米国の非営利団体「NORML」によれば、2023年に発表された大麻関連の研究論文数は4,000件以上。大麻や大麻に含まれる有効成分(カンナビノイド、テルペン、フラボノイド等)の研究論文数が4,000件を超えたのは、これで3年連続となります。
この数値は米国国立医学図書館が運営する医学論文データベース「Pubmed」におけるキーワード検索により導き出されています。
大麻関連の査読付き論文の90%は2002年以降に発表されたものであり、特に過去10年間において急増。2013年以降に発表された大麻関連の研究論文数は32,000件以上であり、全体の70%以上を占めています。
このことは過去10年間において、「研究者たちが大麻の治療活動に新たに注目した結果」であるとNORMLは述べています。また、大麻の合法化が進むにつれ、そのような法改正が社会に及ぼす影響についての調査が行われるようになったことも一因として挙げられています。
研究者たちが大麻に注目し、数多くの研究論文を発表する中、NORMLのポール・アルメンターノ(Paul Armentano)副所長は以下のように述べています。
「大麻はまだ十分な科学的精査を受けていないという主張もありますが、大麻の研究に対する科学者の関心は近年飛躍的に高まっており、大麻という植物、その有効成分、作用機序、使用者と社会の双方に対する影響についての理解も深まっています」
「政治家やその他の人々は、”知らない”というレンズを通して大麻を評価するのをやめ、その代わりに、私たちが知っている大麻と大麻改革政策についての証拠に基づいた議論に参加し始める時なのです」
2022年のカナダの研究によれば、大麻の研究分野で最も多かったのは医学(57.5%)で、次いで薬理学(28.9%)、生化学・遺伝学・生物分子学(19.6%)。
大麻の研究論文の発表数が多かった国は、アメリカ(41.7%)、イギリス(7.5%)、カナダ(6.9%)でした。
別の調査では、2000年から2018年の間、大麻の研究費用として15億ドル(約2,150億円)以上の資金提供が行われていたことが報告されています。
国別の研究費はアメリカが14億ドル(約2,007億円)以上で最も多く、次いでイギリスが約3,990万ドル(約57億円)、カナダが約3,610万ドル(約52億円)となっていました。
大麻関連の研究論文はアメリカを中心に発表されているのが分かりますが、アメリカで大麻はスケジュールⅠ(乱用の危険があり、医療的価値が低い)の物質に分類されています。そのため、大麻関連の研究を行う上ではいくつかの制限があり、煩雑な手続きも必要となります。
このような中、保健福祉省は2023年8月、大麻を「スケジュールⅢ」の物質に再分類するよう麻薬取締局(DEA)に勧告。規制物質法の分類における最終的な決定権は麻薬取締局にあり、同局は現在も作業に取り組んでいます。
今後麻薬取締局が保健福祉省の勧告を受け入れ、大麻の規制が緩和されれば、今後大麻関連の研究論文がさらに急増していく可能性があります。
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NORML「Scientists Have Published Over 30,000 Papers on Cannabis Over the Past Decade」https://norml.org/blog/2023/12/19/scientists-have-published-over-30000-papers-on-cannabis-over-the-past-decade/
hellth.com「A billion dollars for cannabis research」https://hellth.com/#/cannabis/initial-results