ミネソタ州ミネアポリス、自然由来の幻覚剤を非犯罪化
ミネアポリス彫刻庭園

ミネソタ州ミネアポリス、自然由来の幻覚剤を非犯罪化

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7月21日、米国ミネソタ州のミネアポリス市長はマジックマッシュルーム、アヤワスカ、イボガなど幻覚作用を有する植物・菌類に対する法執行を、市内で最も低い優先度にする行政命令を出しました。これは事実上、自然由来のサイケデリクス(幻覚剤)が非犯罪化されたことを意味します。

法執行を優先しないという形でサイケデリクスを非犯罪化した都市は他にも多くありますが、今回のように市長が「行政命令」としてこれを実施したのは全米で初となります。

ミネアポリスのジェイコブ・フレイ(Jacob Frey)市長は取締りの緩和に反対する住民がいることを認めた上で、この改革が麻薬取締法の全国的な見直しに貢献し、自然由来のサイケデリクスがうつ病やトラウマ、依存症に苦しんでいる人々に果たす役割に注目が集まることを望んでいるとしています。

行政命令の冒頭部分では、「私たちの都市では慢性的なうつ病、深刻な不安、問題のある薬物乱用、PTSD、終末期の不安、悲しみ、世代間トラウマ、その他の身体的・精神的状態が存在し、この状況は新型コロナウイルスの影響によって悪化しています。幻覚植物の使用はこれらの状態に対処する上で、個人とコミュニティの健康と幸福に有益であることが科学的・臨床的研究によって示されています」と述べられています。

幻覚植物とはインドールアミン、トリプタミン、フェネチルアミンなどの化合物を含む植物、菌類、天然素材、またはこれらの抽出物全般と定義され、これにはマジックマッシュルーム、アヤワスカ、メスカリンを含むサボテン(ただし、ペヨーテは保護の観点から除かれている)、イボガなどが該当するとされています(これらに限定されないと記載されていますが、MDMAやLSDは対象外)。

行政命令では他にも、先住民によって長い間幻覚剤が使用されてきた歴史や、サンフランシスコデトロイトなどの都市ですでにサイケデリクスの法執行優先度が下げられていることにも触れられています。

また、マジックマッシュルームに含まれるシロシビンがアメリカ食品医薬品局(FDA)によって認可された臨床試験で肯定的な結果を示したことについて触れつつ、メンタルヘルス領域におけるサイケデリクスの有望性について以下のように述べています。

「イボガインを含む幻覚植物は他の依存症治療よりも高い確率で、治療抵抗性のオピオイドやメタンフェタミン依存症の症例を緩和することが示されています」

「アヤワスカのような幻覚植物または植物の組み合わせはジメチルトリプタミンを含み、この成分は依存症、うつ病、PTSDの治療に有益な可能性があります」

「フェネチルアミン化合物(メスカリンなど)を含むサボテンなどの幻覚植物は、薬物及びアルコール依存症の治療に有益な可能性があります」

「幻覚きのこに自然に含まれるシロシビンは、ホスピスや末期がん患者の終末期の不安を和らげ、刑務所での再犯を減らし、うつ病、群発頭痛、トラウマを効果的に治療することができます」

フレイ市長は「幻覚植物の使用を通じて健康と幸福を改善しようとする個人は、現在の法律上の禁止事項により、逮捕と起訴を恐れている」と述べ、ミネアポリスではオピオイド使用障害の急増やそれによる二次的な影響など、他に対処すべき多くの優先事項があるとしています。

以上のことから、フレイ市長はこれらの植物、菌類、化合物の「植栽、栽培、購入、輸送、配布、実践、または所持を理由とした人物の捜査及び逮捕は、ミネアポリス市の法執行で最も低い優先順位」とし、法律で義務付けられている場合を除き、これらの活動で州法や連邦法を違反した疑いで捜査、拘留、逮捕するために市の資源を故意に使用しないとしています。

ただし、この行政命令は検察による裁量権行使を禁止するものではなく、また上記サイケデリクスを合法化するものではないことも強調されています。

なお、ミネソタ州知事は今年5月、サイケデリクスの合法化に備えるためのタスクフォースを設立する法案に署名しています。このタスクフォースでは、シロシビン、MDMA、LSDの治療効果に関する既存の研究論文の調査や、サイケデリクス治療の合法化に必要な法改正や規制の策定などが行われる予定です。

また、ミネソタ州では8月1日より嗜好用大麻が合法化され、21歳以上の成人による2オンス(約56g)までの乾燥大麻の所持や8株までの大麻の栽培が可能となります。

他にもミネソタ州ではハームリダクションに向けた動きも見られており、今年5月には、医療従事者の監視下で安全に違法薬物を使用できる「過剰摂取防止センター」の設立を公式に支援する法案が成立しています

サイケデリクスは全米で違法となっており、コロラド州オレゴン州を除き、州レベルでもそれは同様となっています。しかしこのような中、様々な都市がミネアポリスと同じような形で、サイケデリクスの非犯罪化を実現しています。

最近では、ミシガン州のファンデールマサチューセッツ州のセイラムカリフォルニア州のバークレーがこの仲間入りを果たしています。

なお、カリフォルニア州立大学バークレー校が公開した最近の調査では、米国有権者の61%が治療目的のサイケデリクス合法化、49%がサイケデリクスの非犯罪化を支持していたことが明らかにされています。これと同じような結果は、今年3月に公開された世論調査においても報告されています。

City of Minneapolis「Deprioritizing Enforcement of Entheogenic Plants」https://www.minneapolismn.gov/government/mayor/executive-orders/executive-order-2023-01/

Marijuana Moment「Minneapolis Mayor Issues Executive Order Making Psychedelics The City’s ‘Lowest Law Enforcement Priority’」https://www.marijuanamoment.net/minneapolis-mayor-issues-executive-order-making-psychedelics-the-citys-lowest-law-enforcement-priority/

Ganjapreneur「Minneapolis Mayor Makes Some Psychedelics Enforcement Lowest Police Priority」https://www.ganjapreneur.com/minneapolis-mayor-makes-some-psychedelics-enforcement-lowest-police-priority/

Benzinga「Minneapolis, MN Mayor Decrees Psychedelics Be Among Lowest Law Enforcement Priorities: ‘We Should Be In The Business Of Helping People’」https://www.benzinga.com/markets/cannabis/23/07/33326903/minneapolis-mn-mayor-decrees-psychedelics-be-among-lowest-law-enforcement-priorities-we-should-b

Marijuana Moment「Minnesota Governor Signs Bills To Create Psychedelics Task Force And Allow Safe Drug Consumption Sites」https://www.marijuanamoment.net/minnesota-governor-signs-bills-to-create-psychedelics-task-force-and-allow-safe-drug-consumption-sites/

廣橋 大

精神病院に勤める現役看護師。2021年初頭より大麻使用罪造設に向けた動きが出たことをきっかけに、麻に関する情報発信をするようになる。「Smoker’s Story Project」インタビュアー。

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