オハイオ州、全米24番目の嗜好用大麻合法州へ

オハイオ州、全米24番目の嗜好用大麻合法州へ

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11月7日、米国オハイオ州は嗜好用大麻の合法化を決定する住民投票を実施。その結果、賛成多数で嗜好用大麻の合法化が決議されました。これにより、オハイオ州は全米で24番目の嗜好用大麻合法州となります。

このイニシアチブ(一定数以上の有権者によって提案された法案)を発案したのは、「マリファナをアルコールのように規制するための連合(CTRMLA)」。同連合は8月、今回の住民投票に向けて十分な署名数を集めました

オハイオ州では2015年にも嗜好用大麻合法化の是非を問う住民投票が行なわれましたが、否決に終わっています。しかし、今回の住民投票では賛成57%、反対43%の賛成多数で、嗜好用大麻の合法化が受け入れられる形となりました。

これにより、オハイオ州では12月7日から2.5オンス(約71g)以下の乾燥大麻の所持と6株までの大麻の栽培が可能となります。また、この日から9ヶ月以内に、規制当局は既存の医療用大麻小売店に対し、嗜好用大麻の小売ライセンスの発行を開始する必要があります。

イニシアチブ(Issue 2)の主な内容は、以下の通り。

  • 21歳以上の成人は2.5オンスまでの乾燥大麻、15gまでの濃縮大麻の所持が可能。

  • 21歳以上の成人は個人使用目的で6株までの大麻を栽培できる。1世帯では12株まで許可される。

  • 大麻の販売には10%の税が課せられる。税収は社会的公平性及び雇用プログラム(36%)、嗜好用大麻事業を許可する地方自治体(36%)、教育と薬物乱用プログラム(25%)、制度を実施するための管理費(3%)に充てられる。

  • 商務省の下に「大麻管理部門(A Division of Cannabis Control)」を設置。同部門は嗜好用大麻市場の規制において権限を持つ。

  • 既存の医療用大麻小売店は、先んじて嗜好用大麻の販売が可能となる。規制当局は法案施行から9ヶ月以内に、既存の医療用大麻小売店に対し嗜好用大麻の販売ライセンスを発行し始めなければならない。

  • 規制当局は社会的公平性プログラムの申請者(大麻関連犯罪の前科を持つ人も含まれる)を優先して、40件の栽培ライセンスと50件の小売ライセンスを発行する。最初のライセンスが発行されてから2年後に、追加でライセンスを発行できる。

  • 規制当局は「大麻依存症サービス」を提供するために、精神保健・依存症サービス局と協定を結ぶ必要がある。このサービスには、大麻やその他オピオイドなどの規制薬物に関連する依存症問題を抱える個人に対する教育と治療が含まれる。

  • 各市町村は嗜好用大麻小売店の新規参入を認めないことは可能だが、既存の医療用大麻小売店が嗜好用大麻の販売を行うのを妨げることはできない。

  • 雇用主は従業員が勤務時間外に嗜好用大麻を使用することを禁止する規則を維持することができる。

  • この法案で合法化される内容の前科の自動的抹消については定められていない。ただし、法案は規制当局に対し、前科抹消を含む刑事司法改革の取り組みのために研究し、資金提供を行うことを求めている。

オハイオ州は2016年に医療用大麻を合法化していますが、まだ問題が多いとされています。実際、コスト面などにおいて不満を持つ患者もおり、隣のミシガン州まで医療用大麻を購入している患者も存在しています。

イニシアチブの賛成派は、嗜好用大麻の合法化が同州において医療用大麻の適応とはならない健康上の問題を抱えている患者や現在の医療用大麻プログラムに不満を持つ人々にとって助けになると主張しています

オハイオ州立大学が8月に発表した論文によれば、同州で嗜好用大麻が合法化された場合、販売開始から5年目までに、年間で2億7620万ドル(約416億円)から4億360万ドル(約607億円)の税収が得られると推定されています。

また、MJBizDailyの予測によれば、全米で7番目に人口の多いオハイオ州(約1,200万人)で嗜好用大麻が合法化されることで、その市場規模は1年後には15億〜20億ドル(約2,257億〜3,009億円)、4年目には35億〜40億ドル(約5,266億〜6,019億円)に達する見込みです。

今回オハイオ州民は嗜好用大麻の合法化を承認しましたが、この法案は今後議会によって修正され、最悪の場合は廃止される可能性も残っています。

オハイオ州のマット・ハフマン(Matt Huffman)上院議長は先月、法案は修正のため「議会に戻ってくる」と発言。しかし、嗜好用大麻合法化の完全な廃止を求めることはせず、「合法化計画を見直して、その中にあるものを廃止したり変更したりすることを主張する 」と明言しています

一方、共和党が支配する上院は今回の投票に先立ち、イニシアチブの否決を住民に促すための法案を可決していました。また、共和党のマイク・デワイン(Mike DeWine)州知事も嗜好用大麻の合法化に対し反対を表明しています

なお、デワイン州知事は今年1月、200gまでの大麻所持を含む特定の薬物関連の前科を持つ人々に対し、各都市が大量の前科抹消を行うことを促進する法案には署名しています

昨年の11月に行なわれた住民投票では、メリーランド州ミズーリ州が嗜好用大麻の合法化を承認。両州ではすでに嗜好用大麻の販売も開始されています。

今年に入り、デラウェア州ミネソタ州が新たに嗜好用大麻を合法化。この2州は住民投票ではなく、州議会で決定しました。

一方、今年3月に行われたオクラホマ州の住民投票では、嗜好用大麻の合法化が否決されています

※為替は記事公開時点のレートで計算しており、リンク先の記事と日本円の数字が異なることがあります。最新の米ドル・円の相場はこちら

Marijuana Moment「Ohio Voters Approve Marijuana Legalization Ballot Initiative, Making It The 24th State To End Prohibition」https://www.marijuanamoment.net/ohio-voters-approve-marijuana-legalization-ballot-initiative-making-it-the-24th-state-to-end-prohibition/

Courier-Journal「Ohio votes to legalize recreational marijuana」https://www.courier-journal.com/story/news/2023/11/07/ohio-issue-2-live-election-results-2023-state-votes-on-recreational-marijuana/71486335007/

NORML「Ohio Becomes 24th State to Legalize Marijuana for Adult Use」https://norml.org/blog/2023/11/07/ohio-becomes-24th-state-to-legalize-marijuana-for-adult-use/

MJBizDaily「Ohio adult-use marijuana legalization could spawn $4 billion market, but lawmakers a wild card」https://mjbizdaily.com/ohio-votes-on-adult-use-marijuana-legalization-lawmakers-may-be-hurdle/

Marijuana Moment「If Ohio Voters Pass Marijuana Legalization Measure, Senate President Says He’ll Push For ‘Reviewing It And Repealing Things’」https://www.marijuanamoment.net/if-ohio-voters-pass-marijuana-legalization-measure-senate-president-says-hell-push-for-reviewing-it-and-repealing-things/

Marijuana Moment「Ohio Senate Urges Voters To Oppose Marijuana Legalization On The Ballot, Citing Anti-Drug Talking Points」https://www.marijuanamoment.net/ohio-senate-urges-voters-to-oppose-marijuana-legalization-on-the-ballot-citing-anti-drug-talking-points/

廣橋 大

麻マガジンライター。看護師国家資格保有者。2021年より大麻の情報発信に携わる。

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