カリフォルニア州、合法大麻市場拡大に向けた助成金を倍増

カリフォルニア州、合法大麻市場拡大に向けた助成金を倍増

/

9月1日、カリフォルニア州大麻管理局(DCC)は違法大麻市場の縮小を目的とし、合法大麻小売店のない地域で大麻販売プログラムを確立するための助成金を倍増することを発表しました

カリフォルニア州は2016年に嗜好用大麻を合法化し、2018年より販売を開始。カリフォルニア州の大麻市場は全米50州の中で最も大きいことで知られていますが、およそ3分の2近くの市と郡では嗜好用大麻の販売が認められていません。

そのため、州民の多くは合法な大麻小売店に容易にアクセスすることができず、違法業者を頼っています。これが一因となり、2022年のカリフォルニア州の合法大麻市場の年間売上高は初めて減少を記録。2021年の年間売上が57億7,000万ドル(約8,512億円)であったのに対し、2022年は53億ドル(約7,819億円)に留まり、8.2%の減少となりました。

この状況に対処するため、カリフォルニア州大麻管理局は今年2月、合法大麻市場を拡大あるいはこれから大麻市場を確立させようとしている州内の自治体に対し、合計2,000万ドル(約30億円)の助成金を提供するプログラムを開始することを発表

プログラムは2期に分けられており、第1期となった6月には州内の18の市と郡に410万ドル(約6億円)の助成金が交付されました

そして今回、大麻管理局は2期目の申請受付を開始。第2期ではプログラムの参加資格が拡大され、提供する助成金も倍増されます。

参加資格のある自治体は以下の通り。

  • 2022年7月1日以前に大麻の販売プログラムが存在しなかった。

  • 大麻の販売プログラムを開発し、実施する計画がある。

  • そのプログラムに従い、市または郡の管理区域内の大麻事業者に1つ以上の大麻小売ライセンスを発行している。

  • 第1期で助成金を受け取った自治体も申請できる。

これらの条件に当てはまる自治体は、大麻小売ライセンス1件につき最高15万ドル(約2,200万円)、社会的公平性小売ライセンス1件につき最高30万ドル(約4,400万円)の助成金を受け取ることが可能。これまでは、前者が7万5,000ドル、後者が15万ドルとなっていました。

大麻管理局のニコル・エリオット(Nicole Elliott)局長は「州内には大麻の使用が顕著な場所がたくさんありますが、既存の消費者は合法な大麻小売店に簡単にアクセスすることができません」

「私たちは、大麻消費者が利便性に基づいて購入を選択することが多いのを知っているので、合法的な小売店への十分なアクセスは非常に重要な消費者の安全策を強化することになります」 と述べています。

合法市場の大麻は州内の基準に基づいた検査に合格した後に消費者に販売されますが、違法な大麻にはそのような検査は存在しないため、農薬や不純物などが混入した状態で消費者の手に渡る危険性があります。

実際にカナダの研究チームは先月、国内の合法大麻サンプルでは6%から農薬が検出されたのに対し、違法大麻サンプルでは92%から合計23種類の農薬が検出されたことを明らかにしています。違法大麻で検出された農薬は1サンプルあたり平均3.7種類で、あるサンプルでは9種類の農薬が確認されました。

つまり、違法大麻市場の縮小を目指すカリフォルニア州の取り組みは、州民の命を守るために非常に重要なものとなっています。

他にも、米国魚類野生生物局(FWS)は今年2月、無許可の農薬を使用するカリフォルニア州の大麻の違法栽培が希少種の「マダラフクロウ」を絶滅の危機にさらしていると指摘しています

カリフォルニア州のロブ・ボンタ(Rob Bonta)司法長官は先月、州内の合法大麻市場の高価なビジネスコストが違法大麻市場の拡大に貢献していると発言。税金を引き下げるなど合法事業者の負担を軽減する一方で、違法事業者を厳しく取り締まる必要があると述べました

この一環として、カリフォルニア州司法省は新たに「大麻行政検察官プログラム(CAPP)」を設立。このプログラムでは署名した自治体において、違法大麻の取締り範囲の拡大、取締りプログラムを構築するための資源と教育の提供、違法な大麻活動に関与した人々を州全体で大規模に起訴するための証拠の収集が行われます。

プログラム新設後、早くもフレズノ市がこれに参加する初の自治体となりました。

カリフォルニア州は合法大麻市場の拡大以外の目的でも、大麻に関連した資金提供を積極的に行っています。

今年2月、カリフォルニア州知事ビジネス・経済開発局(Go-Biz)は麻薬戦争により不釣り合いな影響を受けてきた人々に対する公平性プログラムの促進のため、1,500万ドルの助成金を州内の自治体に拠出

さらに、同局は5月、麻薬戦争で不釣り合いな影響を受けたコミュニティに対し、大麻の税収から5,000万ドル(約74億円)の資金提供を行っています

他にも、大麻管理局は4月、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)を含む16の学術機関に対し、大麻の研究のために約2,000万ドル(約30億円)の助成金を交付しています

なお、カリフォルニア州は嗜好用大麻の合法化から今年4月までの間で、大麻関連の犯罪記録のうち約9割において封印や再判決などの救済措置を完了しています

※為替は記事公開時点のレートで計算しており、リンク先の記事と日本円の数字が異なることがあります。最新の米ドル・円の相場はこちら

Department of Cannabis Control「DCC Expands Eligibility and Increases Award Amounts for Local Jurisdiction Retail Access Grant」https://cannabis.ca.gov/2023/09/dcc-expands-eligibility-and-increases-award-amounts-for-local-jurisdiction-retail-access-grant/

Marijuana Moment「California Marijuana Regulators Double Grant Funding To Help Localities To Open Licensed Cannabis Shops」https://www.marijuanamoment.net/california-marijuana-regulators-double-grant-funding-to-help-localities-to-open-licensed-cannabis-shops/

Marijuana Moment「California Regulators Award $4 Million To Localities Working To License Marijuana Businesses And Curb Illicit Market」https://www.marijuanamoment.net/california-regulators-award-4-million-to-localities-working-to-license-marijuana-businesses-and-curb-illicit-market/

Marijuana Moment「California Attorney General Calls For ‘Lowering Taxes’ On Marijuana To Combat The Illicit Market」https://www.marijuanamoment.net/california-attorney-general-calls-for-lowering-taxes-on-marijuana-to-combat-the-illicit-market/

廣橋 大

麻マガジンライター。看護師国家資格保有者。2021年より大麻の情報発信に携わる。

Recent Articles

米国医師会、違法薬物の非犯罪化を支持

現地時間6月12日、米国医師会(AMA)はシカゴで開催された年次総会において、違法薬物の非犯罪化を正式に支持する決議案を採択しました。 米国医師会は世界で最も権威ある医学会の1つであり、...

THC使用が終末期患者の生存期間延長と関連

ドイツの終末期患者のデータを分析した結果、THC治療を受けていた患者ではそれ以外の患者よりも生存期間が長かったことが明らかにされました。論文は「Medical Cannabis and Cannabinoids」...

南アフリカ、嗜好用大麻を合法化

現地時間5月28日、南アフリカ共和国のシリル・ラマポーザ(Cyril Ramaphosa)大統領は個人使用目的での大麻の所持・栽培を認める「私用目的の大麻法(Cannabis for Private Purposes Bill)」に...