オランダ政府、MDMA研究委員会を設立

オランダ政府、MDMA研究委員会を設立

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3月21日、オランダ政府はMDMAの特性、社会におけるリスクとメリット、治療の潜在的価値などを評価するための国家委員会を設立したことを発表しました。

委員長に任命されたのは、1614年に設立されオランダで2番目に古い研究大学「フローニンゲン大学」にて教授を務めるブライト・トーベス(Brigit Toebes)氏。彼女は「健康寿命の延伸」を目標とし、基礎研究に根ざした教育やコンサルタントを行う機関「Aletta Jacobs School of Public Health」の管理職も担っています。

MDMA研究委員会は、オランダ保健福祉スポーツ省(Ministry of Health, Welfare and Sport)のエルンスト・カイパース(Ernst Kuipers)大臣によって提案され、閣僚会議にて承認されたことにより設立されました。

昨年からサイケデリクス(幻覚剤)の可能性に興味を持ち始めたカイパース大臣は、今年3月6日にフローニンゲン大学医療センター(UMCG)で、オランダ保健研究開発機構(ZonMw)による報告書「サイケデリクスの治療適用」の発表を受け、同委員会の設立に至っています。

この報告書では、サイケデリクス介在療法の現状、最も恩恵を受け得る対象患者、臨床分野における科学的研究の困難さに加え、サイケデリクス治療の質の基準を設定するのに役立つ認定教育機関の開発についても論じられています。

MDMA研究委員会は、議会に対し公平な見識と勧告を行う独立した諮問機関として機能することになります。MDMAを医療目的で使用することの長所と短所の評価を任務とし、分析は多くの専門分野に渡って実施されることになります。また、MDMAの使用に関連するヨーロッパの法的背景と関連条約についても評価されます。委員会は2024年1月までに、オランダ政府に調査結果を報告する予定となっています。

フローニンゲン大学のトーベス教授は「MDMAが患者に役立つ可能性があるという指摘があります。例えば、トラウマの患者さんです」と述べています。

ヨーロッパの非営利サイケデリクス研究機関「オープン・ファンデーション(OPEN Foundation)」によれば、オランダには、PTSDや難治性うつ病などの重度の精神疾患に苦しむ患者が約20万人いると推定されています。

カイパース大臣は「公衆衛生の文脈におけるMDMAの位置づけとその医療活用が調査されることは、前向きな進展となります。国家委員会の助言を楽しみにしています」とコメント。また、MDMA治療における枠組みの開発、潜在的なリスクの抑制、研修プログラムの設計において、オランダは先駆的な役割を果たすことができると述べています。

オーストラリアでは2023年7月1日より、医療機関における厳格な管理のもとで、MDMAをPTSD患者に処方することが可能となる予定です。ただし、医療管理局(TGA)によって承認されたMDMA配合薬は、現時点でまだ存在していません。この状況でMDMAを治療として活用するためには、患者は2万5,000豪ドル(約220万円)もの費用を支払う必要があると言われており、現実性に欠ける状況となっています。

3月21日に公開されたアメリカの調査では、米国民の半数以上がサイケデリクスによる治療やその非犯罪化を支持していたことが報告されています。

OPEN Foundation「DUTCH GOVERNMENT ESTABLISHES MDMA STATE COMMISSION」https://open-foundation.org/dutch-government-establishes-mdma-state-commission/

Mugglehead Magazine「Dutch government establishes MDMA research commission」https://mugglehead.com/dutch-government-establishes-mdma-research-commission/

High Times Magazine「Psychedelic Therapy in Australia Likely To Cost Thousands」https://hightimes.com/news/psychedelic-therapy-in-australia-likely-to-cost-thousands/

廣橋 大

麻マガジンライター。看護師国家資格保有者。2021年より大麻の情報発信に携わる。

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