タイ保健相、2024年末までに嗜好用大麻を禁止すると発言

タイ保健相、2024年末までに嗜好用大麻を禁止すると発言

/

2月29日、タイのチョルナン・スリケウ(Cholnan Srikaew)保健相はロイター通信に対し、2024年末までに嗜好用大麻を禁止する意向を明らかにしました。

タイは2018年に医療用大麻を合法化。2022年6月には大麻を麻薬リストから除外し、アジアで初めて大麻を非犯罪化した国となりました。

その後、大麻に関する具体的な規制が確立されなかったため、数千件もの大麻小売店が誕生。その市場規模は、今後数年間で最大12億ドル(約1,800億円)規模になると予測されました。

このような中、2023年8月に誕生したセーター・タウィーシン(Srettha Thavisin)首相率いる新政権は、嗜好用大麻を禁止する方針を明らかに。2024年1月にはこれを実現するための法案が発表されました

この法案は大麻の使用を医療目的のみに限定し、THC0.2%以上の大麻製品を嗜好目的で使用、所持、栽培、販売することを違法とするものです。

法案では、嗜好目的での大麻の使用には6万バーツ(約25万円)の罰金、大麻の販売では最高1年の懲役もしくは最高10万バーツ(約42万円)の罰金、無許可での大麻栽培では1年〜3年の懲役と2万〜30万バーツ(約8万〜126万円)の罰金が科せられることになっています。

同法案は2月中旬に提出される予定でしたが、スリケウ保健相は法案について他の政党から意見を求めるためにより多くの時間が必要であると述べ、法案の審議を延期としました

スリケウ氏によれば、法案は3月中に閣議決定された後、国会に提出され、年内に成立される見込みです。

スリケウ氏は嗜好用大麻について「大麻を規制する法律がなければ、大麻は悪用されるだろう」「大麻の悪用はタイの子供たちに悪影響を与える」「長い目で見れば、他のドラッグの使用につながる可能性もある」と発言。

また、違法に営業している大麻ショップの存続は許されず、大麻の自家栽培は禁止され、大麻の輸出入・栽培・販売には許可が必要になると説明しました。

「新法では、大麻は規制植物となるため、栽培には許可が必要となる」「我々は医療・健康産業のために、(大麻栽培を)サポートするつもりだ」

一方、タイ政府は大麻産業の経済的利益について認識していることから、既存の大麻事業者には新たな規制に適応するための時間が与えられます。

スリケウ氏によれば、既存の大麻事業者は現在の免許が切れるまで営業を許可され、その後は新規制に従うことで合法的な大麻クリニックへと転換することが可能となります。

そのため、スリケウ氏は新たな規制により、観光業にマイナスな影響は生じないと語っています。

現在タイでは、20歳未満の未成年や妊娠及び授乳中の女性への大麻の販売、公共の場での大麻の使用などが禁止されており、THC0.2%以上を含む大麻抽出物(第5類)、合成THC(第1類)に関しては現在も規制麻薬リストに分類されています

しかし、前述したように、タイには大麻市場の明確な規制が存在しないため、現状では公衆衛生において悪影響が生じている可能性があります。

依存症研究センターが昨年発表したデータによれば、タイにおける18〜65歳の過去1年間の大麻使用率は2020〜2021年では3%でしたが、大麻を非犯罪化した2022年では25%にまで急増。18〜19歳の若年層では、この割合が2.0〜2.2%から9.9%にまで増加しています。

このような中、大麻使用後の体調不良や大麻中毒、大麻使用障害に対する治療を求める人が増えていることが指摘されています

そのため、医療従事者だけでなく、一部の大麻事業者からも現状への対処を求める声が聞かれています。

例えば、タイの医療用大麻産業に従事するパシット・チュラジャータ(Pasit Chulajata)氏は、以下のように語っています。

「国として否定的な反発があることは承知しているが、政府は締め付けを少し強めようとしており、そうすることで幼い子供たちや妊娠中の母親など、保護が必要な人々を守ろうとしているのだろう」

「私たちは正しい方向に向かっていると思う。一般的に、コントロールするために規制が強化されることは良いことだ。規制がなければ、人々は自分が何を吸っているのか、自分の体に何が入っているのか分からないからだ

「これは大麻産業全体により良い視点をもたらすだろう。なぜなら、今人々はまるでカウボーイのように、誰もが自分の思い通りに行動しているからだ」

※為替は記事公開時点のレートで計算しており、リンク先の記事と日本円の数字が異なることがあります。最新のタイバーツ・円の相場はこちら

Reuters「Thailand to ban recreational cannabis use by year-end, health minister says」https://www.reuters.com/world/asia-pacific/thailand-ban-recreational-cannabis-use-by-year-end-says-health-minister-2024-02-29/

Benzinga「Thai Gov Delays Ban On Cannabis As Anxious Business People Prepare To File Thousands Of Lawsuits」https://www.benzinga.com/markets/asia/24/02/37115420/thai-gov-delays-ban-on-cannabis-as-anxious-business-people-prepare-to-file-thousands-of-lawsuits

ABC News「Thailand was first in Asia to decriminalise marijuana, but ‘cannabis cowboys’ could see those laws change」https://www.abc.net.au/news/2024-02-08/thailand-cannabis-laws-rethink-over-industry-medical-concerns/103418788

ศูนย์ศึกษาปัญหาการเสพติด「About Centre for Addiction Studies (CADS)」https://cads.in.th/cads/content?id=339

廣橋 大

麻マガジンライター。看護師国家資格保有者。2021年より大麻の情報発信に携わる。

Recent Articles

イギリス、ヘンプの栽培規制を緩和

4月9日、イギリス政府は経済的・環境的可能性を最大限に引き出すため、ヘンプの栽培規制を緩和することを発表。この新たな規制は2025年の栽培シーズンより施行されます。 イギリスにおいてヘン...

マラウイが高THC大麻の栽培を承認

マラウイ共和国の議会は、認可された栽培業者が輸出を目的とし、THC濃度の高い国産大麻を栽培することを承認しました。 アフリカの南東部に位置するマラウイはタバコの主要な生産国であり、国...