カリフォルニア州、合法大麻市場拡大に向け2,000万ドルの資金提供を行うプログラムを開始
サンディエゴのリトルイタリー

カリフォルニア州、合法大麻市場拡大に向け2,000万ドルの資金提供を行うプログラムを開始

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カリフォルニア州大麻管理局(DCC)は、大麻小売店が少ない市や郡において住民が合法市場へのアクセスを高めることを目的とし、販売ライセンス拡大に向けた助成金プログラムを開始することを2月15日に発表しました。

2016年に嗜好用大麻を合法化したカリフォルニア州では現在、違法市場が拡大し、合法市場を脅かす状況となっています。

例えば、カリフォルニア州にあるサンディエゴでは、ここ数ヶ月大麻による税収が激減しています。サンディエゴ当局は最近、今年6月30日までの会計年度において、大麻の税収は従来予想していた額より23%減少する見込みであることを発表しています。

業界関係者によれば、この原因は違法業者による大麻の配達サービスにあるとされており、その規模は地域の大麻市場の約半分を占めると予想されています。

違法市場は合法市場よりも安く大麻を購入することが可能であり、インフレによる物価高の上昇がこのことをより魅力的にしています。しかし、これらの大麻は合法市場のものと異なり、安全性が担保されていません。

また、カリフォルニア州では3分の2近くの市と郡が、大麻小売店を認可していないという現状があります。これらの地域の住民は合法市場で大麻を購入するのに別の地域に移動しなければならず、時間とコストを要するため、結果として違法市場へのアクセスが増えています。

今回発表されたプログラムはこういった状況に対処するためのもので、これらの地域でも合法市場へのアクセスを可能にし、違法市場を縮小させることが目的となっています。

州による自治体に向けた助成金は、2段階に分けて最大2,000万ドル(約26億8,000万円)提供されます。第1段階では、販売ライセンスプログラムの開発を支援するために最大1,000万ドル(13億4,000万円)の資金を提供。第2段階における1,000万ドルの資金提供は、2023年6月30日以降、小売業者に販売ライセンスを発行した後で行われます。

資金提供の対象は、現時点で大麻の販売ライセンスプログラムを有しておらず、今後実施する計画のある自治体となります。

その中でも、大麻の小売店数が住民の大麻消費量に対し少ないと州から認定された18の郡(サンディエゴ郡、オレンジ郡など)が優先されます。それ以外にも、過去に大麻関連で有罪となり被害を被ったコミュニティに対して優遇してライセンス発行を行う予定のある自治体にも、優先的に資金提供が行われる予定です。

カリフォルニア州大麻管理局の局長であるニコル・エリオット氏はプレスリリースで「カリフォルニア州における合法大麻市場へのアクセスの欠如は、消費者の安全を脅かし、違法市場を永続させる。小売販売ライセンス取得に向けた道筋を財政的に支援し、消費者が合法市場にアクセスするための誘因を生み出すことにより、これらの助成金は違法市場を減らし、消費者が合法市場で規制された安全な製品を手に入れるのに役立つであろう」と述べています。

カリフォルニア州では今回のプログラム以外にも、合法市場を拡大するために様々な動きがみられます。

最近、民主党の下院議員アッシュ・カルラ氏は、州内で大麻のケータリングサービスを可能にする法案「AB471」を提出。また、同党の議員マット・ヘイニー氏は、大麻小売店で食品や飲料などの販売を可能する法案「AB374」を提出しています。

Department of Cannabis Control「Local Jurisdiction Retail Access Grant」https://cannabis.ca.gov/about-us/grant-funding/local-jurisdiction-retail-access-grant/

Marijuana Moment「California Announces $20 Million Grant Program To Expand Marijuana Retail Licensing In Underserved Areas」https://www.marijuanamoment.net/california-announces-20-million-grant-program-to-expand-marijuana-retail-licensing-in-underserved-areas/

The San Diego Union-Tribune「As San Diego’s cannabis tax revenue plummets, officials blame illegal market, new competition」https://www.sandiegouniontribune.com/news/politics/story/2023-02-14/cannabis-tax-revenue-plummets

High Times Magazine「New California Bill Would Allow Cannabis Catering」https://hightimes.com/news/new-california-bill-would-allow-cannabis-catering/

廣橋 大

精神病院に勤める現役看護師。2021年初頭より大麻使用罪造設に向けた動きが出たことをきっかけに、麻に関する情報発信をするようになる。「Smoker’s Story Project」インタビュアー。

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