ドイツ大麻市場、2034年までに46億ドルに達する見込み

The Niche Researchの最新レポートによれば、ドイツにおける2023年合法大麻市場の収益は0.8億ドル（約129億円）であり、この市場規模は2034年までにCAGR（年平均成長率）17.2%で成長し、46億ドル（約7,444億円）に達する見込みです。

2017年に医療用大麻を合法化したドイツでは、時の流れとともに大麻の有効性に関する科学的な報告が増えたことで、医療従事者による大麻治療への受容が進んできています。

さらに、高齢化が進む中、慢性疼痛、多発性硬化症、てんかんなど既存の治療で効果が不十分な慢性疾患を抱える患者が増加していることから、医療用大麻の需要がますます高まっています。実際にドイツの医療用大麻の輸入量は、2023年に過去最高となる32.4トンを記録しました。

しかし、大麻市場の成長予測の最も大きな要因は、嗜好用大麻が合法化されたことにあります。この大麻法は成人による大麻の所持・栽培を合法化したことに加え、医療用大麻を麻薬として扱わないことも規定。このことは医療用大麻の処方ハードルがなくなり、患者によるアクセスが大幅に向上したことを意味します。

現在、ドイツの患者は医師との短いカウンセリングを経た後、処方箋を発行してもらうだけで、近くの薬局で医療用大麻を購入することができます。Business of Cannabisによれば、多くの企業はオンライン診療を行うことで、必要な患者に医療用大麻の処方箋を郵送しています。

4月末時点で、ドイツの医療用大麻患者数はおよそ30万人。医療用大麻企業「Sanity Group」の最高責任者であるフィン・エイジ・ハンセル（Finn Age Hänsel）氏は、4月に入ってから医療用大麻を求める患者が7万人増えたと語っています。

大麻市場の成長が予測される中、ドイツでは7月1日より大麻クラブの営業申請が開始されました。大麻クラブでは、18歳以上の成人が決められた範囲内で大麻を購入・栽培することができます。

しかし、大麻クラブのルールは各自治体によってこれから決定されるため、ドイツ国民が実際に大麻クラブを利用できるのはまだ先になる見通しです。

Pronova BKKの調査では、大麻常用者の44%、時々大麻を消費する人の27%が大麻クラブの会員になる予定であると回答しています。

YouGovの調査によれば、回答者の7%が嗜好用大麻の合法化以降、自家栽培目的で大麻の苗や種を購入しています。

なお、ドイツでは今後スイスと同様に、嗜好用大麻の試験販売も行われる予定です。