12月20日、難治性てんかんの子どもに対し、少量のTHCを含んだフルスペクトラムのCBD製品がそれ以外のCBD製品よりも高い効果を示したことがイギリスの研究者らにより報告されました。
今回の研究はイギリス国内において、大麻ベースの医薬品(CBMP)による治療を受けていた18歳未満の難治性てんかんの子どもの臨床経過(追跡期間の中央値:12ヶ月)から、CBMPの有効性や安全性を評価したものです。
35名が解析対象となり、平均年齢は9.7歳。34.3%がレノックス・ガストー症候群やドラベ症候群などのてんかん症候群、25.7%が遺伝子に起因するてんかん、残りの40%は原因不明のてんかんを有していました。
てんかん発作の種類として多かったのは全般発作(60%)で、それ以外に複雑部分発作(14.3%)、単純部分発作(8.6%)など(※発作の種類について詳しく知りたい方は、こちらの記事の「てんかん発作の種類」をご参照下さい)。
使用されたCBMPはオイルベースのものがほとんどで、ドライフラワーを使用した人はいませんでした。
19名がCBD単体、12名がCBDブロードスペクトラム、4名が少量のTHCを含んだCBDフルスペクトラム製品から治療を開始。CBD単体で十分な効果がなければCBDブロードスペクトラム、それでも効果がなければCBDフルスペクトラムに治療が変更されました。
最終データの抽出時点で、4名がCBD単体、14名がCBDブロードスペクトラム、17名がCBDフルスペクトラム製品を使用。投与量の平均はCBD単体で14.1mg/kg/日、CBDブロードスペクトラムでCBD5.7mg/kg/日、CBDフルスペクトラムでCBD8.7mg/kg/日・THC0.4mg/kg/日となっていました。
全体としてCBMPの使用により、65.7%で50%以上の発作減少、37.1%で90%以上の発作減少、11.4%で完全寛解が認められました。
製品別で見てみると、50%以上の発作減少が認められたのはCBD単体で31.6%、CBDブロードスペクトラムで17.6%であったのに対し、少量のTHCを含んだCBDフルスペクトラムでは94.1%で、それ以外のCBD製品との間で明らかな有意差が認められました。
なお、CBMPによる治療が開始される前に服用中だった抗てんかん薬の種類の中央値は7種類(3〜15)で、最終データの抽出時点では2種類(1〜4)にまで減少。CBMPと併用されたものとして多かったのはクロバザム(48.6%)、バルプロ酸ナトリウム(31.4%)、ラモトリギン(14.3%)でした。
副作用は全体で16名から26件報告され、約85%が軽度から中程度のもので、その大部分が疲労感(53%)でした。重度なものとしては食欲低下、体重減少、吐き気が1件ずつ挙げられました。なお、CBDフルスペクトラムとそれ以外のCBD製品との間で副作用の発現率に有意差は認められませんでした。
今回の研究では難治性てんかんの子どもに対し、CBDフルスペクトラムが他のCBDよりも発作に効果的であることが示されました。
しかし研究者らは、サンプルサイズが小さいこと、プラセボなど比較対象がなかったことなどから、今回の研究で有効性を判断することはできず、今後の研究につなげていくものとして解釈すべきとしています。
また、CBMPは子どもにおいて短期的には忍容性が高いと考えられますが、長期的な影響は不明なままであり、これについては引き続き懸念される事項であると述べています。