ネバダ州が大麻の規制をさらに緩和 所持制限を倍増へ

ネバダ州が大麻の規制をさらに緩和 所持制限を倍増へ

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6月14日、米国ネバダ州知事は大麻の所持制限を倍増するなど、現行の大麻法にいくつかの改革を加える法案「SB277」に署名しました

ネバダ州は、2017年に嗜好用大麻を合法化。これにより、同州では21歳以上の成人において、1オンス(28グラム)までの乾燥大麻、8分の1オンス(約3.5グラム)までの濃縮大麻の所持が可能となりました。

今回ジョー・ロンバード(Joe Lombardo)州知事が署名した法案「SB277」は、これまでの大麻規制を緩和するものとなっています。

まず、この法案では大麻の所持制限が倍増され、乾燥大麻では2.5オンス(約71g)、濃縮大麻では4分の1オンス(約7g)までの所持が可能となります。

また、嗜好用大麻販売店が医療用大麻患者に大麻を販売する際に、医療用大麻の販売ライセンスが不要となります。つまり、嗜好用大麻と医療用大麻で別々に販売ライセンスを取得する必要がなくなるということです。これに伴い、2024年1月1日以降、医療用大麻の事業ライセンスの発行・更新は行われなくなります(嗜好用大麻販売店の運営を禁止している地域は除く)。

医療用大麻患者に関しては、購入するものが嗜好用大麻であったとしても、購入時にかかる税金は免除となります。

また、嗜好用大麻の販売や栽培などにおけるライセンスの更新料や申請料の上限も大幅に引き下げられる予定。

さらにこの法案では、重犯罪の前科がある人が大麻ビジネスライセンスの発行を申請した際、無条件で不適格と判断されることがなくなります。規制当局は、ライセンスを発行することで「公共の健康や安全が脅かされたり、この州の大麻産業に悪影響を及ぼすことはないと判断した場合」において、これらの人々に対しライセンスを承認することが可能となります。

逆にこれらの人々を不適格とする際には、公共の健康や安全を守るため、または不適格とすることが大麻産業の影響を軽減するために必要と判断される条件や制限を提示する必要があります。

大麻と幻覚剤に特化した法律事務所「Vicente LLP」のパートナーであるメグ・ナッシュ(Meg Nash)氏は、Forbesに対するメールで「前科のある人々による規制産業への参加を増やすための立法努力は、これらの人々に利益をもたらすだけでなく、失敗した麻薬戦争と闘うという大麻合法化政策の中心的な目的を促進するものです」「ネバダ州のように合法化の最前線にいた州が、より包括的な業界を作るために法律や規制を見直しているのは心強いことです」と述べました。

法案の一部はすでに施行されていますが、完全な施行は2024年1月1日からとなります。

ネバダ州では、公共の場所で大麻を消費できる「大麻ラウンジ」の事業においても、本格的に動きがみられ始めています。

ネバダ州は2021年に大麻ラウンジを合法化する法案を可決。この事業ライセンスの申請受付を開始したのは2022年10月で、翌月には40件の仮免許を承認。今年に入り6月20日、この40件の仮免許のうち3件において、ようやく正式にライセンスが承認されました

このように大麻ラウンジ事業の開始が遅延している理由には、行政の後退、厳しい資金繰り、煙の換気に関する規制の変更などが原因として挙げられています。業界の専門家によれば、年末までに州内で大麻ラウンジがオープンするのは数件に留まる可能性が高いとされています。

しかし、ネバダ州規制当局は6月20日の発表で、大麻ラウンジの換気要件に柔軟性を持たせる規制を採択し、社会的公平性を求める申請者を含む全てのライセンシーの参入障壁をさらに軽減することを決議したとしています。そのため、今後同州で大麻ラウンジ事業の動きが加速していく可能性があります。

なお、このような中、ラスベガス初の大麻使用可能ホテル「Lexi」が、当初より遅れて6月にオープンしています。同ホテルでは、4階フロアのみ全ての部屋において大麻の使用が可能となっており、1階では大麻ラウンジが開設される予定。ただし、Lexiは大麻ラウンジの事業ライセンスをまだ正式に取得していません。

一方、ネバダ州では大麻だけでなく、サイケデリクス(幻覚剤)においても動きがみられています。

ロンバード州知事は6月12日、サイケデリクスの研究を促進し、治療目的でのアクセスを規制する計画を策定するためのワーキンググループを設立する法案に署名

このワーキンググループは、PTSD、物質使用障害、うつ病などの精神疾患や終末期医療におけるシロシビン及びシロシンの研究を行うことを任務としています。また、これらの物質を治療で活用するための規制を検討し、安全でアクセスしやすく手頃な価格で治療を受けられる方法に関する実行可能な計画を策定することが求められています。

Marijuana Moment「Nevada Governor Signs Omnibus Marijuana Bill To Increase Possession Limits And Remove Industry Barriers」https://www.marijuanamoment.net/nevada-governor-signs-omnibus-marijuana-bill-to-increase-possession-limits-and-remove-industry-barriers/

Forbes「Nevada Governor Signs Marijuana Reforms Bill Into Law」https://www.forbes.com/sites/ajherrington/2023/06/20/nevada-governor-signs-marijuana-reforms-bill-into-law/

mjbizDaily「Sweeping bill benefiting marijuana operators in Nevada heads to governor」https://mjbizdaily.com/nevada-marijuana-legislation-heads-to-governor/

Nevada Cannabis Compliance Board「CCB Approves First Conditional Licenses for Consumption Lounges」https://ccb.nv.gov/ccb-approves-first-conditional-licenses-for-consumption-lounges/

MJBizDaily「Las Vegas marijuana consumption lounges encounter delays」https://mjbizdaily.com/las-vegas-marijuana-consumption-lounges-encounter-delays/

Las Vegas Review-Journal「Cannabis-friendly Lexi Hotel navigates through marijuana rules」https://www.reviewjournal.com/business/tourism/cannabis-friendly-lexi-hotel-navigates-through-marijuana-rules-2787944/

Marijuana Moment「Nevada Governor Signs Bill To Create Psychedelics Working Group To Plan For Regulated Access」https://www.marijuanamoment.net/nevada-governor-signs-bill-to-create-psychedelics-working-group-to-plan-for-regulated-access/

廣橋 大

麻マガジンライター。看護師国家資格保有者。2021年より大麻の情報発信に携わる。

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