米国ミズーリ州は2022年11月9日に承認された嗜好用大麻合法化法に従い、大麻関連の犯罪記録を10万件近く抹消しています。
「修正案3(Amendment 3)」は2022年12月8日に施行され、21歳以上の成人による3オンス(約85g)までの乾燥大麻の所持・購入や大麻の自家栽培が可能となりました。この約2ヶ月後には、既存の医療用大麻小売店において嗜好用大麻の販売も開始されました。
同法は大麻関連の犯罪記録の抹消についても規定。具体的には、ミズーリ州裁判所は2023年6月8日までに軽犯罪記録(乾燥大麻35g以下の所持)を、12月8日までに重犯罪記録(35g以上の所持)を抹消することになっています。
KMBC Channel 9によれば、これらの前科抹消はスケジュール通りに完了しておらず、遅延しています。とはいえ、州内の裁判所は1月の時点で約3,500件、6月の時点で約4万4,000件の犯罪記録を抹消しており、その数は現在10万件近くにまで達しています。
法案の一部を執筆したダン・ヴィーツ(Dan Viets)氏はKMBC Channel 9の取材に対し、「裁判所、特にサーキットクラーク(裁判所で事務作業や文書処理を担当する役職)が法律を遵守し、これらの事件を抹消するために誠実に努力している限り、私たちは満足すると常に言ってきました」
「彼らは技術的には期限を守っていません。しかし、一方で、私たちはミズーリ州で1世紀に渡ってマリファナの禁止に取り組んでいます。そのため、何十万件もの事件があるのです」と述べました。
実際に、グリーン郡のサーキットクラークであるブライアン・フィームスター(Bryan Feemster)氏はFOX4の取材に対し、「その期限に間に合わせることはできませんし、間に合わせるつもりもありません。その期限に間に合わせることは物理的に不可能です」と説明しました。
ヴィーツ氏はこの作業が完了するまで、まだ何年もかかると予想しています。
ミズーリ州で15店舗、他州も合わせて31店舗で大麻の販売を行っている「Greenlight Dispensary」の共同経営者ジョン・ミューラー(John Mueller)氏は「(大麻関連前科の抹消が)憲法に明記されたことは、業界が最も誇りに思うことのひとつです」とコメント。
また、ミューラー氏は大麻税の徴収により、前科抹消に使える資金が増えると指摘しました。
他にも、ミューラー氏は嗜好用大麻合法化の目的の1つとして、闇市場を排除することを挙げています。
「私たち(合法市場)が1ドル売るごとに、闇市場での流通額が1ドル減ると言います。つまり、麻薬カルテルや違法な栽培業者への資金流出を防ぐことができるのです。私たちが牽引力となって54種類の汚染物質を検査し、子供たちの手に渡らないよう合法化すれば、誰もが得をするのです」
NORMLによれば、2018年から2022年にかけ、アメリカの州や自治体では大麻関連の犯罪に対し10万件以上の恩赦が与えられ、170万件以上の前科抹消が行なわれました。
2023年に入ってからもカリフォルニア州、コネチカット州、ロードアイランド州など様々な州において、大麻関連の前科抹消が進められています。
連邦政府直轄の独立行政区であるワシントンD.C.(コロンビア特別区)は3月、大麻関連の犯罪記録を抹消する法案を発効。同月にニューメキシコ州では、大麻関連の前科抹消を促進する法律が成立しました。
今夏より嗜好用大麻が合法となったメリーランド州やミネソタ州においても、合法化された内容に一致する犯罪記録が抹消されることになっています。
新たに嗜好用大麻の合法化を決定したオハイオ州では、このような前科抹消に関する規定は存在しません。しかし、この新法は規制当局に対し、前科抹消を含む刑事司法改革の取り組みのために研究し、資金提供を行うことを求めています。
連邦レベルでは2022年10月、バイデン大統領が大麻の単純所持で有罪となった人々に対し恩赦を与えることを発表。
バイデン大統領は今年に入ってからも、キング牧師記念日や黒人歴史月間を記念するイベントなどにおいて、「大麻を所持しているだけで、誰も刑務所に入るべきではありません」と繰り返し公言しています。
KMBC「Missouri expunges nearly 100,000 marijuana convictions in year since constitutional amendment approved」https://www.kmbc.com/article/missouri-marijuana-convictions-expunged-year-after-constitutional-amendment/45784707#
Ganjapreneur「Missouri Nears 100,000 Cannabis Expungements Under Adult-Use Law」https://www.ganjapreneur.com/missouri-nears-100000-cannabis-expungements-under-adult-use-law/
HighTimes Magazine「Missouri Expunged Nearly 100K MJ Convictions in a Year, Despite Missing Deadlines」https://hightimes.com/news/missouri-expunged-nearly-100k-mj-convictions-in-a-year-despite-missing-deadlines/
USA Today「100,000 marijuana convictions expunged in Missouri, year after recreational use legalized」https://www.usatoday.com/story/news/nation/2023/11/09/missouri-marijuana-convictions-expunged/71514794007/
fox4kc.com「Missouri cannabis expungements likely to miss constitutional deadlines」https://fox4kc.com/news/mo-marijuana/missouri-cannabis-expungements-likely-to-miss-constitutional-deadlines/