サイケデリクス使用者はパンデミック中にストレスを感じにくい研究結果

サイケデリクス使用者はパンデミック中にストレスを感じにくい研究結果

パンデミック発生時には、アメリカだけに限らず、日本を含め世界各国で精神疾患の罹患率が急激に上昇しました。

しかし、サイケデリック・ドラッグを使用していた人はその影響が少なく、パンデミック中のストレスが少なかったことが研究によって明らかになりました。

新型コロナウイルスが爆発的にアメリカで流行する前は、アメリカの成人の約8.5%がうつ状態であると報告されていましたが、昨年発表されたデータによると、新型コロナウイルスの発生に伴う恐怖、ロックダウン、隔離を経験したことにより、およそ3倍である数字、27.8%に急上昇しました。

このことに対して、ボストン大学公衆衛生大学院の学部長であるサンドロ・ガレア教授は、「パンデミックによるメンタルヘルスへの影響は前例がない」と述べています。

また別の研究では、シロシビン(=マジックマッシュルームの成分)を含むサイケデリックが、うつ病、不安症、依存症などの精神疾患の治療薬としての可能性があることが示されています。

今回、オランダ、スペイン、ブラジルの研究機関に所属する研究者は、新型コロナウイルスの大流行がメンタルヘルスに与えた影響にサイケデリクスの使用がどのような影響を与えたかを調査しました。

・対象者・・・スペイン、ブラジル、アメリカに住む2,974人

・平均年齢・・36歳

・性別・・・男性(29%):女性(70%):その他(1%)

・種類・・・シロシビン、ペヨーテ、MDMA、アヤワスカ、LSD、DMTなど

・質問事項・・・心理的苦痛、心的外傷後のストレス症状、心理的状態など

宗教に関しては、全対象者のうち積極的に宗教活動を行っている割合は35%に過ぎず、残りの65%は自分をスピリチュアルな存在だと考えていました。全体のうち28.3%は何かしらの身体的疾患を抱えており、31.1%が精神心的疾患を持っていました。最も多かった身体的疾患は喘息で、多かった精神疾患は不安症、うつ病、PTSDでした。

ここでの常用は、6ヶ月間のうち一回以上のサイケデリクスの使用を指す。

今回の研究結果で、サイケデリクス常用者は心理的苦痛や心的外傷ストレスが低く、社会的支援も多いことが分かり、時々の使用者は心的外傷ストレスが低いということが報告されました。

常用者は、不可知論者または宗教者が多く、自分をスピリチュアルな存在だと考え、スピリチュアルな体験を実践したりする頻度が高いことが分かりました。また、常用者はサイケデリクスの使用量が時々しか使わない人よりも多かったことが分かりました。

また、常用者は一人で儀式や治療のためにサイケデリクスを使用することが多いことが分かり、時々の使用者は、友人と一緒にパーティーやフェスティバルで使用することが多い模様です。

不可知論

一般に究極的実在,絶対者,神といったものは人知をもってしては知りえないとする立場。

引用:コトバンク

今回の調査では、パンデミックがもたらしたメンタルヘルスへの影響について明らかになりました。更に、参加者の5分の1近くが職を失い、半数近くがパンデミック中に収入が減少したと回答しています。

研究者らは、サイケデリクスの使用者はパンデミック中、非使用者と比べてストレスが少なかったと報告していますが、その違いが本当にサイケデリクスによるものかどうかは不明であると説明しており、屋外スペースへのアクセス、屋外で過ごす時間の増加、健康的な食習慣、パンデミックに関する報道を見聞きする時間など他の要因も精神衛生に影響を与える可能性があるとし、継続的な研究を呼びかけています。

Taichi

大学在学中、日本に居続けることは勿体ないと感じ、オーストラリアに1年間語学留学。その際に、バックパックでニンビンに訪れ、「麻」に出会う。帰国後、日本社会に窮屈さを感じ、「麻」の本質を多くの人に知ってもらいたい思いで情報発信中。

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