カリフォルニア州知事、幻覚剤合法化法案に拒否権を発動

2023年10月8日

10月7日、米国カリフォルニア州のギャビン・ニューサム（Gavin Newsom）州知事は、先月州議会で可決されたサイケデリクス（幻覚剤）合法化法案に対し拒否権を発動。ただし、ニューサム州知事はサイケデリクスの医療効果を認めており、州民の安全を確保する治療ガイドラインが整備されれば、これらの非犯罪化を前向きに検討するとの考えを示しています。

カリフォルニア州議会は先月、特定量のメスカリン、DMT、シロシビン、シロシンの所持、栽培、調剤、共有などを認める法案「SB58」を可決し、州知事に送付していました。

しかし、ニューサム州知事はこれまで大麻改革を推進してきたものの、サイケデリクス改革に関しては”現時点で”GOサインを出すことができないとしています。

ニューサム州知事はメンタルヘルスを中心とした疾患におけるサイケデリクスの有効性を認識しているものの、これらを州内に取り入れるには適切な治療ガイドラインが必要であると述べています。

そのため、治療ガイドラインが存在しない現状ではSB58に署名できないとしていますが、今後”安全なガードレール”が整備されれば、サイケデリクスの広範な非犯罪化を検討するとの考えを示しています。

以下、SB58に対するニューサム州知事のメッセージを抜粋。

「専門家の査読を経た科学と力強い個人的な逸話の両方により、私はこの法案で取り上げられているような幻覚作用のある医薬品を通してメンタルヘルスに取り組む新たな機会を支持するようになりました。サイケデリクスはうつ病、PTSD、外傷性脳損傷、その他の依存性の性格特性など、特定の症状に苦しむ人々を和らげることが実証されています。これはエキサイティングなフロンティアであり、カリフォルニア州はこれをリードする最前線に立つでしょう」

「カリフォルニア州は投薬情報、治療ガイドライン、ガイドに基づいた治療の悪用を防止するためのルール、潜在的な精神病がないことの医学的証明など、規制された治療ガイドラインを設定する作業を直ちに開始すべきです。残念ながら、この法案はこれらのガイドラインが施行される前に（サイケデリクスの）所持を非犯罪化するものであるため、私はこれに署名することができません」

「私は立法府に対し、治療ガイドラインを含む法案を来年私に提出するよう強く求めます。さらに、私は（サイケデリクスの）影響、投与量、ベストプラクティス、安全対策を十分に熟考し整備すれば、将来的に許容範囲内での使用を承認し、広範な非犯罪化の可能性に向けた枠組みを検討する法案を作成するために、立法府及び本法案の立案者と協力することを約束します」

これを受け、SB58の立案者であるスコット・ウィーナー（Scott Wiener）上院議員は強い失望を示しながらも、「知事が治療に焦点を当てた法案を立法府と協力して提出することを約束し、将来の非犯罪化法案にも前向きであることから、私は治療に焦点を当てた法案を来年に提出することを楽しみにしています」と述べています。

なお、ニューサム州知事は最近、連邦政府がシロシビンやMDMAなどの違法物質の医療用途を認め規制を緩和した場合、カリフォルニア州の医師がこれらの物質を直ちに処方できるようにする法案に署名しています。