メイン州最大都市ポートランドが幻覚剤を非犯罪化

メイン州最大都市ポートランドが幻覚剤を非犯罪化

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10月2日、米国メイン州の最大都市ポートランドの市議会は、幻覚作用のある植物や菌類の所持や栽培に対する取締りの優先順位を最も低くすることを決議しました。これは事実上、自然由来のサイケデリクス(幻覚剤)が非犯罪化されたことを意味します。

決議案では、21歳以上の成人におけるシロシビン、シロシン、イボガイン、メスカリン(ペヨーテを除く)、DMTといった幻覚成分を含む植物及び菌類の個人所持、使用、栽培、無償での共有に対する調査、逮捕、起訴を行うために、市の資金や資源を使用することは避けるべきであるとされています。

ペヨーテに関しては、生態学的に脆弱であることに加え、先住民にとって宗教的・文化的意義があることから除外されています。

決議案の冒頭部分では、「米国の麻薬取締り政策は、歴史的に低所得者層のコミュニティに不釣り合いな影響を与えている。このことは薬物使用に対する治療を公衆衛生の問題として扱い、害を減らす政策を優先する代わりに、弱い立場の人々、特に有色人種や経済的に余裕のない人々が不釣り合いに処罰、逮捕、投獄する結果を招いてきた」と述べられており、薬物政策におけるハームリダクションの必要性が強調されています。

また、自然由来の幻覚剤は病気の治療や精神的な健康のために儀式的に使用されてきた歴史があり、近年ではこれらの物質による研究が依存症、PTSD、うつ病、終末期の不安、悲嘆、群発性頭痛などの治療において進められているとしています。

新型コロナウイルスのパンデミックに伴い、メイン州ポートランドにおいてオピオイドの過剰摂取やその他薬物関連の死亡が相次いでいる中、査読付きの医学論文では、サイケデリクスがこれらの問題に対し有効である可能性が示されていると述べられています。

これらのことから、ポートランド市議会は全ての規制物質の使用と所持は「主に公衆衛生の問題として理解されるべきであると決議する」としています。

ただし、幻覚作用のある植物及び菌類の販売、調剤、学校敷地内での所持・配布やこれらの物質の影響下での車の運転に関しては、引き続き刑事罰の対象となります。

アンナ・トレボロウ(Anna Trevorrow)市議会議員は今回の決議について「私たちがここで表明している意見は、公衆衛生上の利益を求めて必要としている人々の利用を促進するために、幻覚作用のある植物や菌類の使用は刑事司法制度によって優先順位を下げられるべきであるということです」と説明。

エイプリル・フルニエ(April Fournier)市議会議員は決議に先立ち、「この計画を前進させる意図は医療と健康の観点からであり、これらの人々をサポートすることを目的とした様々な植物の自然な利用に注目し、彼らの治癒の旅において最も理にかなった薬を使用できるようにすることです」と述べました。

ポートランド市の公安保健福祉委員であるビクトリア・ペレティエ(Victoria Pelletier)氏は「公安保健福祉委員会でハームリダクションについて話し合わないのであれば、私たちは何をしているのか分かりません。薬物使用に対処している当事者に影響を与える仕事を中心に活動していないのであれば、私たちは何をしているのか分かりません」と述べ、公衆衛生上の問題として薬物政策に取り組むことの必要性をアピールしました。

サザン・メイン大学の社会学教授であり、幻覚剤の非犯罪化を目指す団体「Decriminalize Maine」の役員を務めるウェンディ・チャプキス(Wendy Chapkis)氏は、「これらの物質は中毒性や過剰摂取のリスクという点では危険ではありませんが、強力なものなので、安全で協力が得られる環境で消費することが重要です。非犯罪化によって、この可能性はより高くなるでしょう」とコメント。

チャプキス氏は以前、幻覚剤における政策変更が終末期の高齢者が抱える問題に利益をもたらす可能性について、「これらの人々が直面している問題の一部をサイケデリクスが和らげることを示す、実に優れた研究があります。しかし、これらの人々はほとんどの場合、これらの薬の入手方法や使用方法を知りません」と述べていました。

また、メイン州在住の退役軍人であるマイケル・ボテリョ(Michael Botelho)氏は、権利擁護団体「Bay Staters for Natural Medicine」を代表し、「これを読んでから1時間以内に、メイン州の友人や隣人の間でさらなる過剰摂取が起こるでしょう。44,000人のアメリカ人を対象にした研究では、シロシビンを1回使用するだけでオピオイド中毒のリスクが40%減少することが分かっています」

「これらを考慮すると、今回の措置は重要な教育手段となります。これらの薬は私たちの命を救ってくれました」と語りました。

サイケデリクスは全米において違法とされていますが、州レベルではオレゴン州コロラド州がこれらを合法としています。先月にはカリフォルニア州議会がサイケデリクス合法化法案を可決しており、最終的な判断が州知事に委ねられています。

都市レベルでは最近、ミシガン州のファンデールマサチューセッツ州のセイラムカリフォルニア州のバークレーミネソタ州のミネアポリスがサイケデリクスを非犯罪化しました。

カリフォルニア州立大学バークレー校が7月に公開した調査では、米国有権者の61%が治療目的でのサイケデリクス合法化、49%がサイケデリクスの非犯罪化を支持していたことが明らかにされています。これと同じような結果は、3月に公開された世論調査においても報告されています。

米国連邦政府が資金提供を行っている最新調査によれば、2022年の米国成人によるサイケデリクスの使用率は過去最高となっています。

なお、オーストラリアでは今年7月1日より、PTSDに対するMDMA治療、難治性うつ病に対するシロシビン治療が合法となっています

Marijuana Moment「Maine’s Biggest City Passes Legislation To Decriminalize Psychedelic Plants And Fungi」https://www.marijuanamoment.net/maines-biggest-city-passes-legislation-to-decriminalize-psychedelic-plants-and-fungi/

Psychedelic Spotlight「PORTLAND MAINE VOTES TO DECRIMINALIZE PSILOCYBIN MUSHROOMS AND RELATED PLANT MEDICINES」https://psychedelicspotlight.com/portland-maine-votes-to-decriminalize-psilocybin-mushrooms-and-related-plant-medicines/

廣橋 大

麻マガジンライター。看護師国家資格保有者。2021年より大麻の情報発信に携わる。

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