難治性てんかんの犬、CBD・CBDAオイル使用により発作が減少

難治性てんかんの犬、CBD・CBDAオイル使用により発作が減少

- アメリカのパイロット試験

2022年7月4日、大麻草に含まれるCBD(カンナビジオール)とCBDA(カンナビジオール酸)を主成分としたオイルが難治性てんかんの犬の発作を減少させたことがアメリカの研究者らにより報告されました。

CBD抗てんかん作用を有することで知られており、高濃度のCBDを含有した大麻由来医薬品エピディオレックスは難治性てんかんを有する1歳以上の人に対し有効性を示しています。CBDの前駆体である酸性カンナビノイドCBDAも、マウスの研究において抗てんかん作用を示したことが報告されています

今回の研究では難治性てんかんを有する犬14匹に対し、従来の抗てんかん薬に加えてCBD・CBDAを主成分としたオイル(以下、CBD・CBDAオイルとする)を併用することによる有効性と安全性が検証されました。

CBD・CBDAオイル群とプラセボ群にランダムに振り分けそれぞれ12週間使用した後、振り分けを入れ替えさらに12週間使用してもらい、その結果を比較し評価する24週間のランダム化クロスオーバー試験を実施。使用量はCBD・CBDAオイルもプラセボも同様で、12時間ごとに2mg/kgでした。

その結果、てんかん発作の頻度はプラセボ使用中で平均8回でしたが、CBD・CBDAオイル使用により平均5回にまで減少しました。12週間のうちに発作が起きた日数もプラセボで平均5.8日でしたが、CBD・CBDAでは平均4.1日と有意な減少が認められました。また、てんかんの活動性が50%以上低下した犬はプラセボでは0匹でしたが、CBD・CBDAオイルでは6匹認められました。

CBD・CBDAオイルにより報告された副作用は傾眠(3匹)と一過性の運動失調の増加(4匹)でしたが、プラセボとの有意差は認められませんでした。血液検査では肝機能の軽度な異常を示す所見(ALPの軽度上昇)が観察されましたが、それ以外の変化や異常はみられませんでした。

また試験中に使用を継続していた抗てんかん薬(ゾニサミド、フェノバルビタール、臭化カリウム)の血中濃度は、各群において差が認められず、CBD・CBDAオイルの併用がこれらの抗てんかん薬の薬物動態に影響をもたらさないことが示されました。

これらの結果から研究者らは、CBD・CBDAオイル(12時間ごとに2mg/kgの使用)は他の抗てんかん薬と併用することでてんかん発作の減少に貢献し、かつ安全である可能性があると述べています。

2019年のアメリカの論文では、難治性てんかんの犬に対し従来の抗てんかん薬に加えてCBDを使用した結果、プラセボと比較し発作が有意に減少したことが報告されています。

日本のアニマルCBD研究会においても、CBD使用により犬のてんかんの改善を報告した症例がいくつか紹介されています。

廣橋 大

麻マガジンライター。看護師国家資格保有者。2021年より大麻の情報発信に携わる。

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