NBA、大麻を禁止物質リストから永久に除外することを正式に発表

NBA、大麻を禁止物質リストから永久に除外することを正式に発表

4月初旬、有力NBAインサイダーであるシャムズ・チャラニア(Shams Charania)氏がNBAにおいて大麻が禁止物質リストから除外され、選手による大麻企業への投資や宣伝が可能になる見込みであることを報道。これらは初期段階の情報であり、正式に文書化されたものではありませんでした。

4月27日、NBAとNBA選手労働組合(NBPA)による新労使協定の主要ポイントが正式に文書化され、大麻が禁止物質リストから永久に除外されることが明らかとなりました。一方、大麻企業への投資は部分的に可能となりますが、当初の報道とは異なり、大麻企業の宣伝は少なくとも2029年まで禁止のままとなります。

この新たな労使協定により、NBAの大麻政策は「大麻の禁止」ではなく「大麻の使用に関連した問題への対処」にシフト。具体的には「選手がNBAの試合またはチーム関連活動において、大麻の影響下にあると判断された場合」あるいは「大麻に関連する依存問題を抱えていると判断された場合」に、チームは選手に対し妥当な処罰を課したり、薬物治療プログラムを紹介したりすることが可能となります。

ただし、大麻が違法な州のチームに関しては、州の大麻取締法に違反した場合、選手への処罰が認められています。また、デルタ8THCのような合成されたカンナビノイドに関しては、引き続き使用が禁止されますが、大麻と合成カンナビノイドをどのように区別するのかは難しい問題となりそうです。

大麻企業への投資に関しては、受動的で非支配的な持分の所有のみ許可されますが、大麻企業の宣伝や自身の名前がついた大麻ブランドを所有することは禁止されます。

一方、CBD製品・CBDブランドに関しては、宣伝や全面的な投資が認められています。これは、健康補助食品としてCBDの注目が高まっていることが理由となっています。なお、CBDは世界アンチ・ドーピング機構(WADA)の禁止物質リストから除外されていますが、大麻は依然としてリストに残されています。

今回明らかにされたのは新労使協定の主要ポイントのみであり、完全な文書に関しては現在も作成中となっています。

スポーツ界では、大麻に対する姿勢が徐々に変わってきています。

世界最強のファイターが集うアメリカの総合格闘技団体UFC(Ultimate Fighting Championship)は、薬物検査で大麻の陽性反応が出たことを理由にファイターを罰しないことを2021年に発表しています。

ネバダ州競技委員会(NSAC)は最近、州法を遵守した大麻の所持・使用を理由に、選手にペナルティを課すことを禁止する規制案を決議し、州知事に送付。この規制案はWADAの禁止物質リストに準ずるとしながらも、ファイターのみ例外として大麻を認める内容となっています。

MLB(メジャーリーグベースボール)は2019年に大麻を禁止物質リストから除外することを発表。イリノイ州シカゴに本拠地を置くMLB球団「シカゴ・カブス(Chicago Cubs)」は4月、CBD飲料企業「MYND DRINKS社」とスポンサー契約を結んだことを発表し、球団単体としてCBD企業とスポンサー契約を結んだ初の球団となりました。

全米のスポーツで1番の人気を誇るアメリカンフットボールのNFLの選手は2020年より、大麻に限らず全ての薬物で陽性反応が出ても、試合出場停止処分を受けることがなくなっています。

SFGATE「NBA refutes reports on cannabis clause in new collective bargaining agreement」https://www.sfgate.com/cannabis/article/nba-refutes-reports-cannabis-clause-in-labor-deal-18074672.php

Marijuana Moment「NBA Clarifies Players Won’t Be Able To Promote Marijuana Brands, But League Will Allow Passive Investments And End Testing」https://www.marijuanamoment.net/nba-clarifies-players-wont-be-able-to-promote-marijuana-brands-but-league-will-allow-passive-investments-and-end-testing/

Marijuana Moment「Nevada Sports Regulators Send Proposal To Stop Penalizing Fighters Over Marijuana To The Governor」https://www.marijuanamoment.net/nevada-sports-regulators-send-proposal-to-stop-penalizing-fighters-over-marijuana-to-the-governor/

廣橋 大

精神病院に勤める現役看護師。2021年初頭より大麻使用罪造設に向けた動きが出たことをきっかけに、麻に関する情報発信をするようになる。「Smoker’s Story Project」インタビュアー。

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