2022年4月5日、スポーツ整形外科に通院する人のCBDの使用率を調査した論文が、米アリゾナ州の整形外科医らにより公開されました。
この研究は2020年8月から2021年3月にかけて、スポーツ整形外科に初診で訪れた18歳以上の人に対し、アンケート調査をすることにより行われています。CBD(カンナビジオール)使用の有無だけでなく、痛みに対しCBDを使っているという仮説のもと、痛みの程度や治療歴についても調査しています。
有効回答者数は823名で、平均年齢は51歳(18〜87歳)でした。患部の関節として多かったのは肩(285名、34.6%)と膝(276名、22.5%)でした。
回答者のうち、19%(152名)がCBD製品の使用を報告しました。2019年の世論調査では、アメリカ全体におけるCBDの使用率は14%であったため、今回の調査集団ではこれを上回る数値となります。
CBDの使用頻度として多くみられた回答は、1日1回(53名、44%)、必要時(37名、31%)、2日に1回(17名、14%)でした。
購入方法として多かったのは健康・食料品店(40名、26%)、オンライン(34名、22%)でした。
使用方法として最も多かったのは、経皮吸収製品(クリーム、オイル、ローションなど)でした。
症状が出現してから初めて治療するまでにおいて、CBD使用者は非使用者よりも痛みや関節の機能障害を強く感じていた傾向がありました。クリニック初診時の関節の動き・痛みに対する評価は、CBD使用者も非使用者も同程度でした。
CBD使用者は非使用者と比べて、N-SAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)、装具(サポーター)、ステロイド注射、ビスコサプリメンテーション(ヒアルロン酸注射)、理学療法など、手術以外の様々な治療法を試していることも明らかになりました。
これらのことから、一般的な治療に対し十分に鎮痛効果を認められない人が、CBDに助けを求めているのかもしれないと、医師らは述べています。
またCBD使用者と非使用者との間で、クリニックにおける治療効果の差も比較されましたが、臨床的に重要な差は認められませんでした(N-SAIDs、ステロイド注射、ビスコサプリメンテーション、理学療法など)。
ですが、CBD非使用者が鎮痛目的で大麻を使用すると有意に痛みの改善が認められたのに対し、CBD使用者では改善が認められませんでした。なお、CBD使用者のうち47名(30.9%)が大麻を、43名(28.9%)がその他の嗜好用ドラッグを鎮痛目的で使用した経歴があったことも報告されています。
スポーツ整形外科領域の患者において、約5人に1人がCBDを使用しているという結果を受けて研究者らは、CBDは精神活性作用こそないものの、シトクロムP450(薬物代謝酵素)に影響を与えるなど無害とは言えない作用を有するため、医療従事者は患者のCBDの使用の有無を確認することが必要であると述べています。
前述したように2019年の世論調査では、アメリカ人の14%がCBDを使用していることが明らかになっています。使用目的として多かったのは、痛み(40%)・不安(20%)・不眠(11%)・関節炎(8%)の改善でした。
2020年の研究では、慢性疼痛患者97名にCBDを8週間使用してもらったところ、半数以上(53%)にオピオイド(麻薬性鎮痛薬)の減量・中止、ほぼ全ての人(94%)にQOLの改善を認め、それにより睡眠の質も改善したと報告しています。