大麻フラボノイド「カンフラビンA」、膀胱がん細胞に抗がん作用を示す

大麻フラボノイド「カンフラビンA」、膀胱がん細胞に抗がん作用を示す

- カナダの基礎研究

大麻と言えばTHC(テトラヒドロカンナビノール)CBD(カンナビジオール)などのカンナビノイドや、カリオフィレンやミルセンなどのテルペンに注目が集まりますが、他にも忘れてはならないものがあります。

それは、フラボノイド。植物に含まれるポリフェノールの一種であり、大麻にも20種類以上のフラボノイドが含まれています。

その中の1つであるカンフラビンAとカンフラビンB。これらは1985年に発見され、抗炎症作用を有していることが分かっています。他にもカンフラビンAはアルツハイマー型認知症に対する神経保護作用の可能性が報告され、さらに2019年の研究においては、カンフラビンBの誘導体が膵臓すいぞうがんの細胞株やマウスに対し有効性を示しています。

そして2022年7月22日、カンフラビンAが膀胱ぼうこうがん細胞に対し抗がん作用を示したことがカナダの研究者らにより報告されました。

まず、大麻に含まれるフラボノイドが膀胱がん細胞株(T24)に及ぼす毒性を検証。その結果、カンフラビンA(49%)、シリマリン(76%)、ルテオリン(80%)、アピゲニン(61%)、ケルセチン(65%)が濃度依存的に膀胱がん細胞の生存率を低下させたことが明らかとなりました。

研究の主な目的はカンフラビンAの有効性の検証であったため、カンフラビンAに焦点を当て研究は進行。他の膀胱がん細胞株であるTCCSUP細胞に対してもカンフラビンAは毒性を示しました。興味深いことにカンフラビンAはこれら2つの細胞株に対し毒性を示した量では、正常な膀胱細胞であるヒト膀胱上皮細胞(HBlEpC)に対し毒性を認めず、通常の大麻使用ではおよそ不可能な大量使用でのみ毒性を示すことが分かりました。

またカンフラビンAを膀胱がん細胞株(T24)の生存率に影響を与えない濃度で24時間処理した結果、膀胱がん細胞のアポトーシス(細胞死)を誘導することも明らかとなり、これにはオートファジーの誘導が関係していることが示されました。それだけでなく、カンフラビンAは膀胱がん細胞の周辺臓器への浸潤を抑制する作用があることも分かりました。

※オートファジーとは?

細胞が自分の一部を分解し、再利用すること。細胞の新陳代謝や、栄養不足時のエネルギー確保としての役割を持つ。がん細胞も生存のためにオートファジーを活用することから、がん治療の標的としても注目されている。

続いて膀胱がん治療において使用される抗がん剤ゲムシタビン・シスプラチンと、カンフラビンAとの相乗作用について検証。使用される濃度により拮抗・相加・相乗作用といった様々な相互作用が認められることが明らかとなりました。

さらにTHCやCBD、CBC(カンナビクロメン)やCBV(カンナビバリン)といったカンナビノイドとカンフラビンAとの相乗作用を調べた結果、抗がん剤との併用以上に高い相乗作用を認め、膀胱がん細胞の生存率を著しく低下させることが示されました。

以上のことをまとめると、大麻に含まれるフラボノイド「カンフラビンA」は正常な膀胱細胞を傷つけず、膀胱がん細胞に対する毒性・浸潤抑制やアポトーシス誘導といった抗がん作用を有し、さらにカンナビノイドとの併用でよりその抗がん作用が増強されるといったことが、今回の研究により示されたということになります。

2021年のイスラエルの研究では、CBD単体あるいはTHC・CBCの組み合わせによる相乗作用が膀胱がん細胞のアポトーシスを誘導し、遊走を阻害したことが報告されています。同年中国の研究においても、CBDが膀胱がんに対し抗がん作用を示したことが報告されています。

カンナビノイド、テルペン、フラボノイド。
今後もそれぞれの成分が、さまざまな組み合わせにより、たくさんの希望を生み出すことに期待が高まります。

廣橋 大

精神病院に勤める現役看護師。2021年初頭より大麻使用罪造設に向けた動きが出たことをきっかけに、麻に関する情報発信をするようになる。「Smoker’s Story Project」インタビュアー。

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