設立したことを発表しました

なお、スイスの首都ベルンは昨年、コカインの試験販売プログラムを可能にする法案を承認しています

HighTimes「Amsterdam Mayor Advocates for Legal Cocaine Sales」https://hightimes.com/news/amsterdam-mayor-advocates-for-legal-cocaine-sales/

DutchNews.nl「Decriminalise cocaine to beat crime, says Amsterdam mayor」https://www.dutchnews.nl/2024/01/decriminalise-cocaine-to-beat-crime-says-amsterdam-mayor/

Bloomberg「Amsterdam Mayor Calls for Regulation of Cocaine as Crime Thrives」https://www.bloomberg.com/news/articles/2024-01-25/amsterdam-mayor-calls-for-regulated-cocaine-and-drugs-market-to-tackle-crime

NL Times「Amsterdam Mayor: Selling & using cocaine should no longer be a criminal offense」https://nltimes.nl/2024/01/25/amsterdam-mayor-selling-using-cocaine-longer-criminal-offense

NL Times「Sharp increase in cocaine interceptions; Shipments getting smaller」https://nltimes.nl/2023/07/12/sharp-increase-cocaine-interceptions-shipments-getting-smaller

The Guardian「As the mayor of Amsterdam, I can see the Netherlands risks becoming a narco-state」https://www.theguardian.com/commentisfree/2024/jan/05/amsterdam-netherlands-drugs-policy-trade

CNBC「Cocaine production is at its highest level on record, UN says」https://www.cnbc.com/2023/03/16/cocaine-production-is-at-its-highest-level-on-record-un-says-.html

Euractiv「Europe’s biggest port Rotterdam ‘drowning in cocaine’」https://www.euractiv.com/section/justice-home-affairs/news/europes-biggest-port-rotterdam-drowning-in-cocaine/

廣橋 大

精神病院に勤める現役看護師。2021年初頭より大麻使用罪造設に向けた動きが出たことをきっかけに、麻に関する情報発信をするようになる。「Smoker’s Story Project」インタビュアー。

Recent Articles

スペイン、医療用大麻の規制草案を発表

2月14日、スペイン政府は医療用大麻の規制枠組みを定めた王室令(Royal Degree)の草案を発表。政府は3月4日までの間、この提案に対するパブリックコメントを募集しています。 スペイン下院の...

ジャージー島、大麻の少量所持を非犯罪化

2月7日、イギリス海峡に浮かぶジャージー島の議会は、大麻の少量所持を事実上非犯罪化する法案を可決しました。 チャンネル諸島最大の島であるジャージー島は英国王室の直轄地ですが、強い自治...

世界の大麻合法化状況

現在、大麻はどの地域で、医療用や嗜好用、どのカテゴリーで合法や非犯罪化なのでしょうか?現在の世界の状況をまとめております。