NBA、大麻を禁止薬物リストから除外へ

NBA、大麻を禁止薬物リストから除外へ

バスケットボールの世界最高峰、NBA(National Basketball Association)。

田臥勇太選手(当時フェニックス・サンズに所属)が日本人初のNBA選手となって以降、徐々に日本人のNBA選手が増えつつあります。現在は渡邊雄太選手(ブルックリン・ネッツ)と八村塁選手(ロサンゼルス・レイカーズ)が現役のNBA選手として活躍を続けています。

NBAは新型コロナウイルスの蔓延により、2019-20、2020-21、2021-22と3シーズン連続に渡り、大麻検査を一時的に中止していました。NBAコミッショナーのアダム・シルバー(Adam Silver)氏は当初より、大麻に対する社会の見方が変わってきていることから、大麻検査の中止が恒久的になるだろうと予測していました。

このような中、ついに4月1日、NBAとNBA選手労働組合(NBPA)は大麻を禁止薬物リストから除外し、大麻検査を中止することを成文化した労働協約に合意しました。

スポーツメディア「The Athletic」と「Stadium」の有力NBAインサイダーであるシャムズ・チャラニア(Shams Charania)氏が関係者から得た情報によれば、NBAとNBPAは7年間の新契約に暫定的に合意。その中に、「NBA選手が大麻を使用したとしても、薬物検査プログラムから大麻が除外されるため、罰則を受けることがなくなること」が含まれていることが分かりました。つまり、少なくとも今後7年間、NBA選手は大麻検査による罰則を受けることがありません。

この労働協約が正式なものとなるには、選手とチームの代表者による承認が必要となるため、現時点で協約の詳細は明らかにされていません。

大麻業界のテクノロジー企業「ウィードマップス(Weedmaps)」は2021年、現在フェニックス・サンズに所属するNBAの名選手ケビン・デュラント(Kevin Durant)氏とパートナーシップを締結。このパートナーシップは、「アスリートの健康と回復」に対する大麻の潜在的価値を紹介し、大麻のイメージを向上させることを目的としています。

2021年、東京オリンピックの陸上女子100メートルで金メダルの有力候補と期待されたシャカリ・リチャードソン(Sha’Carri Richardson)選手は、大麻の陽性反応が出たことでオリンピック出場停止となり、この処分はスポーツ界のみならず、芸能界や政界など各方面から批判を浴びました。

これを受け同年、世界アンチドーピング機関(WADA)は大麻を禁止物質リストから外すための科学的検討を開始。しかし翌年、WADAは大麻の使用を「スポーツの精神に反する」と判断し、大麻を禁止物質リストに残すことを正式に決定しています。

2022年2月、アメリカ女子プロバスケットボールリーグ(WNBA)のスター選手であるブリトニー・グライナー(Brittney Griner)氏は、ロシアに入国しようとした際、大麻濃縮物を含んだベイプカートリッジを持ち込んだとして、空港でモスクワ当局により拘束。同年12月、大統領間での交渉の末、グライナー選手は無事拘留から解放されています。

全米一の人気を誇るプロアメリカンフットボールリーグNFLの選手は、2020年より、大麻に限らず全ての薬物で陽性反応が出ても、試合出場停止処分を受けることがなくなっています。

大谷翔平選手も活躍するメジャーリーグ(MLB)では、2020年より禁止物質リストから大麻が除外されています。

世界最強のファイターが集うアメリカの総合格闘技団体UFC(Ultimate Fighting Championship)は、薬物検査で大麻の陽性反応が出たことを理由としてファイターを罰しないことを2021年に発表しています。

2022年にアメリカの研究者らは、運動と大麻を組み合わせることで多くの人がポジティブな効果を実感していたとする調査結果を報告しています

Marijuana Moment「The NBA Is Lifting Its Ban On Marijuana In New Deal With Players Union, According To Report」https://www.marijuanamoment.net/the-nba-is-lifting-its-ban-on-marijuana-in-new-deal-with-players-union-according-to-report/

The Athletic「NBA and NBA Players Association reach tentative deal on new collective bargaining agreement」https://theathletic.com/4370686/2023/04/01/new-nba-cba-agreement/

Marijuana Moment「NBA Won’t Test Players For Marijuana For Third Season In A Row, Report Says」https://www.marijuanamoment.net/nba-wont-test-players-for-marijuana-for-third-season-in-a-row-report-says/

Marijuana Moment「Marijuana Is Staying On The Banned Substances List For International Athletes, World Anti-Doping Agency Announces」https://www.marijuanamoment.net/marijuana-is-staying-on-the-banned-substances-list-for-international-athletes-world-anti-doping-agency-announces/

Marijuana Moment「New NFL Policy Would End Suspensions For Testing Positive For Any Drug—Not Just Marijuana」https://www.marijuanamoment.net/new-nfl-policy-would-end-suspensions-for-testing-positive-for-any-drug-not-just-marijuana/

廣橋 大

麻マガジンライター。看護師国家資格保有者。2021年より大麻の情報発信に携わる。

Recent Articles

モロッコ、合法大麻製品の公式ロゴを発表

モロッコ政府は4月発行の官報において、合法大麻製品の公式ロゴを発表しました。 大麻のシンボルをモロッコ国旗と同様の赤色で縁取り、その下に「CANNABIS」と表記したこのロゴは、国外に輸出...

イギリス、ヘンプの栽培規制を緩和

4月9日、イギリス政府は経済的・環境的可能性を最大限に引き出すため、ヘンプの栽培規制を緩和することを発表。この新たな規制は2025年の栽培シーズンより施行されます。 イギリスにおいてヘン...