タイ、医療・研究目的でアヘンとマジックマッシュルームを利用可能に

タイでは4月24日より、医療及び研究目的でアヘンとマジックマッシュルームを利用することが可能となりました。

アヘンはケシの実から採取した液汁を乾燥させたもので、モルヒネやヘロインといったオピオイド鎮痛剤の原料として用いられています。マジックマッシュルームは、主に幻覚成分「シロシビン」を含むキノコのことを指します。

タイでは麻薬リストにおいて、アヘンとマジックマッシュルームは第5類に分類されています。

この度、タイ保健省はアヘンとマジックマッシュルームについて、治療と医学研究のために使用が許可されるべきであると判断。この指令は4月23日にタイ王室官報に掲載され、翌日より発効となりました。

タイは2021年8月にオクラトム、2022年6月に大麻を麻薬リストから除外しています。なお、0.2％以上のTHCを含む大麻抽出物（第5類）と合成THC（第1類）に関しては、現在も麻薬リストに残されています。

大麻が麻薬リストから除外されたことで、タイでは数千件もの大麻小売店が誕生しました。しかし、タイ保健相は2月、大麻の利用を医療目的のみに制限し、年内に嗜好用大麻を禁止する意向を明らかにしています。

マジックマッシュルームに含まれるシロシビンは、特にうつ病の治療において注目を集めています。実際に、うつ病に対するシロシビン治療はオーストラリアで合法化されており、アメリカでもFDAによって「画期的治療薬（Breakthrough Therapy）」に指定されています。

シロシビンは他にも、アルコール依存症、不安障害、摂食障害、頭痛などにおいて有効性が期待されています。また、イギリスでは2023年10月より、ギャンブル依存症患者を対象とした世界初の治験も開始されました。

なお、医療効果が期待されている幻覚剤はシロシビンだけではありません。

例えば、MDMAを用いた治療は、難治性のPTSD（心的外傷後ストレス障害）において高い有効性を示しています。そのため、PTSDに対するMDMA治療はオーストラリアにおいて合法であり、アメリカでも承認に向けた優先審査が行われています。

他にも、米国FDAは3月、LSDベースの薬を全般性不安障害の画期的治療薬に指定しています。

2023年には世界初となるアヤワスカの錠剤が開発されており、メンタルヘルスを中心とした病気において有効性が期待されています。