欧州議会、サイケデリクス（幻覚剤）治療を推進するグループを発足

5月26日、欧州議会議員らはフランスの本部で会合を開き、EU（欧州連合）でサイケデリクス（幻覚剤）治療を推進するための新たなグループを発足しました。

「サイケデリクスの医療活用のための欧州議会議員アクショングループ（Members of the European Parliament Action Group for the Medical Use of Psychedelics）」と名付けられたこのグループは、サイケデリクス治療を推進する協会「PsychedelicsEUROPE」と非営利団体「Psychedelic Access and Research European Alliance（PAREA）」と協力し、サイケデリクス治療の実践に向け、EU内での政策や規制の策定を行うことを主な目的としています。

また、同グループの目的には、EUが資金提供を行うサイケデリクス治療の研究の促進や、その研究を妨げる障害を取り除くためのエビデンスに基づいた薬物政策の推進なども含まれています。これらを通して、同グループは最終的に、EU内でのメンタルヘルス治療の変革を目指します。

アクショングループのメンバーは、フィンランド、ポルトガル、ポーランド、チェコ共和国、マルタ共和国の欧州議会議員ら7名で構成されています。

このようなグループの発足には、近年メンタルヘルスに問題を抱える人が増加し、深刻な問題になりつつあることが背景にあります。しかしながら、うつ病、不安障害、PTSD、依存症などといった精神疾患では、現行治療で十分な効果が得られない患者が多く存在しています。

サイケデリクスは1950〜1960年代にかけ、すでにメンタルヘルスにおいて有望な研究結果を示していましたが、違法薬物の使用を取り締まる政策とともに、研究は中断を余儀なくされていました。しかし、ここ10年ほどで流れは変わり、メンタルヘルスに対するサイケデリクス研究が再度進められています。

ポルトガルのサラ・セルダス（Sara Cerdas）議員は「政治的領域を超えた欧州議会議員を集めることで、健全なEU政策と規制の開発を促進し、EUにおいて安価で安全な新しいサイケデリクス補助療法への公平なアクセスのための道を切り開いていきます」とコメント。

チェコ共和国のミクラシュ・ペスカ（Mikuláš Peksa）議員は「何百万人ものヨーロッパ人がより良い治療を必要としています。サイケデリクス治療の背後にある科学が計り知れない可能性を際立たせているため、私たちは新しいサイケデリクス治療が検討されるようにしていく必要があります」と述べています。