米国民の61%が治療目的での幻覚剤合法化を支持

米国民の61%が治療目的での幻覚剤合法化を支持

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7月12日、カリフォルニア州立大学バークレー校は米国有権者を対象としたサイケデリクス(幻覚剤)調査の結果を公開。これによれば、米国有権者の半数以上が治療目的でのサイケデリクスの合法化や研究促進を支持しています。

カリフォルニア州立大学バークレー校サイケデリクス科学センター(UC Berkeley Center for the Science of Psychedelics)による今回の調査は、6月9日から15日にかけて実施され、有効回答者数は1,500名。

アメリカにおいて大麻の実態調査は度々行われていますが、サイケデリクスにおける調査は珍しく、同機関においてもこのような調査は初となりました。

調査によれば、回答者の61%が規制のもとでサイケデリクスの治療アクセスを合法化することを支持しており、このうち35%がこれを「強く支持する」と回答。

アメリカ食品医薬品局(FDA)が処方箋医薬品としてサイケデリクスを承認することについては56%が支持し、78%がサイケデリクスの研究をより容易に実施できるようにすべきと考えていました。

さらに、半数近く(49%)が個人使用目的でのサイケデリクスの使用や所持に対する刑事罰を廃止(非犯罪化)することを支持。44%がスピリチュアル及び宗教目的でのサイケデリクスの使用も支持していました。

米国有権者のサイケデリクスに対する認識

しかし、このように多くの人がサイケデリクス改革を支持する一方で、回答者の61%が社会にとってサイケデリクスが良いものとは認識しておらず、58%が「健康上、長期的にネガティブな影響を及ぼす可能性がある」、59%が「危険」と考えていました。

これらの認識は、自分や身近な人におけるサイケデリクスの使用経験の有無によって異なっていました。この調査では、回答者の52%が自分あるいは身近な人がサイケデリクスの使用経験を報告しており、これらの人ではサイケデリクスに対するネガティブな認識が少ない傾向にありました。

例えば、自分あるいは身近な人におけるサイケデリクス使用を報告した人でサイケデリクスを「危険」と回答した人は50%、「社会にとって良いもの」と回答した人は28%であったのに対し、それ以外の人々では70%がサイケデリクスを「危険」と認識し、「社会にとって良いもの」と認識している割合は9%となりました。

なお、自分や身近な人がサイケデリクスを使用したと回答した人の48%が「5年以内の使用」を報告しており、このことは近年のサイケデリクスに対する認識の変化を象徴しているかもしれません。

これら以外にも、今回の調査では主に以下のようなことが明らかとなっています。

・サイケデリクスとして最も認識されていた物質はLSD(86%)で、次いでシロシビン/マジックマッシュルーム(75%)、メスカリン/ペヨーテ(54%)、MDMA(52%)、ケタミン(20%)。

・サイケデリクスの使用目的(複数回答可)として最も多かったのは嗜好目的(73%)で、次いで治療目的(39%)、スピリチュアル/宗教目的(32%)、マイクロドージング(27%)、芸術目的(25%)など。

・治療目的でのサイケデリクス合法化を支持する割合はリベラル派で最も高く(80%)、穏健派では66%、保守派では45%。

・大多数が末期の疾患(80%)、退役軍人(69%)、難治性のうつ病や不安障害(67%)にサイケデリクスを使用することを容認。コロラド州オレゴン州のように、21歳以上の成人であれば誰でもサイケデリクスを使用できることに関して受け入れられると回答したのは44%。

・信頼できるサイケデリクスの情報源として多く挙げられたのは、看護師(76%)、専門の研究者(75%)、医師(73%)、精神科医(70%)など。これらの職種と比べ、FDAではこの割合が低かった(56%)。

カリフォルニア州立大学バークレー校サイケデリクス科学センターで公教育プログラムを主導しているマイケル・ポーレン(Michael Pollan)教授は「メディア、政策改革、公教育プログラムにおけるバランスの取れた議論は、思い込みではなくデータに基づいた洞察の上で行われ、全米の様々なコミュニティが抱く希望、恐れ、認識に対して思慮深く対応し実施されることによって、最も効果的なものとなります」

「サイケデリクスの汚名と誇大広告という競合する物語の中で、一般の人々がサイケデリクスについて本当は何を考え、何を信じているのかについて明確な情報を得ることは極めて重要です。私たちのデータは人々が研究について聞き、より多くの科学を支持していることを示していますが、一部のコミュニティが重要な公の話し合いから取り残されていることも示しています」

「この初回調査は、米国の有権者が、私たちの社会におけるこれらの化合物の役割について個人的な疑念を持ちながらも、サイケデリクスへのアクセスに関連する政策の大幅な変更に前向きであることを示しています。これはサイケデリクスの分野で働いている人なら誰でも注意を払う必要がある、サイケデリクスに関する一般大衆の態度における微妙な差異です」と述べています。

今年3月に公開された調査でも、米国民の半数以上が医療目的でサイケデリクスにアクセスすることや、個人使用目的でのサイケデリクスを非犯罪化することを支持していたことが明らかにされています。

オーストラリアでは今年7月1日より、PTSDに対するMDMA、難治性のうつ病に対するシロシビンの処方が可能となっており、世界で初めて治療目的でのサイケデリクスを正式に合法化した国となりました。

アメリカでは、MDMAとシロシビンはFDAにより「画期的治療薬(Breakthrough Therapy)」 に指定されています。今年5月には、米国医師会(AMA)がこれらの物質の治療に対し医療コード(CPTコード)を承認しており、今後FDAから承認されれば、これらの治療が医療従事者に広く使用され、保険適用となる可能性があります。

また、連邦政府機関である米国国立衛生研究所(National Institutes of Health)は同月、物質使用障害(薬物依存症)に対するサイケデリクス治療の研究に150万ドル(約2億円)の資金提供を行うことを発表

ヨーロッパでも、欧州議会議員らがEU(欧州連合)でサイケデリクス治療を推進するための新たなグループを発足するなど、活発な動きが見られてきています。

なお、今回調査結果を報告したカリフォルニア州立大学バークレー校のあるバークレー市では最近、個人使用目的でシロシビンやアヤワスカなど自然由来のサイケデリクスを所持・使用・栽培することが非犯罪化されています

UC Berkeley Center for the Science of Psychedelics「UC Berkeley Center for the Science of Psychedelics Unveils Results of the First-Ever Berkeley Psychedelics Survey」https://psychedelics.berkeley.edu/bcsp-first-study-results/

Marijuana Moment「The Way People Are Using Psychedelics Is Changing Amid Reform Movement, But Negative Attitudes Persist, Novel Survey Finds」https://www.marijuanamoment.net/the-way-people-are-using-psychedelics-is-changing-amid-reform-movement-but-negative-attitudes-persist-novel-survey-finds/

Mugglehead Magazine「Majority of Americans support regulating psychedelics: UC Berkeley survey」https://mugglehead.com/majority-of-americans-support-regulating-psychedelics-uc-berkeley-survey/

廣橋 大

精神病院に勤める現役看護師。2021年初頭より大麻使用罪造設に向けた動きが出たことをきっかけに、麻に関する情報発信をするようになる。「Smoker’s Story Project」インタビュアー。

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