大麻の研究論文、過去20年間で急増

大麻の学術論文、過去20年間で激増

2022年5月25日、大麻やカンナビノイドの研究に関する学術論文の統計的分析を行った論文が、カナダの研究者らにより公開されました。

この研究では世界最大級の抄録・引用文献データベースである「Scopus」が使用され、「cannabi」「hashish」「marijuana」「marihuana」といった検索ワードで検出された論文を対象とし、分析が行われました。

1829年から2021年までの間で、合計29802件の論文が公開されていました。年ごとの論文数は1960年代以降より増加傾向であり、最も多かったのは2020年でした(※この研究は2021年4月に行われており、年ごとの論文数に関しては2021年分は集計されていません)。10年単位でみると2010年代が最も多く、ここ20年間で急増していることも明らかとなりました。

「A bibliometric analysis of the cannabis and cannabinoid research literature」より引用

最も多い大麻の研究分野は医学(57.5%)で、次いで薬理学(28.9%)、生化学・遺伝学・生物分子学(19.6%)でした。

大麻の研究論文数が多かった国は、アメリカ(41.7%)、イギリス(7.5%)、カナダ(6.9%)でした。

研究の資金を提供した団体として多かったのは、米国立衛生研究所(19.6%)、米国保健福祉省(19.4%)、米国立薬物乱用研究所(14.7%)でした。

なお別の調査では、2000年から2018年の間に大麻の研究費用として15億ドル以上の資金提供が行われていたことが報告されました。国別の研究資金はアメリカが14億ドル以上で最も多く、次いでイギリスが約3990万ドル、カナダが約3610万ドルとなっていました。

この別の調査結果を考慮すると、ここ20年間の大麻の研究に関する学術論文の増加は資金提供による部分も大きいだろうと、研究者らは述べています。

一方、日本では大麻取締法において、医薬品開発を目的とした大麻の臨床試験は現時点で認められていません。

大麻取締法違反による検挙者数は8年間連続で増加し続けています。「大麻使用罪」の創設に向けた審議も今年5月25日から本格的に開始されました。この法案が可決されれば検挙者数がさらに増加することが予想され、同時により多くの資金が必要となるでしょう。

大麻の研究のために資金を拠出するアメリカ。
大麻の検挙のために資金を拠出する日本。

明るい未来は、果たしてどちらにあるのでしょうか。

廣橋 大

麻マガジンライター。看護師国家資格保有者。2021年より大麻の情報発信に携わる。

Recent Articles

モロッコ、合法大麻製品の公式ロゴを発表

モロッコ政府は4月発行の官報において、合法大麻製品の公式ロゴを発表しました。 大麻のシンボルをモロッコ国旗と同様の赤色で縁取り、その下に「CANNABIS」と表記したこのロゴは、国外に輸出...

イギリス、ヘンプの栽培規制を緩和

4月9日、イギリス政府は経済的・環境的可能性を最大限に引き出すため、ヘンプの栽培規制を緩和することを発表。この新たな規制は2025年の栽培シーズンより施行されます。 イギリスにおいてヘン...

マラウイが高THC大麻の栽培を承認

マラウイ共和国の議会は、認可された栽培業者が輸出を目的とし、THC濃度の高い国産大麻を栽培することを承認しました。 アフリカの南東部に位置するマラウイはタバコの主要な生産国であり、国...