米国成人の大麻・幻覚剤使用が過去最高水準に

米国成人の大麻・幻覚剤使用が過去最高水準に

- 米国連邦政府機関の資金提供による最新調査

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8月17日、米国連邦政府機関が資金提供を行う最新調査により、米国の成人において大麻とサイケデリクス(幻覚剤)の使用率が過去最高水準を記録したことが明らかにされました。

この調査は「モニタリング・ザ・フューチャー(Monitoring the Future)」と呼ばれるもので、米国立薬物乱用研究所(NIDA)の支援を受け、ミシガン大学が毎年実施しています。

今回公開された2022年の調査結果によれば、過去1年以内の大麻使用(ベイプ以外のあらゆる摂取方法が含まれる)は、若年成人(19〜30歳)で44%(2012年:28%、2017年:35%)、中年成人(35〜50歳)で28%(2012年:13%、2017年:17%、2021年:25%)となり、共に過去最高を記録。

過去1ヶ月以内の大麻使用は、若年成人では29%で過去最高を記録した前年とほぼ同様となり、中年成人では17%で過去最高を記録(2012年:8%、2017年:11%)。

毎日の大麻使用は、若年成人では11%で過去最高(2012年:6%、2017年:8%)となり、中年成人では7%で前年とほぼ同様となる過去最高水準を記録しました(2012年:3%、2017年:4%)。

大麻のベイピングに関しては若年成人で増加傾向にあり、過去1年間の使用率は過去最高の21%(2017年:12%、2019年:19%)。一方、中年成人では9%で2019年以降変わらずに経過していました。

過去1年以内の幻覚剤の使用率は、若年成人では8%で前年とほぼ同様でしたが、ここ10年間では増加傾向にあります(2012年:3%、2017年:5%)。一方、中年成人の使用率は4%で過去最高となりました(2012年と2017年:1%以下、2021年:3%)。

使用が報告された幻覚剤は、LSD、MDMA、メスカリン、ペヨーテ、マジックマッシュルームまたはシロシビン、PCP(フェンクリジン)など。

調査によれば、2022年に若年成人において幻覚剤の使用率増加に寄与したのは、LSD以外の幻覚剤とされています。LSDは過去10年間で使用が増加傾向にはあるものの、2022年に関しては前年と比べ減少(2022年:3%)。MDMAに関しては他の幻覚剤とは異なり、過去5年間で使用率に大きな変化がみられませんでした(2022年:3%)

2022年の大麻と幻覚剤の使用率が過去最高水準となった一方、たばこの喫煙率は着実に減少していることが明らかにされています。特に若年成人では喫煙率が大幅に減少しており、例えば過去1ヶ月以内の喫煙は2004年では29%であったのに対し、2022年では9%となり、3分の2以上減少しています。

ただし、ニコチン入りベイプの使用率は大幅に増加しており、過去30日以内の使用率は2017年の6%から、2022年では17%まで増加しています。

アルコールに関しては、若年成人と中年成人で使用状況が異なっています。若年成人では過去10年間で飲酒の割合は減少傾向にありますが、中年成人では緩やかに増加している傾向にあります。また、若年成人では大量飲酒(暴飲)が減少しているものの、中年成人では逆に過去最高(29%)を記録しました(2017年:25%、2021年:26%)。

米国立薬物乱用研究所のノラ・ヴォルコウ(Nora Volkow)所長はプレスリリースで、「薬物使用は10代の若者や若年成人に限られたものではなく、これらのデータは人々が生涯を通じてどのように薬物を使用するのかを理解するのに役立ちます」

「これらの傾向を理解することは第一歩であり、薬物使用とそれに関連する健康への影響が時間とともにどのように変化するかを明らかにする研究を続けることが極めて重要です。成人初期から後期までの人々が、薬物使用に関連する意思決定に役立つ最新の知識を確実に身につけられるようにしたいと、私たちは考えています」と述べています。

ギャラップ社の最新調査では、18歳以上のアメリカ国民の半数が大麻経験者であったことが報告されています。この調査で「現在大麻を吸っている」と回答した人は17%であり、昨年の調査とほぼ同様となっていました。

また、同社は昨年、アメリカで大麻の喫煙率がたばこの喫煙率を初めて上回ったことを報告しています

州レベルで大麻の合法化が進むアメリカにおいて、成人では大麻の使用が増加している傾向にありますが、未成年に関しては異なったパターンが示されています。

2021年に公開されたモニタリング・ザ・フューチャーの結果では、未成年の大麻使用が減少していたことが報告されており、この数は新型コロナウイルスのパンデミック後に行われた2022年の同様の調査でも横ばいで経過しています。

今年5月には、米国疾病対策予防センター(CDC)が発表したデータにおいて、アメリカで嗜好用大麻の販売店がオープンして以降、未成年の大麻使用率が最低値となっていたことが明らかにされています。

米国有権者を対象としたカリフォルニア州立大学バークレー校の調査では、回答者の52%が自分あるいは身近な人における幻覚剤の使用経験を報告。さらに、61%が治療目的での幻覚剤の合法化、49%が幻覚剤の非犯罪化を支持していたことが明らかにされています。

Marijuana Moment「Adult Marijuana And Psychedelics Use Now At ‘Historic Highs’ While Teen Consumption Remains Stable, Federally Funded Study Finds」https://www.marijuanamoment.net/adult-marijuana-and-psychedelics-use-now-at-historic-highs-while-teen-consumption-remains-stable-federally-funded-study-finds/

National Institute on Drug Abuse「Marijuana and hallucinogen use, binge drinking reached historic highs among adults 35 to 50」https://nida.nih.gov/news-events/news-releases/2023/08/marijuana-and-hallucinogen-use-binge-drinking-reached-historic-highs-among-adults-35-to-50

Mugglehead Magazine「Cannabis, psychedelics and binge drinking reach all-time highs in 2022: NIH survey」https://mugglehead.com/cannabis-psychedelics-and-binge-drinking-reach-all-time-high-in-2022-nih-survey/

Benzinga「Cannabis, Psychedelics Use And Binge Drinking At All-Time High Among Adults, Teens Remain Stable, Fed Study Finds」https://www.benzinga.com/markets/cannabis/23/08/33902628/cannabis-psychedelics-use-and-binge-drinking-at-all-time-high-among-adults-teens-remain-stable-f

廣橋 大

麻マガジンライター。看護師国家資格保有者。2021年より大麻の情報発信に携わる。

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