米国民、大麻は酒・たばこよりも安全で依存性が低いと認識

米国民、大麻は酒・たばこよりも安全で依存性が低いと認識

- 米国精神医学会の最新調査

6月8日に公開された最新の世論調査によれば、米国民はお酒、たばこ、ベイプよりも、大麻のほうが安全で依存性が低いと考えています。

この調査は、38,000人以上の医師を有する医学団体「米国精神医学会(APA)」と世論調査会社「モーニング・コンサルト(Morning Consult)」によって毎年行われており、今回の調査は2023年4月20日から22日にかけ、米国成人2,201人を対象に実施されました。

依存症に関する質問で、回答者は特定の物資に対する安全性や中毒性について回答を求められました。

その結果、「安全ではない」と回答した人は、たばこで84%、アルコールで64%、ベイプで76%、非処方オピオイドで75%、処方オピオイドで66%であったのに対し、大麻では38%

「中毒性がある」と回答した人の割合は、たばこで87%、アルコールで84%、ベイプで81%、非処方オピオイドで74%、処方オピオイドで83%、テクノロジーで75%であったのに対し、大麻では64%と最も低い割合となっていました。

「危険」と回答した人の割合

この結果に対し、米国精神医学会会長のペトロス・レブレス(Petros Levounis)氏は「たばこが危険で中毒性があるというメッセージが得られたことは明らかです」

「私たちは、飲酒やテクノロジーの使用など潜在的に中毒性のある他の行動から、より多くのアメリカ国民を守ることができます。例えば、ベイプはたばこの喫煙と同じか、それ以上の中毒性があります。また、物質使用障害と行動依存症の両方に対する安全で効果的な現在の治療法について、人々に知ってもらうこともできます。依存症治療は有効なのです」と述べています。

米国精神医学会は年間を通し、一般向けに依存症や物質使用障害に関する啓蒙活動を実施中。今月はベイプから始まり、夏後半にはオピオイド、冬にはアルコール、来春にはテクノロジーに焦点が置かれ活動が行われる予定です。

なお、今回の調査では依存症治療に対する認識についても尋ねられています。依存症は「個人の弱さによるもの」と回答した人は47%でしたが、その一方で回答者の93%が「依存症は治療可能」、76%が「依存症は医学的な障害」であると認識していたことが明らかとなりました。

禁止され続けてきた歴史から、「大麻=悪」という認識はまだ多くの人で一般的かもしれません。しかし、大麻を合法化した国や州では、その認識に変化がみられてきています。

2018年に嗜好用大麻を合法化したカナダでは、2022年の国内実態調査において、大麻がたばこよりも社会的に受け入れられ、また大麻ではアルコールやたばこよりも、有害性を認識されている割合が少なかったことが明らかにされています。

2022年にギャラップ社が行った調査では、同社が調査を開始して以来初めて、アメリカで大麻の喫煙率がたばこの喫煙率を上回っています。

それを反映するかのように、今年2月にニューヨーク州保健省は、ニューヨーク州民がたばこ、アルコール、ベイプよりも、大麻のほうが公衆衛生上問題が少ないと認識していたことを報告(ニューヨーク州は2021年より嗜好用大麻を合法化)。

大麻が「アルコールやたばこよりも依存性が低く、有害性が少ない」というのは、科学的にも報告されています。

米国のアルコール及び関連障害全国疫学調査(NESARC)のデータを分析した研究では、物質の使用により依存症に移行する割合がニコチンで67.5%、アルコールで22.7%、コカインで20.9%であったのに対し、大麻では8.9%であったことが報告されています。

また、日本の大麻使用者4,138名を対象とした大規模調査においても、大麻による依存症が疑われた人の割合は8.3%となっています。さらにこの調査では、回答者の95%が日常生活において就労や就学など社会的機能を果たしていたことが明らかにされています。

薬物の有害性をスコア化した研究に基づいて作成された世界薬物政策委員会(GCDP)のレポートでは、大麻がアルコールやたばこよりも安全であることが明確に視覚化されています。

出典:薬物政策国際委員会(GCDP)

廣橋 大

麻マガジンライター。看護師国家資格保有者。2021年より大麻の情報発信に携わる。

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