CBDとテルペンの「相乗効果」が自閉症の症状に著効した症例

CBDとテルペンの「相乗作用」が自閉症の症状に著効した症例

- イタリアの症例報告

これは10月28日に公開された、イタリアに住む17歳の子ども(G氏)の症例報告

G氏は幼い頃より自閉症スペクトラム症と診断され、成長に伴い攻撃性がみられるようになった。この症状はCBDの使用により一度はコントロールされたが、しばらくして再度悪化し、CBD単体だけではどうにもできない状態に。

この状況を救ったのは、CBDとテルペンの「相乗作用(アントラージュ効果)」であった。

CBD使用に至るまで

問題なく成長を続けてきたG氏だが、3歳から言葉を発さず、多動・常同行動がみられるようになり、「自閉症スペクトラム症」と診断された。

幼稚園から小学校にかけ、G氏は他者とコミュニケーションはとれず、集中力はなく、読み書きの能力も身につかなかった。治療として、早期から精神療法を中心に介入していた。

8歳になる頃、より多動性が目立つようになり、ニューレプチル(抗精神病薬)の服用を開始。投与量は徐々に増えていった。

13歳の時、初めて激しい攻撃性をみせた。その時の様子をG氏の父は「目を真っ赤にして大声で叫び、自分の頭を殴りつけていた。止めようとすると今度はこちらに殴りかかってきた」と語る。

何か今の治療に代わるものはないのか。そんな時に両親はCBDと出会った。

CBDにより3年間状態は安定したが・・

オイルにてCBDを12mg/日の用量で摂取開始(その他のカンナビノイドテルペンは含まない)。ニューレプチルの服用はそのまま継続。これにより16歳になるまでの3年間、G氏の症状は安定した。

2021年4月、再び興奮が強くみられるようになったため、CBDの摂取量を21.6mg/日にまで増量。しかしながら改善は認められず、攻撃性は増すばかりであった。

叫び声をあげながら自分を殴るだけでなく、ベッド、ランプ、ドア、窓などを破壊する行動もみられるように。一番ひどい時はトイレを部屋から引きずり出したこともあった。

このような激しい攻撃性が週2回以上認められ、G氏の状態は深刻となっていた。

これに対処するため、ニューレプチルの服用を中止し、エビリファイ(抗精神病薬)の服用を開始。興奮が激しい時の頓服として、ロラゼパム(抗不安薬)も処方された。

ロラゼパムは有効であったが、代償が大きかった。激しい抑うつ状態がもたらされ、G氏の表情は暗く落ち込んでいった。

そのため両親は、G氏が幸せに日常生活を送りながらも症状をコントロールできるような代替薬を求めるようになった。

CBDとテルペンの相乗作用が著効!

CBDを処方してくれていた医療用大麻の専門医に相談し、大麻由来のテルペンを豊富に含んだ製品を販売するイスラエルの企業を紹介された。相談の結果、今まで使用していたCBDオイルに、抗不安および鎮静作用のあるテルペン濃縮物を追加することとなった。

この濃縮物にはαピネン、リモネン、リナロール、βカリオフィレン、ネロリドールなどがブレンドされており、総テルペン量はオイルに対し0.15%となっていた。

2021年8月、このオイルをCBD11.2mg/日の用量で摂取開始。エビリファイの服用はそのまま継続。以降9ヶ月、そのまま投与量を増やすことなく経過。攻撃的行動は徐々に減少していき、7ヶ月後には全くみられなくなった。それに伴い、ロラゼパムを使用することもなくなった。

さらには、攻撃性が改善されるだけでなく、自発的な会話が増え、ユーモアも見せてくれるようになった。

つまり、CBDを単体で21.6mg/日の量で摂取してもコントロールできなかったG氏の症状は、適切なテルペンを混ぜることにより、およそ半分量のCBD(11.2mg/日)で劇的に改善されたということになる。

G氏の父はこのように語る。

「CBDとテルペンのおかげで、息子を施設に入れることなく、家で一緒に過ごすことができるようになった。こんなに幸せなことはないよ。症状コントロールに使用していた薬は意識を朦朧とさせたりしてたけど、もうそんな薬も使う必要がない。もしCBDだけで効果が不十分だったとしても、それで治療を諦めることなく、適切なテルペンを追加することで有効性を高める方法が確立することを願っている」

廣橋 大

麻マガジンライター。看護師国家資格保有者。2021年より大麻の情報発信に携わる。

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