ミネソタ州、米国23番目の嗜好用大麻合法州へ

ミネソタ州、米国23番目の嗜好用大麻合法州へ

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州レベルで大麻の合法化が進むアメリカにおいて、嗜好用大麻を合法化する23番目の州が誕生しようとしています。

米国ミネソタ州議員らは今年初め、嗜好用大麻の合法化法案を提出。法案は上院と下院でそれぞれ審議され、上院ではリンゼイ・ポート(Lindsey Port)氏、下院ではザック・スティーブンソン(Zack Stephenson)氏が担当。当初同じ内容だった法案は両院でそれぞれ違った形で修正され、4月末に可決。その後、議員らは両法案の相違点を調整。これにより完成した最終法案が5月18日に下院で、20日に上院で可決されました。

法案はこれからティム・ウォルツ(Tim Walz)州知事の元へ送られますが、すでに州知事は同法案に署名すると明言しています。

最終の採決に先立ち、ポート氏は「大麻へのアクセスから子供たちを守るための最善の方法は、合法化と規制です。これは成人用の大麻法案であり、アルコールを売るのと同じように、21歳以上の人のための場所で販売されることになります。現状では、子供たちも利用できてしまうのです」

「現在のシステムは機能していません。私たちの目標は何も達成されていないのです。それは公共の安全を脅かすものであり、健康上のリスクであり、子どもたちに対するリスクでもあります」「もし、法執行機関で解決できる方法があれば、そうしてきたはずです」と発言。

上院議員であるクレア・アウマウ・フェルベテン(Clare Oumou Verbeten)氏は「この法案は、大麻の禁止によって最も被害を受けた人々が合法化による恩恵を受けられるようにすることを目的としており、ミネソタ州の黒人が大麻関連の犯罪で起訴される確率は白人の5倍であることが分かっています」「それは間違っています。人種的不公平です」

「これは、実際にこれらの誤りを正す機会です。私たちは、直ちに犯罪記録を抹消することで、それを実現します。そして、大麻の使用や販売で有罪判決を受けた人たち、あるいはその家族がいた人たちは、ライセンスを得るために一番先頭に立つ資格があります。仕事を失い、住居を失い、教育の機会を失ったあなた方を差し置いて、他の人たちがただ先に進むことはできないのです。あなた方は禁止政策で苦しんだ人たちであり、あなた方より先に、この新しい市場で利益を得る人たちを許すわけにはいきません」と述べました。

最終的な合法化法案「HF100」の主な内容は、以下の通り。

  • 2023年8月1日より、21歳以上の成人は2オンス(約56g)までの乾燥大麻、8gまでの濃縮大麻、THCを合計800mgまで含むエディブル製品の購入、公共の場での所持が可能となる。栽培は自宅で8株まで認められ、そのうち4株は成熟させることができる。住居内においては、2ポンド(約454g)までの所有が可能。また、成人同士であれば、報酬なしで2オンスまでの大麻の贈与が認められる。公共の場での大麻の使用は禁止。

  • 嗜好用大麻の販売が開始されるまでには、12~18カ月かかると予想されている。2025年3月1日から、既存の医療用大麻事業者は、嗜好用大麻の販売も可能となる新しいライセンスを取得できるようになる。また、自治体や郡も、政府のディスペンサリーを所有・運営できる。

  • 大麻管理局(Office of Cannabis Management)を新設し、同機関が市場の規制と大麻ビジネスのライセンス発行を担当する。

  • 2023年8月から大麻関連の前科も自動的に抹消されるが、全て完了するには来年までかかる可能性がある。

  • イベント時における現地での大麻使用や、大麻のデリバリーサービスも今後許可される予定。

  • 地方自治体は、地域内で大麻ビジネスの営業を禁止することはできないが、営業時間や場所について「合理的な」規制を設けることが可能。人口規模に応じて、大麻ビジネスのライセンス数を制限することも可能。

  • 嗜好用大麻の販売には、州の消費税に加え、10%の課税がなされる。

  • 税収の80%は州の一般財源となり、一部は大麻ビジネスを支援するための助成金や薬物乱用防止対策などのプログラムに充てられる。残りの20%は、地方自治体に配分される。

  • 低所得の地域に住む人や大麻関連の犯罪によって名誉ある地位を失った退役軍人は、優先的にライセンスを取得できる「社会的公平性申請者」とみなされる。また、大麻犯罪で有罪判決を受けた人、またはそのような有罪判決を受けた近親者がいる人もこの対象となる。

なお、州知事の署名はこれから行われるにも関わらず、大麻管理局のウェブサイトはすでに立ち上げられ、準備が進められています。

嗜好用大麻の販売は早くとも来年になる予定ですが、大麻の所持、個人栽培、大麻関連の前科抹消は今年8月から発効されるため、ウォルツ州知事は「立法府は賢明な判断をしたと思います」と述べ、喜びを表明。

また、ウォルツ州知事は週末に行われたCNNのインタビューで、同法案が公衆衛生上の目的を果たすものであることを強調。検査された大麻へのアクセスを可能にすることで、「ストリートで売られている大麻にみられるような、フェンタニルやキシラジンなど」への汚染を防ぐとしています。

「私は、大人が自分自身で決断することを信頼しています」「大麻の禁止(の廃止)にはまだ時間がかかりますが、私たちはそれを成し遂げると確信しています。合法的に手に入れましょう」

2023年に入り、ミネソタ州を含め、アメリカではますます州レベルの大麻合法化が進んできています。

4月にはデラウェア州が嗜好用大麻を合法化。3月末にはケンタッキー州が全米で医療用大麻を合法とする38番目の州となっています。

Marijuana Moment「Minnesota Governor Says He’ll Sign Marijuana Legalization Bill Next Week, As State Launches New Site For Regulatory Agency」https://www.marijuanamoment.net/minnesota-governor-says-hell-sign-marijuana-legalization-bill-next-week-as-state-launches-new-site-for-regulatory-agency/

Marijuana Moment「Minnesota Senate Approves Marijuana Legalization Bill, Sending It To The Governor」https://www.marijuanamoment.net/watch-live-minnesota-senate-to-vote-on-sending-marijuana-legalization-bill-to-governor/

Forbes「Minnesota Lawmakers Pass Marijuana Legalization Bill」https://www.forbes.com/sites/ajherrington/2023/05/20/minnesota-lawmakers-pass-marijuana-legalization-bill/

Star Tribune「What you need to know about Minnesota’s marijuana legalization bill」https://www.startribune.com/minnesota-marijuana-legalization-bill-law-cannabis-cultivation-dispensaries-business-pot-weed-legal/600275325/

廣橋 大

麻マガジンライター。看護師国家資格保有者。2021年より大麻の情報発信に携わる。

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